14話「忘れてたこと、空腹について、塩煮」
〜前回のあらすじ〜
《錬成》のスキルレベル上げをした。ゴミのかけらが大量に手に入った。
レベルが上がった。失敗でも経験値って入るんだね。
初めて《錬成》に成功した。ダメ元でレベル上げしてたから、嬉しいってよりびっくりした。
5日目終わり、今日は6日目!
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これで6日目。
もうすぐ、このゲームも1週間になる。
なのにまさか、1週間近く誰とも会わずにゲームが進むとは……。
まぁ、こののんびりスローライフ……と言うより、開拓生活を邪魔されるくらいなら、人と会わなくても良いかなって、少し思い始めてるけどね。
充実感と言うか、リアルでは感じられないような「やりがい」っぽいのを感じ始めてるし。
それはさておき。
いくつか忘れてた事とか、放置してた事とかあるのを思い出したから、一旦状況を整理しようと思う。
まず、薬草。
火が使えるようになって、外で自然乾燥を待つ必要が無くなった結果、そのまま外に置き忘れてたやつ。
確認してみると、完全に乾いている。
見た目が完全に干し草みたいになってる。
放置し過ぎたかな?
使えるかどうかは、使ってみないとわからないし、後で使ってみよう。
とりあえず調薬作業台のチェストにしまっておく。
次に、結晶。
前に探索した時に、スライム(仮)……《魔物知識》によると『ウォーターゲル』って言う名前らしい、スライムもどきが落とした結晶。
とりあえず《素材知識》で鑑定。
──────────
【素材】【◾︎◾︎】【◾︎◾︎】【◾︎◾︎】
「ゲル結晶のかけら」
Rank2
品質:可
モンスター『ウォーターゲル』の核結晶のかけら。
魔力は通りにくいが、内部に魔力を蓄え、循環させることができる。
魔力干渉には強いが、物理的な衝撃にはとても弱い。
──────────
これ、魔力の電池的なのに使えるんじゃないかな?
魔術を使う上で便利な点は、魔術陣を起動させておけば、いつでも発動ができる、と言うところ。
けど、それをするには、常に魔力を繋いでおかないといけなくなる。
そこで、この結晶で陣を起動させたままにできれば、必要な時に魔力を繋げば、すぐに使うことができるようになる。
さらに魔術が便利になる!
問題は、どうすれば起動したままにできるかって話。
まぁ、それは後々、いろいろ試しながらやってみよう。
陣の失敗による事故、ってのが起きないか、少し心配だけど。
最後に魚。
初めての《錬成》でバケツタライに移して、そのまま放置して忘れてたやつ。
いや、私いろいろ忘れすぎじゃない?
興味あることが目の前にあると、ついついそれ以外が頭から抜けてくってこと、あるよね。
……やばい、ニンジンぶら下げられた馬みたいな言い訳が頭をよぎった。
それこそ忘れよう、忘れよう。
閑話休題。
見てみると、生きてるのかすらわからない状態で浮いていた。
うわぁ……。
まぁ、餌も与えてない状態で放置してたし、当たり前か。
確認してみると、どうやらギリギリ生きてるみたい。
魚って、生きてても、弱ると水面に浮いてくるんだね。
一応、体内で菌が増殖してる、って心配は無くなった……のかな?
少し心配だけど、命を粗末にしないよう食べて供養しておこう。
悲しいけどこれ、サバイバルなのよね……なんて。
私も食べてかないと生きていけないし。
と言うわけで、今日は何から始めるかと言うと「料理」!
