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楽して勝って笑いましょう  作者: 未出舞
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めんどくさい問題は先送りにして

「それじゃあ話を聞かせてもらおうか?」


「何から聞きたい?」


 暗殺者の男はこちらに何を聞きたいか聞いてくる。


「そうだな、まず知りたいのはあんたはどこの所属だ?」


「俺は……貴族派の所属だ……よく分かってないみたい、だが……この国は王族派と……教会派に別れてる。残念なことに教会派が圧倒的に有利で、王族派は生かされてるに過ぎない」


 もう少し問答があると思ったがすんなりと喋ってくれた。


「良くもまぁベラベラと」


「お前はどっちでもないな。見たことが、無い、これだけ強ければ、俺が把握…している。なら話しても、大丈夫だろ。あんたらも、戦争は…避けたいんだろ?」


 意外と頭はいいらしい。なら話は早いだろう。


「なら僕達が知りたい情報も分かるな?」


「まず何が起こってるかだな……端的に言うと、教会派は神の威光にあやかって、他国の人々を、救済したいらしい。だが教皇……教会派の、トップの事だ。ともかく教皇は、そんなことはする必要は無いと、理性を保っていた。我々王族派も勢力が増したいとかそういった野望はなく、国民が幸せならそれでいい。と静観の構えを……とった、いや取らざるを……得なかったと言うべきかな」


「だが一部の教会派は納得しなかったんだな」


「あぁ、そもそも……何故戦争の機運が、高まったかといえば経済における、緊迫が原因だからな。どこもかしこもこの経済状況をどうにかしようと、躍起になっていた。そんな時にフルオート銃なんてものが出てきてしまった、この国にとっては神そのもので戦いの武器だ、戦争という選択肢が出てくるのは必然だった。みな必死で、誰も止められなかったさ、正確には止める余力がなかったところ、が大半だがな」


「僕らはまんまとはめられたって訳か?」


「いや、それは無い。たまたまだ。たまたま君たちがここに来てこの場所を暴いてしまった。盗み出した、計画ではあと3ヶ月程、の余裕があったはずだった。その時にアスカとの和平交渉を行う…と称し、ここに誘導する……計画がされていた。わざとここを、、発見されることで非難を…浴びる。それを理由に、、、外交も融資の選択肢も奪うことで…とにかく戦争以外の選択肢を、、つぶすつもりだったようだ」


 外交も閉じ融資も受けられなければ国内政策はできるわけがない、ということになる。だが運がいいことにこの国もまだ準備ができていない可能性があるわけか。となると今一番の問題はまだ施設内にいる勇者だ。あいつを口実にいくらでも戦争開始にこぎつけられてしまうから、それをどうにかしない限り戦争は回避できない。


「勇者がこの施設に入ったって情報は通達されたのか?」


「知ってるのは……俺だけだと…思うが……うっ……」


 そんなわけがないここまで格好のネタがあってばれないわけがない。しかしこいつももうダメみたいだもう限界だ。そろそろ治してあげるしかないがその前に意識を奪ってからにする。


「今から治すが意識は失っててもらうぞ?」


「……分かった。済ま、ない……俺は、適当な茂みに、隠しといてくれ。それから」


「それから?」


「俺もなぜお前らを信用したか分からないが、、お前に頼むのは、合っているのか分からないが!国を、、国を頼む!」


「はいはい、任せとき。おやすー」


 魔法で眠らせてから回復のポーションをジャバジャバとふりかける。少しづつではあるが傷が小さくなってきている。10分もすれば完治するだろう。ちなみに普通だったら出血多量で死んでいるがスキル怠惰で無理やり血を通わせているので問題ない。

 ある程度ふさがってきたら解毒のポーションも飲ませて穴から入った菌を一応殺したつもりでいる。


「これ効果あんのかな?」


「あると思いますよ。どっかの国の珍しいタイプの魔物使いの一族が菌を操ってたんですけど、それ解毒ポーションで直せた。って噂がありますよ」


「なにそれ俺もそのスキル欲しいんだけど」


「普通の獣なら扱えると思いますけど、菌に関しては普通の人も調教自体はできるけど菌に侵されて死ぬらしいです。その一族は何か特殊なスキルを持ってるらしいので大丈夫らしいですけどねー」


「それは残念だな……っとこいつの記憶から僕達の顔の記憶だけ移動させといたから。多分大丈夫だと思う。んでどうするよ」


「考えがあります」


 そこで動いたのはビスマス、何か考えがあるらしい。


「まず1つ、この場所から勇者を遠ざけます。この場所に調査の手が入ればあんな場所すぐに見つかってしまいます。勇者絡みですからこの国だけの調査というのは有り得ません。またこの場所から離れても勇者が突然この場所に突入した。という事実がここを調査する口実になります」


 まずは何よりここの場所が知られるということを避けるというわけだ。


「さらに勇者が生きていれば勇者がそう言っていた!なんて言われれば意味がありません。つまり私たちが取るべき手段は、この場所以外での殺害、それもここに注意が向かないようにするということです。とにかくここに来た事実を隠蔽します。そのため勇者を観衆の前で殺します。確実に死んだということにしましょう」


「勇者を殺すって言っても死んだら足取りが辿られちゃうぞ」


「そこでエラさん、あなたの出番です。あなたの転移能力で彼を別の遠くにの場所に送ってもらいます」


 無理だ。どう考えても無理がある。そもそもここに勇者が来てしまったという可能性があるだけで充分なのだ。

勇者が来た→なんでこんなところに?調査だ

勇者が死んだ→何があったか調べなくては?足取りを調査だ

偽の勇者がいた→偽物とはなんだ?調査だ

実は勇者は別の場所にいた→なんでここに勇者がいた情報が?調査だ

 とにかくこじつけで調査して、武器を発見することも出来るしそのまま戦争開始までは世論操作と戦争屋を炊きつければ余裕だ。それに何より勇者を殺せるとは思えない。

 だから方針を変えなくてはならない。


「もうやめよう。分かるだろ?無理だ、無理がある」


 ビスマスも頭ではわかっているのか、苦い顔をする。


「……では、どうしろと!」


「アスカを勝たせるためにどうするかだよ。もう戦争は止まらない…残念だけどそこはあきらめるしかない。分かるか?もう始まっちゃったんだよ。だからワノクニを立役者にする」


