第十二章①『太陽と花の決闘』
眩い真昼間に照らされるは、白煉瓦造りの聖なる城塞。
白陽に澄み渡る青天に開かれた城の頂にて。
勇壮に耀く威風堂々たる太陽、と清廉に輝く高潔の月――あまりに対照的な双方は、聖なる闘技場と化した祭壇で対峙している。
八代目イムベラトル王もといシャムス――太陽の耀きを映したような白金の長髪をなびかせ、柘榴さながら艶やかな唇を吊り上げている。
高貴な金の瞳に浮かぶは、氷柱のごとき殺意と高揚の炎。
対峙しているのが常人であれば、業火の太陽さながらに燃える王の殺気だけで発狂死する恐れがある。
白陽で光り輝く強壮な肉体は、神々しい美しさと王威に満ち溢れている。
滑らかで逞しい右手には銀月の剣、左片手には黄金の太陽の斧を握りしめている。
誇り高き黄金獅子さながらに吠え猛りながら、シャムスは相手を見下す。
「さぁ、始めるとしようではないか――!」
一方、陽光で清らかに澄んだ緑の長髪を、草のように美しくなびかせているのはエレツ。
女性特有の柔らかな美で造形された白い顔は、少女のようにあどけない。
薄桃色の唇には、母性すら感じさせる優しい微笑みを咲かせて。
シャムスとは違い、エレツは武器らしきものを何一つ手にしていない。
ただ、一輪の美しい花のように微笑んだまま、好戦的なシャムスを静かに映す。
全てを焼き尽くそうと好戦的な太陽に、今のシャムスを喩えるのであれば、さしずめエレツは、灼熱の荒野に慎ましく咲くたおやかな花のよう。
一触即発の雰囲気で対峙する双方を、少し遠くから見守るエアは、気が気でならなかった。しかし、エアは未だ気付いていない。
一枚の美しい葉の形をしたエレツの瞳の色に。
まるで、好敵手を前に胸を躍らす無邪気な少年らしい耀きが、今のエレツに灯っていることも。
太陽と月、天と地のごとく、どこまでも壮麗かつ勇壮――あまりにも対照的な双方を、野花のように無垢で可憐な少女は、不安げな蒼海の瞳で静かに見守っていた。
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