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星座が導くままに、進め、少女たち。  作者: 大川魚
黄道十二宮を探せ
14/39

第十二番 天文学者のフェニックス

それぞれの年齢などについては前章を確認できます。


 お互いがお互いの年齢を知ったなか、とりあえず土師がお兄さん的ポジションに収まった。他は何故か弟、妹という設定になっていた。

 「ところで土師お兄ちゃん。ここに来る途中で天文学者を名乗る人に出会いませんでした?」

 ユメノはもともとの会話を思い出し、目的通りに道を戻す。

 「ん?天文学者?天文に詳しい奴には会ったけどそいつのことかな?枚方、あいつ名前なんて言ったっけ?」

 「フェニックスと名乗っていた。天文に詳しいのに名前が火の鳥だから変だなって思ってな。ユメノ、こいつっぽいか?」

 枚方はユメノに聞き返す。

 「フェニックス……。そうです!その人です!」

 間違いがない。この名前を語る人が他にいるとは思わない。それに天文に詳しいのなら間違いなさそうだ。

 「この男に何か用事があったのかい?とは言え、向こうも俺たち『黄道十二宮』を探してたっぽいけど」

 土師は思い出すように話す。

 「まぁ、安心しなよ。ユメノ。あの男は願いを叶えてもらうために探してるわけじゃないらしいし。知識欲の塊みたいな感じ。捕まったらいろいろ問い詰められそうだったから俺たちの正体は秘密にしといたからさ」

 枚方は微笑む。いたずらを楽しむように笑う。

 「ということは、向こうはまだ何も手がかりを掴めていないってことかしら」

 友里亜が口をはさむ。この話はこれで終わりそうだ。



 時は進み、五月の頭に突入していた。枚方達が事前に仕入れていた情報をもとに『獅子宮』の青年を見かけたことがある街を一つ一つ確認していったが時すでに遅しと言わんばかりに「違う街に行った」という情報だけが街にあった。どうやらこの男も旅をしているらしく一番引っかかることに一人で旅をしているのではなく天文学者と一緒なのだとか……。

 フェニックス。最近のニュースから確認できるのは彼が長期休暇に入ったこと。しかしこの休暇はあくまで研究に専念するためらしい。そして今回の目撃情報。これは引っかかる。気がかりと言えよう。しかし、彼に接触しようにも追いかけっこ状態だと話にならない。向こうは逃げているわけではないがこの状態をだらだらと続けることは正しい策とは言えない。



 こうして、友里亜の分析能力と土師の大人の力……というか言葉巧みに操ってフェニックスが向かおうとしている街を先回りすることになった。五月六日の朝。小さな街ではあるが物やお金が溢れ、また、人々の助け合いの精神にあふれる街にやってきた。

 「うーん。人々の話によると、まだ来ていないみたいだね。フェニックスって人」

 伸びをしながらあたりを見渡す雨音としっかりとした睡眠がとれなかったらしく小さなあくびをしているユメノ。

 ユメねぇ!

 颯真と楓真に服の裾を引っ張られ、指をさしている方をユメノは見てみると、探していた本人らしき人影が見えた。すると、先程までの眠そうな表情からいっぺん、トランク片手に走り出していく。ユメノの大きなトランクの音に気付いた枚方達も後を追う。

 「あの!天文学者のフェニックスさんですか?私、旅人のユメノって言います」

 いきなり自分のもとに現れた少女に驚きつつも、真剣にユメノの話を聞こうとする姿勢を示してくれた。

 「うん。そう。俺が天文学者のフェニックス。ところで、ユメノちゃんだっけ?何か俺に用事があるのかな?」

 後からやってきた雨音たちの様子を確認すると、ただのファンたちの群がりではないということをフェニックスは感じた。

 「フェニックスさんも『黄道十二宮』の人たちを探しているという情報を手にしたんです。それで、フェニックスさんに質問したくて……」

 フェニックスの瞳は真っ黒で、見つめていると闇に吸い込まれそうな感じがした。恐怖を感じるがそれ以上に不思議な魅力が瞳の中に隠されている感じがユメノに合った。

 「ちょっと待って。話を聞く限り、ユメノさんたちも『黄道十二宮』を探しているってことでいいのかな」

 ユメノの質問を遮る形で口を開いたのはフェニックスの右側に立つ高身長の青年であった。その後ろには何を考えているのかわからない表情で何も言わず、ユメノたちのやり取りを見つめている男の子と女の子がいる。

 「あ、はい。私は、失った故郷を復興させるために『黄道十二宮』の力が必要で……彼女たちを探しています」

 一通りの説明を終わらせると、フェニックスが頷いた。納得したような表情で。

 「そうか、それは大変だったね。うん。安心していいよ。ユメノちゃん。俺は何かお願いしたくて彼らを探しているわけではないから。どちらかというと俺の趣味かな。彼らの存在、力とは何なのか。解明したいだけだよ」

 フェニックスはユメノが質問したかったことを先に答えてくれた。

 「そうなんですか。よかった」

肩の力が抜けたユメノを見て、フェニックスは優しく微笑んだ。

 「不謹慎なのは承知の下でユメノちゃんにお願いしてもいいかな?」

 道の真ん中で話し続けるのも迷惑だと考え、公園のベンチに腰掛けて話すことにした。颯真と楓真が、無表情の男の子と女の子を誘って、公園で遊んでいる。友里亜と撫子が双子たちを見守っている。


ようやく物語も進んできましたが、進むのと同時に男性キャラが増えてきましたね。それにしても男性キャラの個性がほぼ一緒に見えるようですが……

物語を読み進めていけばそれぞれの個性が見えてくると……信じています。

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