5話
(今回病み要素は)ないです。
お待たせしました。
現在時刻は7時45分。私こと、神崎杏は一人で外にいます……そう、一人で。
私が外に出る少し前にね、桃ちゃんが一人で外に出ていったの。なんでかなっておもって聞いてみたら、
『デートと言えば、待ち合わせなんです!』
だって。そういうのは彼氏が出来たらやるものじゃないのかなーって思ってるんだけど、出来たときのデートの練習も兼ねてるのかな? 待ち合わせってこんな感じって知っておきたい的な。
……想像したらなんかやな気持ちになっちゃった。桃ちゃんに彼氏かぁ……いつかは出来るんだろうけど、今はまだ私の目の届くとこにいて欲しいなぁっていうのは私の我が儘かな?
っとと、確か待ち合わせ場所は駅前の噴水前だったよね。家から歩いて15分くらいだっけ? 集合時間は8時だし、丁度いい感じかな。
日曜日ということもあって、人通りが普段よりも多い。勿論若い人が大半を占めてるっぽい。
……大丈夫かな、服装。浮いてないよね? 流行はイマイチ分かんないから基本服買うときは店員さんのお任せにしてるんだけど、大丈夫だよね? もう私もおばさんだからな……あのおばさん服ダサイとか影口叩かれてるの聞こえたら暫く引きこもる自身あるよ……いや仕事で引きこもれないんだけどさ。それにまだ仕事中はスーツだからセンス云々は言われないし。
おや、噴水見えてきた。さて、桃ちゃんは……うわお、すっごい目立ってる。桃ちゃんの周りだけなんか別次元になってるよ……私服桃ちゃん凄く可愛いからね。仕方ないのかもね。
……なんか桃ちゃんの所行くのやめた方がいい気がしてきた。だって完全に釣り合ってないもんね。こんなおばさんと花の女子高校生である桃ちゃんだよ? 桃ちゃんに変な噂とか立つかもしれないし……でも行かないとなぁ。桃ちゃん待ってるし。
『うわ、あの娘すげぇ可愛いな……』
『おい、ちょっと声かけてこいよ』
『どこかのお嬢様かな?』
『待ち合わせっぽいなぁ……彼氏か? クソッ、あんな可愛い娘が彼女だなんて妬ましいなぁ……!!』
ますます行きにくくなった気がする。ここで行ったらかなり目立つぞ私。そして陰口を言われる気しかない。そうなったら泣くよ? 当然心の中でだけど。
「あ、杏さん!!」
気付かれちゃった。結構人混みに紛れ込んでたと思ったんだけど……タイミング見計らって行くつもりだったのに。とりあえず待たせたからね、謝らなきゃ。
「待たせてごめんね、桃ちゃん」
「いえいえ! 今さっき来たところですから!」
んー、ここで私が出るより前に出たんだから結構待ったよねって突っ込むのは無粋かな。流しておこ。
「桃ちゃんの私服、似合ってるよ」
「本当ですか!?」
「うん、凄く可愛い」
「か、可愛い……そうですか……えへへ」
可愛い。だからこそ私が浮いてる気がする。
「あ、杏さんの格好……」
「あれ、ダメだったかな。これしかなくてさ……」
「いえ、ダメでは無いといいますか、最高ではあるんですけど……」
遅れたけど、私の今の格好は所謂メンズに近い。ボーイッシュっていうんだっけ? え、違うの?
……まぁとにかく、あんまり女性らしくない格好なんだ。店員さん曰く、私には女性らしくやるよりもこういったものが似合うのだとか。顔立ちもだし、胸もあんまり無いしね。私服には拘らないタイプだからそれでも困ってないんだけど……たまに男の人に間違えられるくらいかな。
……っていうか、さりげなくめちゃくちゃ褒めてくれてなかった?
