悲哀通告
ミカが狭いと言っていた通り
本当に小さな村だった
人口20人ほど………
それも老人たちがほとんどを締めている
「少し前はもうちょっといたんだけどね……」
ミカの悲しそうな顔に
何があったのかは聞けずにいるうちに
最後に離れを案内された
「ここで好きなだけ休んでいいから
おじいちゃんの物置きだし
適当にくつろいじゃっていいよ〜
何か困ったことがあったら 来ていいからね
ご飯の時間になったら また来るから〜」
じゃっと 片手を上げるミカを
俺は見送り 辺りを見渡す
ミカは物置きだと言っていたが
小さな本棚くらいしか
物がなく掃除もこまめにされている
6畳ぐらいの場所
適当に目についた本を 引っ張り出す
目についたというのは
俺の知らない知識を補完するためだ
農業やキノコの本もあったが
詳しくは無くても 記憶にあるので
時間があれば読んでみよう
俺が取り出した本は
ヴァイス王家の歴史
異人と魔物の関連性
神に仕える者
最後のは
その手の本が大量にあったので
どんなものかと手に取ってしまった
その中でも1番記憶になさそうで、興味をひいた
異人と魔物の関連性 という本を開いてみる
異人と魔物の関連性 A へロー
異人 自身をここではない世界からきたと
言われている者の通称
彼らはこの国の常識を知らず
この国より遥かに
発達した世界から来たと言っている
普通なら異常者扱いなのだが
異人達は例外なく強い
見た目からは想像もつかないほどの
身体能力を有し
神の祈りなくして
神術のような力を行使する者
大抵その2つを持つものが異人とされている
神が肉体を得て常に現界した姿が
異人の正体ではないかと私は考える
近々異人と会える機会がある
私が今回筆を取ったのはそれが理由だ
次に魔物について
コンコン
「入っても宜しいかな?」
扉の外から村長の声が聞こえる
俺は本を閉じ「はい どうぞ」
と出迎える
村長は無表情に
「悪いが明日の朝には
この村から出ていってもらいたい」
しかしとても悲しそうな声で俺に告げた