昨日何も食べてないせいで、満腹度が少しやばい。
こんな状態で作業とかしてたら、すぐに空腹ペナルティになる。
ちなみに、空腹ペナルティは満腹度10%未満で発生して、満腹度が回復されるまで、ステータスが一時的に下がる。
さらに満腹度が下がるごとに、ステータスの下がる割合も増えていく。
さらにさらに、満腹度が0%になると、継続ダメージが発生し始める。
ステータス制限マックスで継続ダメージって、ほぼ確実に死ねるね。
ソロプレイなうだから、助けてくれる人もいないわけだし。
「まだ死にたくないし……お魚さんや、美味しく食べるから許してくれ」
まぁこれも弱肉強食の世界。
許されなくても良いから、美味しく食べさせてもらう。
ぶっちゃけそもそもの話すると、まともなAIすら積まれてない【素材】【◾︎◾︎】【◾︎◾︎】に分類されてるアイテムなんだけどね……。
それを言ってはおしまいなんですよ。
◇◆◇
さて。
家事はできると言っても、一人暮らしでやる程度。
暇な時に、少し気分転換で凝った料理をする程度の腕だ。
そんな私に、塩と砂糖と魚だけでできる料理のレパートリーが沢山あるわけもなく。
「検索してきましたー、クッ○パッド……」
しかし残念、クッ○パッドには、塩と砂糖と魚だけでできる料理が見つかりませんでした。
ちくせう。
そもそも、調味料とか別の材料とかがある前提で進められてるのが多いよね。
それか、調味料を使わずとも、缶詰とか使った料理。
私の検索が悪かった可能性も、なきにしもあらずあらずだけど。
と言うわけで、諦めて普通に作り方知らない料理のレシピを調べてきた。
「今日のレシピはー、サバ(違う)の塩煮ー」
まず、魚の鱗と内臓を取る。
同じ魚2尾でもやったことだし、慣れた手順でさっさと終える。
次に、フライパンに水……マジック『作水』して、塩を投入。
少し濃いくらいでちょうどいい。
風味とかを加えるなら、ダシとかあれば良いんだけど、無いからしょうがない。
そこから、外に出てマジック『種火』。
薪を投入して熱し、沸騰させる。
沸騰したら魚を投入。
蓋をして、吹きこぼれないよう気をつけながら煮ていく。
薪だと特に火力の調節が難しいし、注意しないと。
◇◆◇
……15分。
魚に火が通ったら完成。
皿に移し、煮汁を掛けて出来上がり。
《経験値を獲得しました》
「んー、どうなんだろ。とりあえず食べてみよ」
いただきます。
◆◇食事中◇◆
「……もう一味、何か欲しい」
食べた感想。
飽きる。
生臭さもそこまで気にならず、柔らかくて良いんだけど、口の中が単調な感じになる。
薬味とか、メインでないおかずとか、何にしろ味の変化が欲しくなる。
「うん、と言うか、一昨日作った塩蒸しの味薄いバージョンみたいになってる感じ?」
使える材料と調味料が少ないから、しょうがないとも言える。
これは明日以降は串焼きかな?
「あーけど、魚いないから釣りに行かないとなんだよね」
探索よりやりたいこと沢山あるんだけど。
《錬成》で海水作れるか試したいし、情報収集に本読みたいし、結晶で魔力電池できるか試したかったし。
「……んー、今日はいっか。食べたからそれなりに満腹度大丈夫だし。それなりに、だけど」
となると、どうしようか。
とりあえず《錬成》試してみようかな。
『作水』で作った水から、海水が《錬成》できるか気になるところだし。
できなくとも、少し雑草でレベル上げもしたいし。
「んー、他にもやりたいことたくさんあるけど……まぁ、《錬成》でいっか」
と言うわけで、今日は《錬成》をすることに。
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます!
いろいろあって意気消沈状態の作者です……。
あと、それとは別にしても、いろいろ問題起きたりで最近忙しいです。
執筆時間がぁ……。
ちなみに、主人公と同程度に料理をする作者ですが、うちでは鶏肉がメインなので、あまり魚料理は得意ではありません。
2人暮らしだと魚って少し面倒ですよね。
レパートリーが無いだけとも言えますが。
と言うわけで、魚料理はよくわからないのに、他の材料が全然出てこなくて困ってる作者です()
まぁしょうがないです。
次回更新は火曜日予定です。
ではでは、また次回もよろしくお願いします。