第十三章⑬『三人』
「ふふっ。君も素直じゃないよね、シャムス。嬉しいなら嬉しい、と素直に口にすればいいのに」
「たわけ。だが、せっかく親友とのおそろいの贈り物だ、まあ仕方あるまい。王の寛大さに免じて、受け取ってやらんこともないぞ、エア」
「はい! ありがとうございます、義兄さま、エレツ――」
「ふん、調子の良い奴め……だが、両手に花とは、まさにこういうことだな」
相変わらず尊大な態度のシャムスだが、エアを一瞥した眼差しも声も、どことなく温かな色を帯びていた。
そんなシャムスの心裡を見透かしたうえで、隣のエレツもにこやかに微笑む。
日向のように温かな双方の眼差しに包まれ、エアの顔には天真爛漫な花のような笑顔が咲く。
嬉しそうなエアの表情に、エレツも愛しい我が子を慈しむ親に似た微笑みを咲かせる。
シャムスですら、憮然とした顔を微妙に紅潮させ、口元も微かに緩んでいた。
エア、エレツ、そしてシャムスの三人は、梔子の幸福な芳香に抱きしめられるように、甘やかなで平穏な瞬間を共に過ごした。
白昼は、庭園に咲き乱れる彩りの草花と果実の香りに癒されながら憩う。
夕刻は、ザハブの中心を貫く清涼なフラート川の前を歩きながら、夕焼けの淡い月を共に眺める。
夜は、芳しい夕食に甘い果実と甘露を味わいながら歓談する。
在る日の夜更けには、星空の天蓋に抱かれながら、三人で肩を並べて眠ることもあった。
薄紫色の夜を超えて、始まりを迎える朝日を眺めながら、三人は共に目覚め――。
青く透き通った朝空の上で、日輪に照らされた昼空の下で、共に笑い――。
終わりの近づきを告げる切ない夕陽に照らされながら、共に語らい――。
真珠色の月に癒され、運命を占う満天の夜空の下で、共に眠り――。
エアの幸福な日々は、いつもエレツとシャムスと共に在った。
連なる願い星が紡ぐ永遠を象徴するアイビーのように、三人と共に在る日々はいつまでも続く――エアはそう密かに願わずにはいられなかった。
たとえ不滅を司るアイビーですら、いつかは枯れ果て、土に還る運命にある真実を、エアは心に知っていながらも――。
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