歪な喧嘩
「明日出ていけ〜?
どーゆーことおじいちゃん!?」
ミカがテーブルをガタンと叩く
「村民一致で決まったことじゃ
イシノギさんにも、了承してもらっとる」
村長はパンを口にしながら言う
そ~なの?とこちらを見るミカ
「あぁ……」
俺は小さく返事をする
今は村長宅にお呼ばれして
村長 ミカ 俺 ヴァネッサの4人で
夕食をとっている
パンとスープだけだが
暖かい食事はありがたいものだ
「おじいちゃん 私賛成してないけど?
私もこの村の 一員なんだけど?」
ミカは険しい顔で村長に 詰め寄る
「お前はまだ15歳だ 一途期の感情だけで
決めてはならないことも あるんだよ
どんな事を しでかしたかもしれない
青年を村に匿うことは村にとって
よくないんじゃ」
村長はミカを たしなめるように言うが
「匿うって……2 3日後には
ヴァネッサちゃんが村を離れるんだから
明日すぐじゃなくていいじゃん
クヌギ君1人だと
街まで送ってあげなきゃ危険だよ?」
なおも詰め寄るミカ
「もう決まったことじゃ」
村長は問答は終わりとばかりに
1人食器を片付け始める
「ヴァネッサちゃ〜ん
クヌギ君に付いて行ってあげれな〜い?」
そう
ヴァネッサならきっと快諾してくれると思っていた
今までも多少無茶な お願いも聞いてくれた
自分にとって唯一無二の親友なのだから
しかし
「無理だな 私にも予定というものがある
3日後 ついでに街まで送るなら構わないが
急に明日送れとなると……」
ヴァネッサは冷たく突き放す
予想外の言葉を聞き しばらくの沈黙の後
「もういい もういい
皆クヌギ君が心配じゃないんだね」
パンを頬張り スープで流し込むと
「ヴァネッサちゃんの事も知らない!
何の予定か知らないけど、勝手にどっか行っちゃえ
おじいちゃんもだよ!
みんな賛成してたって言っても、ちょっとの間
泊めてあげるくらいよかったじゃん」
ダンっという音と共に
ミカは自室に閉じこもってしまった
俺がヴァネッサに話をしようとすると
こちらに手の平を向け
「すまないが静かにいただきたいんだ」
俺とヴァネッサはその後会話もなく
静かに夕食を食べ終えた
村長の家を2人揃って出る
ヴァネッサが離れまで送ると言ってくれたので
2人夜道を歩いている
「ミカ怒ってたな……」俺はボソリと呟く
「まぁ……怒るだろうな」
ヴァネッサも小さな声で呟く
離れの家まではすぐに着いてしまい
「なるようになるさ 頑張れ」
と俺の胸を軽く叩く
「そうだな お休みバネッサ」
別れの挨拶をする
ヴァネッサは後ろを振り向き
「お休みクヌギ
もうそろそろ名前をちゃんと呼んでくれよ?」
とこちらの言葉を待つことなく
そのまま行ってしまった