「杏さんはもっと女性らしい格好も似合うと思うんです!」
「そうかなぁ……」
「あ、そうだ! デパートの服屋行きましょう服屋! 私が杏さんに似合う服見つけますので!」
「え……」
「さ、行きますよ杏さん!」
「ちょ、痛い! 引っ張らないで桃ちゃん!?」
こうして、私達のデート(?)が始まった。
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「……あの、桃ちゃん?」
「はぁぁ可愛いです!! あ、すみません杏さん! こっちも似合うと思いますので着てみてください!!」
「……この歳でこの服は恥ずかしいんだけどなぁ」
「恥じらう杏さんも可愛い……!!」
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「……恥ずかしかった」
「むぅ、もっと見たかったのに……」
「というか、こういうのって桃ちゃんが着るものじゃない? 桃ちゃんの分、買ってないけどいいの?」
「いいんです! 凄く楽しいですから!」
「会話してない気がするなー……」
……あっと、もうお昼の時間か。どんだけ服屋にいたんだろ……なんかごめんなさい、店員さん。
「ね、お昼何が食べたい?」
「杏さんと一緒なら、どこでも!」
「割とその返事困るなぁ……とりあえずフードコート行こっか」
あそこなら店が沢山あるし桃ちゃんも食べたいもの見つかるはずだよね。
んで、二人で並んで歩いてフードコートまで行ったはいいんだけど……人が凄く多い。席がほぼ埋まってるよあれ。
店にも並んでいる人いっぱいいるなぁ……どうしようか。
お、あそこのラーメン屋さん少なくなってる。行くなら今だけど、仮に買えたとして席が無ければ食べれないよね……仕方ない、お願いしよう。
「ねぇ桃ちゃん。ラーメンでもいいかな」
「勿論です! 久しぶりですよね」
「確かに、そういえば最近食べてなかったかも。それでさ、買ってくるから席を探しておいてくれない?」
「分かりました。私は杏さんと同じようにものをお願いします!」
「了解」
別れて早速ラーメン屋さんに並んで豚骨ラーメン2つと餃子一人前1つを注文する。桃ちゃんも確か脂っこいのは嫌いじゃなかったはずだし、私も食べたかったからね。しかもここ、めちゃくちゃ素早いのが特徴なのか、ほんの2、3分くらいしたら2つの豚骨が出来上がっていた。お客さんが少ないっていうのもあるんだろうけど、かなり早いね。席があればすぐ食べられそう。
「まいど、一丁あがり!」
「ありがとうございます」
ラーメン2杯と餃子が乗ったおぼんを持って桃ちゃんを探す。桃ちゃんは割と目立つからすぐに見つかると───────なにあれ。
『ねぇ君1人? 俺たちと遊ばない?』
『1人でいるより絶対楽しいと思うなぁ』
『やめてください! 私はここの席で待ってる人がいるんです!』
『そんなの放っておいて遊ぼうぜ?』
『それがいいって!』
……桃ちゃん男2人にナンパされてる。ナンパしてるのは大学生かな。桃ちゃん嫌がってるじゃん……はぁ、仕方ない、か。
私ははや歩きで桃ちゃんの元に近づき、強引に割り込んでその席にラーメンをドンッと置く。少し汁が飛んでいったけど気にしない。
「……私の連れに何か?」
声を低くしてその2人をギロッ睨み付ける。するとその2人は度胸がないのかヒッと声をあげた。
「杏さん!」
「ごめんね桃ちゃん。遅れちゃってさ……さて、もう一度聞きましょう。
私 の 連 れ に 何 か ?」
「「───ご、ゴメンなさぁぁぁい!!!」」
……ちょっと睨んだだけで逃げちゃうとか、本当に意気地無しだったのかしら。おっと、それどころじゃないね。
「桃ちゃん大丈夫だった? 何もされてない?」
「は、はい……杏さんが、助けてくれたから……」
「……どしたの桃ちゃん。顔、赤いけど」
「い、いえいえなんでもないです! ラーメン食べましょ、ラーメン!! 冷めないうちに!!」
「そ、そうだね。食べよっか。それじゃあ──」
「「頂きます!」」
食べながら、このあとの予定を2人で話し合う。ゲームセンター、桃ちゃんの洋服を見に行くなど、色々案が出てくる。
私達のデートはまだまだ続くみたいだ。




