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最弱勇者は吟遊詩人  作者: 神崎柴乃
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災厄の街「アーラム」

鉄の街「アーラム」

アリスの情報によると良質な鉱山が多数有り、鉱山労働者や奴隷、それらの鉱石を加工する職人などで栄えている都市らしい。ここの領主は守銭奴で今回の災厄への対処も安い労働者奴隷を使い潰していくという残酷なものらしい。国境付近の都市というのもあって最近も小競り合いが続いているとの噂である。


「さてと、着いたな。」

領主官邸に向かいつつ市井の商人と雑談を交わしていく。

「ユウ様、既に邪な空気が漂っています。」

「災厄まではあと数時間あるが……。」

「主、なんかよくわからんが敵意ある人間が来たぞ。」

「早速かよ」


音界によるサーチではリンの話通り3人の男がこちらに近づいてきていた。既に武装しており、空気が冷めている。


「よう、見ねぇ面だな。観光か?」

このやり取り……何度目になるのか……。

「……。俺は勇者だ。領主に話がある。」

「話だ?なら俺達が代わりに聞いてやるよ」

ギャハハと品のない笑い声を上げながら値踏みするようにつま先から頭のてっぺんまで見定めてくる。

「お前らじゃ脳みそが足りないだろ?今から俺の言うこと覚えていられるか?」

「何だと!?」

「役者不足だ。雑魚は帰れよ。」

殺気を混ぜて睨みつけると男達は顔を青ざめさせ、逃走を開始した。

「ひっ。お、俺はまだ死にたくねぇ。」

「殺すつもりならとっくに殺してる。誰に雇われた?」

「喋ったら殺される。」

「喋らなくても俺が殺すぞ?」

「ひっ。」


聞けば男達は領主の秘書の男に指示されて俺達のところに来たらしい。

「秘書?」

「あぁ。この街の実質的な支配者だよ。奴に逆らって長生きした奴は居ない。みんな人生狂わされて自殺しちまう。」

「なるほどね。分かった。じゃあサヨナラだ。」

男達を気絶させてその辺の路地に転がしておく。後は誰かが勝手にどうにかしてくれるだろう。

「どうしましょうか。宿に向かいますか?」

「あぁ。取り敢えず宿へ行こうか」

「先程から主はチグハグな行動を取るな。なにか理由があるのか?」

「……まぁ、尾行されているからな」

「あぁ。そんなことを気にしておったのか?」

「どうせどっかの間者だ。この分だと追跡を諦めそうにないし、かと言って宿の場所を知られれば夜中にこっそり侵入してきたりしそうだろ?」

「今すぐ蹴散らせば良いではないか?」

「騒ぎを起こせばより陰湿になるだけだ。それよりも宿屋で明日に備えた準備をしよう。」

「ふむ、分かった。」

「……西方教会の方々でしょうか……?」

「知らんな」


宿屋は目抜き通りを抜けて街の中心地にあった。入口の看板には「亜人お断り」と書かれ、店主はルウとリンを見るなり露骨に嫌そうな顔をした。


「お客さん。うちは亜人は……。」

「亜人?知らねぇな。ルウは鬼人だしリンは竜人だ。亜人ではない。違うか?」

「いや、ですが……」

「おにぃさん亜人でも泊まれる宿をお探しかい?なら街の外れに1軒あるからそっちに行けばいい。」

「あぁ。そうさせてもらう。」


教えられた場所に行くとそこには質素な造りの宿屋があった。街のと比べると大したことは無いが変な差別意識で嫌な思いをするくらいならこちらの方が100倍マシである。


「すみません。」

「いや?別に気にすることは無い。こっちの方が好都合だしな。」

「主、既に魔族の反応を街で見たぞ。既に災厄は始まってるのではないか?」

「……マジで…?」

「あぁ。竜の眼を前に隠し事はできない。」

「確かに魔力量が桁外れの人がいましたが……まさかその人達が?」

「ルウも気づいたか。あぁ。そういう認識で構わないだろう。」


誰が?一体なんのために?ダメだ。材料が足りない。情報を仕入れる為には……。ホントに使いたくない手だが、密偵を出そう。ちょうど都合の良さそうなスキルを解放している。隠蔽スキルで気配を消して捕まえた密偵もいる。


複数人用の大部屋を借りると俺はカバンから気絶したネズミを1匹取り出す。


「主……カバンの中が汚れるぞ?」

「ユウ様、一体どこでそのようなものを……?」

「密偵を放つ。まぁ、見てろって。」


ネズミを床に置くと銀色の笛を取り出す。そして視界のスキル欄から『魔物使いの音』というスキルを選択し発動させる。すると視界の左下に「個体名『リン』が抵抗しました。」との表記が出てリンがしかめっ面を浮かべる。


「主、その音色はなんだか嫌だ。」

「あぁ。お前は反応しちゃうか。一応魔物だもんな。安心しろ。ポンポン使えるもんでもない。」

「ならいいんだが」


安心しろ。俺はこの世界観を割と気に入っている。わざわざ仕事……を思い出すようなマネは避けたい。

少し指に傷をつけ血の文様をネズミに刻む。するとネズミは赤い光に包まれ、起き上がった。

「お前は情報を持ってこい。名前は……ウーノだ。」

チュッチュ。と可愛らしく鳴きウーノは夜のアーラムの街に消えていった。

「ユウ様、今のは?」

「街に密偵を放った。これで少しは情報が入るだろ。」

「ユウ様……失礼を承知で敢えて聞きますが前の世界では一体どんな事をなさっていたのです?」

「ん?あぁ。まぁゲームデザイナーだよ。」

「ゲームデザイナー……?」

「俺の世界では長距離通信用の端末で遊ぶことが出来たんだ。その遊びの幅を広げるのが俺の仕事。」

「……。もう1つあるのだろ?」

「竜眼相手にゃ暖簾に腕押しか。俺の親父の代迄だ。俺は継いでいない」

「それは一体……。」

「ほら、明日は早くから動く。もう寝るぞ。」

俺は手早く明日の支度を整えるとすぐさまベッドに入り固めのベッドで眠った。


翌朝。目を覚ますと大型犬くらいの大きさになったリンが隣で眠り、右手を喰われそうになる事件が発生したがなんとか無事に済んだ。


「さて、ブリーフィングを行う。」

夜も明けてない時間に密偵のウーノが戻り、情報を提供してくれた。それを踏まえてのブリーフィングである。

「我はまだ眠いぞ……。」

「おいリン……お前は俺の右手を食いかけた。その罰としてブリーフィングに強制参加だ。」

「うぬう。」

「第一お前のベッドもあるのに何故俺のベッドに潜り込んできた?」

「……寒かったからだが……?」

「……。はぁ。」


竜とはいえ変温動物の仲間なのか……?こりゃ北の方にはいなさそうである。


災厄まであと5時間。

残された時間は非常に少なかった

次回辺りで紹介入れます

すみません。


ついでに、ようやく第1の災厄です

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