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『魔女の置き土産』--魔女と呼ばれた聖女の遺産を、弟子の俺がすべて破壊する物語  作者: キョウ


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プロローグ

森は、静まり返っていた。


地面を埋め尽くすのは、無数のモンスターの死体。

まだ温もりの残る血が、夜気の中で鉄の匂いを放っている。


それらすべてを――

一人で斬った男が立っていた。


漆黒の髪の青年は、刀に付いた血を静かに払う。


「……こんだけやって、収穫なしか」


低く吐き出す。


彼の探し物は、モンスターではない。


“魔装”。


かつて聖女と呼ばれ、今は魔女と蔑まれた女性が遺した十二の魔装。


それを見つけ次第――壊す。


それが彼の旅の理由だった。


「アッシュの野郎……ガセネタ掴ませやがって。帰ったら絶対ぶっ飛ばす」


(まぁまぁ。わざとじゃないんだから許してあげなよ)


澄んだ声が、夜に落ちる。


青年――ユキは肩をすくめた。


「シグレ。戻っていいぞ」


刀が淡く光を帯びる。


光はほどけ、隣に一人の少女が立っていた。


長い黒髪。透き通った瞳。


だが次の瞬間、彼女は顔をしかめる。


「げっ……血、踏んじゃったぁ!」


足元を見て大げさにため息をつく。


「いつも言ってるでしょ! 綺麗なとこで戻してって! ユキのばか!」


ぽかぽかと肩を叩く。


「へいへい。気が使えなくて悪ぅございましたね」


ユキは気にした様子もない。


「もう歩く気なくなった。刀に戻る」


「勝手に戻れ」


「冷たい!」


少女はぷくっと頬を膨らませる。


その姿は魔装というより、年相応の少女だった。


「いつからこんなあざとい魔武器になったんだか」


「アンタの方が私のお母さんに詳しいでしょうが!」


みぞおちに一発。


「……シグレ、魔装顕現」


少女の姿が光に溶け、刀となってユキの腰に収まる。


(うるさい。ユキが悪いんだから)


「へいへい。じゃあ帰るか」


ユキは森を歩き出す。


死体の山を背に、月明かりの下を。


しばらくして、刀の中から声がした。


(結局、モンスターが異様に統率が取れてたのは、

 頭がジェネラルオークだったからだね。)


(お母さんの魔装じゃなかった。)


ユキは小さく息を吐く。


「あの人の子供たちは、そう簡単には見つからない」


わずかな沈黙。


だがその声音に迷いはない。


「いずれ全部見つける」


刀の柄を握る。


「そして必ず――壊してみせる」


夜風が森を抜ける。


その誓いを聞いたのは、

妖しく光る月だけだった。

初めての執筆作品です!!

是非温かい目で読んでいただけると幸いです。

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