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違う生活

クナギ

「う、う〜ん」


朝、起きるといつも体は入れ替わっていて、その日、最初に起きた方で主に活動している。


クナギ

「あ〜、昨日は着替えずに寝たから、私服のままだ〜」


そういえば寝る前に替わらず、そのまま寝たんだっけ。


クナギ

「まあいいわ。着替えましょ」


適当に下着を代えて、壁にかけていた女物の制服に着替えた。


クナギ

「京平、あんたも着替える?」


京平

『ん?ああ、一応着替えとく』


鏡に触れ、入れ替わり、京平も制服に着替え、再び鏡に触れた。


クナギ

「…せめて朝食を作ってくれてもいいでしょ」


京平

『パンが嫌なら、台所の棚にカップ麺があるから』


クナギ

「知ってるわよ!てか朝からカップ麺とか、どんだけカロリー取る気なのよ!」


京平

『じゃあ、パンを食べて』


クナギ

「む〜」


クナギは不満なのか頬を膨らませた。


クナギ

「もう、いい!」


クナギは食パンにバターを塗り、口にくわえて、外に出た。


クナギ

「初日から遅刻は無さそうね」


クナギは着けている腕時計を見て、安心していた。


クナギ

「あ、でもここはあえてパンをくわえて走るべきじゃ…」


クナギはパンを食べながら考えていた。


クナギ

「京平、あんたの意見は?」


クナギは鏡を取り出し、話し掛けてきた。


京平

『いや、僕に言われても分からないよ』


クナギ

「昔の出会いは学校に行く途中の曲がり角で、食パンをくわえた女の子とぶつかるのが基本なのよ!」


京平

『いや僕に言われても…、そもそもぶつかるのが基本って、昔の人は大変だったんだね』


クナギ

「京平に言うのが間違いだったかも…」


クナギはパンを食べ終え、学校まで歩いて行った。

ちなみにクナギがぶつぶつ独り言を言うのは僕に聞かせるためで、決して独り言が趣味ではない。

お互い何考えているのかさっぱり分からないから、声に出さないといけないのだ。

あと、鏡に映ってる姿は他人からみたら、クナギはクナギの姿が、僕は僕の姿が映ってるらしい。


クナギ

「え〜と、私のクラスは…」


掲示板を見てクナギは自分のクラスを探していた。

クナギが見ているのは僕にも見ているから、僕も自分のクラスを見ておいた。


クナギ

「ふ〜ん、京平と私は同じクラスか〜、向こうが気をきかせたのかしら?」


学校に入学する前に、学校の先生たちに事情は説明しておいた。

僕とクナギの出席数は互いに同じにするように頼んだ。


クナギ

「まぁ〜目の前で入れ替わってやったし、それくらいはしてもらわないと、困るしね」


教室に移動し、席を探した。

教室に入った途端に、注目を浴びた。

周りから綺麗や美人と言った言葉が聞こえた。


クナギ

「五月蝿いな〜」


クナギの姿は鏡でしか見ることは出来ないが、僕もクナギは美人の方だと思う。


男子A

「ねぇ君、名前を教えてくれない?俺は…」


クナギ

「私、あんたみたいにチャラい外見の人は嫌いだから、あっちに行ってくれない?」


男子A

「そう言わずにさ…」


クナギ

「しつこい!」


クナギは威嚇するような目付きで睨んだ。


男子A

「…!…下手に出てりゃいい気になりやがって!」


ついにキレた相手がクナギに殴りかかった。


クナギ

「自己防衛ってことで」


軽々男のパンチを避けて…


クナギ

「…ギア1」


呟き、男の腹を殴った。


男子A

「…ぐぶ!」


男はその場に倒れた。


クナギ

「自己防衛だから、文句は無いわね」


気絶している男に言っても意味が無い気がする。

ちなみにクナギが呟いた『ギア1』は、霊力を使って身体能力を底上げする術で、最大ギア3まで可能らしい。


クナギ

「…京平、替わるわよ」


他人に聞こえない程度に呟き、教室を出た。


クナギ

「ここならいいかな」


クナギは辺りを見渡し、鏡を取り出して、鏡を触った。


京平

「どうしたの?」


クナギ

『見てたならわかるじゃろ、興ざめしたのじゃ』


京平

「わかったよ」


僕の鏡をしまって、教室に戻った。





再び教室の注目を集めたが、それは一瞬だけでみんなすぐに話を再開した。


京平

「…クナギとは大違いだな」


聞こえないように呟き、自分の席を探し座った。

少しすると、担任の先生らしき人が入って来て、体育館に移動した。

体育館では校長先生からの話やら、担任の発表やらがあった。

再び教室に戻り、ホームルームが始まった。


先生

「まずは自己紹介をしましょう。私はあなた逹の担任になった。桜木桃江(さくらぎ ももえ)です」


男子B

「先生ー、どこに居ますか?まったく姿が見えないんですが…」


確かに声はするが姿が見えない。

周りを見渡しても見つからない。


先生

「私はここですよ!」


声がする方を見ると、教卓の後ろから自己主張を必死にしている女の子(?)がいた。

俺は教卓の近くに座っていたから、席を立って、教卓の後ろを見た。


先生

「あー、勝手に席を立たないでください!」


京平

「あ、すいません。…そこの椅子を使ったらいいんじゃないですか?」


僕は教卓の横にある椅子を指差した。


