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遥か遠い昔、幾千の星の生命溢れる時の記憶まだ龍が大空に君臨していたころ…
ある時、天空から黒き竜が舞い降り、少年に一つの問いを投げ掛けた。
「小僧、………とは?」少年は突如現れた黒き龍にも驚くこともなく問いに答えました。
「………。」
その答えを聞き龍は少年に三つの宝玉を授けた。
そして…………
『またこの夢かぁ…』
意識の遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「フ……フェ…フェイ、フェイ!もう昼過ぎてるんだよ!起きて!フェ〜イ〜ィ〜」
薄目を開くと身体を揺さぶり、寝ている僕を起こそうとする茶褐色の長い髪の毛を後ろで纏めた少女がいた。
「ったく、なんだよ!レイナぁ〜はぁわ〜ぁ」
黒色の短い髪をした少年、フェイはあくびをしながら頭を掻いた。
「忘れたの!?フェイ まったくいっつもこうなんだから 今日は新国王様のお披露目パレードでしょ?」
「そっかパレードかぁってパレード!?」
茶褐色の髪の少女、レイナの言葉で一気に目が覚めて、レイナに文句をいいだした。
「なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよぉ」
「幼なじみのあたしが起こしに来てるだから文句より感謝しなさいよね」
レイナはフェイの頬を軽くつねる。
「それより早く行こう。外で待ってるから早く用意してきてよね」
レイナはフェイの頬から手を放し、外に出ていった。
暫くして外で待つレイナの元へフェイが現れた。
「お待たせ さぁ行こ!」
二人はパレードを見るため大通りに向かった。
〜フェレストア城〜
都市の中央にある巨大なお城、フェレストア城。周囲をぐるりと囲むように塀と堀があり、四方に門と跳ね橋がある。
「ふっ前国王を亡きものにした今、やっと国王の座を手にいれることができた。後は残り二つのオーブを手に入れれば、世界を我が手に」
ふくよかなお腹を携えた小柄な中年の男、ラムダスが狡猾な表情で呟いた。
「ラムダス陛下」
ラムダスの前に跪く白いローブを着た白髪混じりの短い髪をした中年の男、キルクがいた。
「なんだ、キルク」
「前国王の娘はどういたしましょう」
「暫くは部屋にから出すな、民衆の前に出られては面倒なことになりかねんからな」
「分かりました」
そこに衛兵がやってきた
「陛下!パレードの準備が整いました」
「おぉ、もうそんな時間だったかではそろそろ行くか」
新国王ラムダスはパレードに向かった。
〜城下街〜
「やばもう始まってるし、しっかしすげぇ人だな」
都市を一周する大通りにはパレードを見るために来た人だかりでいっぱいだった。
「これじゃ見えないや、どこか見えそうなとこないかな」
そう周囲を見回していると見知った人物を見つけて話しかけた。
「リーシュ!!」
耳にかかるほどの長さの赤色の髪の毛をした少年、リーシュが答えた。
「フェイとレイナじゃないすか、二人もパレードを見に来たんすか?」
「うん、でも人が多くて見えなくて」
「なぁ、リーシュなんかいいとこ知らないか?」
「それならやっぱり!あそこでしょ着いてくるっす」
フェイとレイナはリーシュの後を着いて行きました。
〜フェレストア城〜
「クレア様」
霧のようなものが現れ、人の形へと変わる。
「どうでしたか?ミスト」
深緑の艶やかな長い髪に気品の感じられる装いの青年女性、クレアは霧のような人物、ミストに問い掛けた。
「やはり、ラムダスの目的はオーブにあるようです」
「そうですか…そのためにお父様を…」
「どういたしますか?」
「オーブを持ち出しましょう、ラムダスには渡せませんからね」
「では、ラムダスがパレードに出て兵も少ない今のうちなら持ち出せます。あと…部屋のカギは開けておきました」
ミストは霧散した。そして、クレアは部屋を出て、オーブのある宝物庫に向かう。
クレアは何事もなく宝物庫の扉の前に着くとミストが現れた。
「ここはお任せください。今、宝物庫のカギを開けます」
ミストが霧散するとガチャガチャっと音がし扉が開く。そこには怪しげに朱い輝きを放っている宝玉があった。
「早く持ち出しましょう」
クレアはオーブを取って部屋を出た瞬間、声がした。
「そこまでだ!」
声の方向を向くとそこには、ラムダスの側近のキルクがいた。
「まったくどうやって部屋から抜け出したのか。まぁいい、オーブを返してもらおうか?」
「姫!ここは私にお任せください」
「ミスト!」
「なんなんだこの霧は身動きが…」
ミストは霧のような姿でキルクの周囲にまとわりつき、邪魔をしている。
「早くクレア様!すぐ追いかけますから行ってください」
「すみません。ミスト」
クレアは城の外へと駆け出した。