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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒
Phase 3:【拡張・廃墟都市編】

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第66話:備蓄の向こう側、ヤトの正体

食料を確保した矢先、カイたちの前にヤトが立ちはだかる。彼女が告げたのは、カイの力への疑念と、備蓄倉庫の奥に隠された「真実」についての不吉な予言だった。ヤトの目的とは? そして、備蓄倉庫が隠していたものとは?

 かつての仲間を解放し、重苦しい沈黙が地下倉庫を支配していた。レナとセイラの目にはまだ涙が浮かんでいるが、彼女たちは互いの手を取り合い、気丈に振る舞っている。

「……感傷に浸る時間は終わりです。さあ、倉庫の奥へ。ここを片付けたら、次は食料の確保ですわ」

 レナが鼻をすっと鳴らし、先導を切る。その後ろをセイラが静かに続き、ユズが「ここからは私の専門分野ですよ」と気合を入れ直して後に続いた。

 倉庫の最奥、厳重に封印されていた扉を、ユズの爆発物とアオイの地形解読を組み合わせてこじ開ける。そこに積み上がっていたのは、確かに学園が管理していた非常用食料と、わずかながら残された生活物資だった。

「……あったな。これだけあれば、しばらくは食い繋げる」

 カイが物資を確認し、安堵の息を漏らす。だが、その背後で、エヴァが警戒音を鋭く鳴らした。

「マスター、警戒。……高純度のノイズ反応。……この空間内に、私以外にも『神の断片』を制御できる個体が存在します」

 その瞬間、備蓄の山が音を立てて崩れ、その向こうから黒い影がゆっくりと現れた。ヤトだ。彼女はこれまでのような神出鬼没な姿ではなく、真っ直ぐにカイたちを見ていた。

「……ようやく見つけたようね、東雲カイ。お前たちがこの『備蓄』に辿り着くことこそ、物語の確定した分岐点」

 ヤトの瞳には、感情が欠落したような無機質さと、何かに絶望しきったような深い色が混ざり合っていた。

「ヤト、お前、一体何者だ? 敵か、味方か?」

 カイの問いかけに、ヤトは自嘲気味に笑う。

「敵? 味方? ……そんな単純な定義でお前は私を測れると思っているの? この世界で最も損な役割を押し付けられた存在の私に…」

 彼女が手をかざすと、空間が歪み、カイたちの視界が激しく点滅する。それは、彼女が「世界の法則を揺るがす特異点」であることを示す現象だった。

「お前たちが『因果絶断』で世界を書き換えるたび、私はそのしわ寄せで存在を消されるの。……ねえ、東雲カイ。お前は本当に『生存確率』を上げているのか? それとも、ただ不幸の総量を別の場所へ押し付けているだけなのか?」

「……それは……」

 カイが言葉に詰まる。俺の力は確かに誰かを救っている。だが、その代償は誰が払っているのか。ヤトの問いは、心臓を直接握りしめられるような鋭さでカイを貫いた。

「……ヤト。……マスターを惑わせないでください」

 エヴァがカイの前に立ち塞がり、冷徹な光をヤトへ向ける。

「……フン、相変わらずね、機械女。だが、教えてあげる。この備蓄倉庫の奥には、食料以外の『真実』が眠っている。……それをお前たちが知ったとき、本当の『絶望』の意味を知るはずよ」

 ヤトはそう告げると、次の瞬間には影の中へと溶け込み、姿を消した。倉庫の中には、先ほどまで彼女が立っていた場所に、一枚の古いディスクだけが残されていた。


第66話、お読みいただきありがとうございました!

ヤトの言葉がカイの胸に突き刺さる回となりました。彼女の指摘する「因果絶断の代償」は、今後の物語の重要な鍵となります。

次回、ディスクに隠された真実が明らかに!

続きが気になる方は、ぜひ☆☆☆☆☆から応援よろしくお願いします!

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