先生

「…あぁ!確かにそうだね」


先生は椅子を教卓の後ろに運び、椅子の上に立った。

僕は席に戻り、座った。


先生

「では改めまして、私が担任の桜木桃江です。みんなこれから一年よろしくね」


生徒一同、唖然。

さっき体育館で紹介された担任の人と違うからだ。


女子A

「先生、さっき体育館で紹介された人は何ですか?」


桜木先生

「副担任です」


生徒一同、沈黙…

僕は反応に困っていた。


桜木先生

「あれ?何ですかこの沈黙は?」


先生も沈黙した生徒たちを前に焦っている。


桜木先生

「まあいいでしょう。何か聞きたいことは有りますか?歳とスリーサイズ以外なら答えますよ」


女子B

「彼氏はいますか?」


桜木先生

「いません。なぜか出来ません」


男子C

「本当に先生ですか?」


桜木先生

「失礼な!私はちゃんと教員免許を持っていますよ!」


男子D

「実は子…」


桜木先生

「子どもじゃありません!私はれっきとした大人です」


生徒D

「…説得力ないです」


確かにスーツ姿ならまだ説得力があるが、着ている服は子供服だった。


桜木先生

「何だかみんなの質問が強烈に酷いので、みんなの自己紹介をしてください」


教卓に両手をついて、先生は落ち込んでいた。


男子B

「俺からやな、俺は…」


自己紹介が始まった。

みんなそれぞれ自分の名前と好きなものと得意なことを言っていった。


京平

「得意なことね…」


正直、何も思い付かなかった。

そして自分の番になり…


京平

「僕は高崎京平です。特技は特に無いです」


言い終わると席に座り、そのまま残りの人の自己紹介を聞いた。

何か冷たい視線を感じたが、気のせいだろう。

クナギの自己紹介は本人が来てからする事になった。


京平

「さてと、帰るか」


放課後になり、席を立って教室から出た。


京平

「…迷った」


下駄箱に向かって歩いたつもりだけど、一向に着かない。それどころか見たこと無い場所に居る。


???

「…ください。……です」


???

「…じゃねえか。……なんだろう」


男と女の人の会話が聞こえた。

道を聞こうと思い。声がする方に向かった。


???

「止めてください!嫌です!」


???

「いいじゃねえか。好きなんだろう」


どうやら見てはいけない場面に出くわしたようだ。

こうゆう時って…


???

「そこの人!助けてください!」


助けを求められる。でもって…


???

「はあ?邪魔すんじゃねぇ!」


何故か標的になる…。


京平

「…はぁ、ん?何処かで見たような…」


男の顔に見覚えある気がするが、気のせいだろう。


女子生徒

「お願いです!助けてください!」


女子生徒が必死に助けを求めてるので、助けることにした。


京平

「え〜と、そこのチャラくて、いかにも不良の人、目障りだし、相手にするのも疲れるから…」


男子生徒

「はあ?てめ〜、殺す」


相手がキレそうな事を言ってみたが、すぐにキレた。

男は殴りかかってきた。


京平

「自己防衛ってことで、って前にも言った気がする…」


取り合えず攻撃を避けて、相手の腹を殴り


京平

「…破!」


霊力の塊をぶつけて、壁まで飛ばした。

クナギから教わった技だけど、加減が難しい。


京平

「あ、思い出した。こいつクナギにやられたヤツだ」


しかし、弱いな…

殴るモーション、大きすぎて、簡単に避けれたし。

まだ久呂木の不良の方が強かった。


女子生徒

「え…と、あの、助けてくださり、ありがとうございます」


京平

「あ、いえ。襲われたから、反撃しただけです」


クナギ

『挑発しといてよく言うのぅ』


廊下に設置されている鏡からクナギが野次を飛ばしてきたが無視した。


女子生徒

「あの…、お名前を教えてくれませんか?」


京平

「そのうち分かるよ。えっと、中島梨恵(なかじま りえ)さん」


中島

「え?どうして私の名前を?」


京平

「クラスが同じだから」


中島

「なら、教えてくださっても…」


京平

「それより、下駄箱までの道わかる?道に迷って困ってるんだ」


中島

「下駄箱ならそこを曲がってすぐですよ」


京平

「ありがとう。じゃあね」


俺は走って角を曲がり、鏡を取りだし、触れた。


クナギ

「…いきなり換わるんじゃないわよ」


京平

『ごめん』


クナギ

「まぁいいわ、それより…」


中島

「あれ?いない…。あの、さっきここに男の人が走って来ませんでしたか?」


クナギ

「それなら外に出たわよ」


中島

「わかりました。ありがとうございます」


中島さんは走って行ってしまった。


クナギ

「罪作りな男だね、あんたは…」


京平

『五月蝿い。‘アイツ’の視線を感じたんだよ』


クナギ

「そんな訳無いでしょ、彼女は久呂木に居るんじゃない?」


京平

『取り合えず帰ろう。誰かに見られたら変人扱いだよ』


クナギ

「それもそうね。じゃあ、帰りましょう」


クナギに換わったまま、家に帰った。

その日、クナギは荷物を片付け終わることは無かった。






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