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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第69話:バベルの深淵、管理者との対話

バベルの最下層、演算空間の核心部に到達したカイたち。そこに待っていたのは、エニグマの管理者からの「世界を初期化する」という非情な選択肢だった。カイたちは、自分たちの歩んできた軌跡を守るため、拒絶の意志を示す。

 地下倉庫の排除執行官を撃退した俺たちは、バベルの最下層へと続く隠し通路を突き止めた。そこは、これまでの塔の構造とは明らかに異質な、冷たく無機質な純白の空間が広がっていた。

「……ここが、エニグマの心臓部。……演算空間の最奥ね。物理法則なんてあってないようなものだわ」

 アオイが端末を掲げるが、画面はノイズで埋め尽くされている。この場所は、エニグマが直接世界を制御するための核心部なのだ。

「……マスター、警戒を。……この空間にいるだけで、私たちの『定義』が書き換えられようとしています。……エヴァ以外、この演算圧力には耐えられません」

 エヴァが俺を庇うように前に出る。彼女の身体が微かに火花を散らしている。俺たちの存在そのものを「バグ」として修正しようとする圧力が、この空間には満ちているのだ。

「……させませんわ。私の赫炎が、この空間の『論理』さえも燃やし尽くして差し上げます!」

 レナが前へ出る。彼女の赫炎の裁きが、純白の空間を赤く染め上げる。セイラもまた、香炉を強く握りしめ、聖なる鎖で俺たちの周囲に強固な境界を作り出した。

「……行きますよ、カイくん! ここを壊せば、この世界は私たちに都合のいいように書き換わるはずです!」

 ユズが手際よく、空間の歪みへ干渉する爆発物を設置する。

 その時だ。

 空間の中心に、一つのホログラムが浮かび上がった。それは俺たちが見たディスクの記録にいた「管理者」の姿だった。だが、今の管理者には「意思」のような冷徹な光が宿っていた。

『――東雲カイ。因子(因子)よ。お前たちの抵抗は予測範囲内だ。だが、この世界が「最適解」へ向かうための通過儀礼である事実は変わらない』

「……予測範囲内だと? ……ふざけるな。俺たちは誰かの実験台なんかじゃない!」

 俺は因果絶断の力を込めて拳を握る。

『実験か、あるいは救済か。……それは、お前たちがこれから下す選択によって決まる。……バベルの最下層へ辿り着いた報酬として、お前たちに一つの選択肢を与えよう。……この世界を初期化し、お前たちが望む「日常」へ戻すか。それとも、今のまま、歪んだ世界を生き続けるか』

 管理者の言葉に、レナたちの表情が強張る。

 初期化。それは、彼女たちがカイと出会い、絆を深めてきたこの苦難の記憶すらも消去されることを意味していた。

「……そんな選択肢、必要ありません」

 エヴァが冷たく言い放つ。

「……私たちは、この世界で得た記憶と共に生きる。……それが、マスターが選んだ因果ですから」

 彼女の強い言葉に、レナたちも力強く頷く。

 俺たちは、誰かに与えられた「日常」ではなく、自分たちで切り開いた「未来」を選ぶために、管理者のホログラムを睨みつけた。

第69話、お読みいただきありがとうございました!

物語がいよいよ終盤へ向けて動き出します。「初期化」という誘惑に対して、ヒロインたちがどう向き合うかを描きました。エヴァの力強い言葉が、彼女たちの絆を象徴しています。

次回、管理者との直接対決が始まる……!

続きが気になる方は、ぜひ☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

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