4話
デート回の間に小休止を一つ。
今回は桃ちゃんの独白です。
短めですが、どうぞ。
杏さんのことを意識し始めたのはどの時期からだろう。
つい最近? それとも中学生になったばかりだったあの頃? ……いや、きっと最初からだったんだ。初めて杏さんと出会ったあの日。私に綺麗なものを見せてくれた、あの日から。
──初めまして。私は「杏」。「神崎杏」っていうの。君の名前を教えてくれない?
あの日、私は何もする気力が起きなかった。大好きだったお父さん、お母さんが二人とも居なくなってしまったから。もう、全部がどうでもよくなって、消えてしまいたかった。そんな時に杏さんに出会ったの。
初めて杏さんに会ったとき、変な人だなって思ってた。他の人とは違って、ちゃんと私のことを見ている目をしてたから。他にもそんな感じの目をしていた人もいたけど、杏さんのは他の人とは全然違った。理由は分かんない...けど、そこから私は杏さんに惹かれていったんだと思う。
──テスト満点?! 凄いね桃ちゃん!! よぉし、今日はご褒美にご飯食べに行こっか!
──誕生日おめでとう桃ちゃん! 今日は私張り切ってご馳走作ったからね! ちゃんとプレゼントも用意してるから、まずはご飯にしよっか!
──どうしたの桃ちゃん? ……うん、落ち着くまで、胸貸してあげるね。
──大丈夫、私はいなくならないよ。ずっと側にいるからね。指切りげんまんする? 私ね、結構約束は破らない主義なんだよ?
最初はぎこちなかったかもだけど、杏さんとの日々はとても楽しかったし、今でも凄く楽しい。そうしている内に、気付けば私の頭の中は杏さんでいっぱいになっていた。ふとしたときには目で杏さんを追っていたりした。そして……大好きになっていた。
杏さんの綺麗な顔が好き。杏さんの結構面倒くさがりな性格が好き。杏さんの時折見せる格好良さが好き。杏さんの私の呼ぶ声が好き。杏さんの匂いが好き。杏さんのスーツ姿が好き。杏さんの仕事モードが好き。杏さんの寝顔が好き。杏さんの喜ぶ顔が好き。杏さんの……全部が言葉に出来ないほど大好き。
ああ、なんで日本では同姓婚は認められてないのだろう。認められてたら今すぐにでも杏さんと結婚したいのに。
ならせめて、ずっと……ずーっと一緒にいたいな。二人でずっと暮らして、死ぬときも一緒に死ぬ。そして一緒のお墓に入って、天国でも二人で過ごす。これが最高の幸せ。
杏さんは私とずっと一緒にいてくれるって約束してくれた。だから、杏さん────
──私だけを見ててくださいね?
病み度はまだ軽め...っぽいかなぁ。
ここからさらに加速していくといいな()