「具体案は?」「そうですよエラさん!」


「王さまを勇者の手によって拉致…もとい救い出す。儀は我にあり、でいこう。戦争は回避できないが少なくとも終わった後の処理は各段び楽なはずだ、と思う。ってかその辺の細かい調整は羽塚さんに任せよう!」


「はつかの胃に穴が開きそう」

「はつかさんかわいそうに…」


 ビスナスもオーラムも心底同情した顔でお祈りポーズをしていた。はつかの冥福を祈って。





 それから30分ほどで勇者が下水道から出てきた。エラたちを見つけるといぶかしげにこちらを見つめてくる。


「エラちゃんかい?どうしてこんなところに」


「どうしてだろうね」


 そう応えるとすぐに顔を黒く染めて服をスーツにする。


「なっ!シャドウ!?」


「やぁ勇者様。話があるんだけどいいかな?」


 しかし勇者は話を聞く気がないのかそのまま剣を抜き突っ込んで来ようとする。しかしエラに切りかかる直前でエラは自分の顔をもとに戻すと、勇者はひるんで剣を止める。

 ちなみにエラは…


(よかったあぁぁぁぁぁぁ!止まってくれて!死ぬかと思ったあぁぁぁぁぁあ!)


「その姿をやめろ!」


「そうかい?じゃあこっちにしようかな?それともこっちがいいかな?」


「変身能力!?」


 勇者が驚いている理由はエラの見た目にあった。エラは自分の見た目を勇者の仲間たちやアリシア、レベッカに変えていく。実際やっているのはスキルの怠惰を使って光を捻じ曲げているだけなので実際に変身しているわけではない、能力も上がらない本当に騙すだけの実態のない結果に過ぎない。

 だがこの場面では効果はあったようだ。とどめの一言も忘れないで言っておく


「それだけじゃないよ、中には君の親しい人もいただろう?たまたまだと思うのかい?」


「……人質のつもりか!?」


「まさか!人質は君の後ろにいるからね。パフォーマンスだよ}


「後ろ…っ!?」


 勇者が後ろを見ると仲間たちがオーラムとビスマスによって無力化されて、地面に転がされている。


「さて話をしようか」






 それから事情を説明した。戦争を止めるために王を救出するのに協力しろと、そのためには勇者の知名度が必要であると。


「誰がそんな話を信じるんだ!」


「はぁ…分かってないね。信じる信じないじゃなくてやるんだよ。君の仲間も大切な人にも幸せになってほしいだろ?」


 それから少し悩んで、絞り出すように勇者は答える。


「…分かったやるよ。ただ仲間の開放が優先だ。彼らと一緒でなければ仕事をするつもりはない」


「うん、どうする?」


 これにはビスマスが答えた。


「問題ない、看護兵(メディック)起こしてやれ」


「はーい、皆さん動いていいですよ」


 その瞬間倒れていた三人が飛び起きた。


「アラン!大丈夫?」「わりぃアランちゃん、話は全部聞いてた」「どうする、突破するか?」


「突破されるとめんどくさいんだが…」

「もっかい動けなくします?」

「うん、手足ぐらいはもいでもいいんじゃない?」


 話を聞いていたならもう少し穏便にしてくれてもいいじゃないかと思う。まぁ、武力行使する必要もなさそうだが…


「まてまて!落ち着け!どっちも武器をおろすんだ!」


 なんと勇者様である。これには勇者ご一行も驚きだった。


「おいおい!アランちゃん!相手はシャドウだぞ!見かけたら有無を言わさずに殺すか逃げろって」


「あぁ、だが手伝うんだ。やるしかない」


「それは私たちを救うためであって、こんな奴らと組む必要ないじゃない!」

「そうだ、アラン!俺がしんがりを務めるからお前らは逃げろ。俺はもう十分生きたからな」


「ウィリアム、死に急ぐ必要はないよ。それに二人もたとえ相手がどんな人でもそういうことはしてはいけない。頼むから武器を下ろしてくれ」


「アランちゃんがそういうなら、まぁいいけどさぁ」


 渋々ながらも勇者パーティーは武器を下ろす。

 エラはその様子を見て腐っても勇者だなと思いながら眺めていた。とにかくこれで問題ないだろう。


「話はまとまった?さてじゃあ早速王様のところに行こうか、アーユーレディ?」


「「イエーイ!!」」


「「「「………」」」」


 残念ながら乗ってくれたのはオーラムとビスマスだけだった…。勇者ご一行はバツの悪そうな顔でこちらを睨みつけてきただけだった。



 そんなこんなで早速王城に来たわけですが、流石というべきか勇者様は顔パスで入場できた。まぁ、案内人に変装したビスマスがいるからというのもあるが。そのまま王様のいる大きな広間まで一直線だった。


「流石腐っても勇者様だねぇ」

「えぇ、『勇者』様様ですね。私たちこれでも国際指名手配受けてる身ですからね。こんなに堂々と侵入するのはさっすがにもうちょっとめんどくさいですよね」


「できなくはないのねぇ、アランちゃんこいつらと組んで正解だったかもね…」


「まずは国王を救ってからだ。それから判断しても遅くはないはずだ」


 そんなことを話ながら玉座の間で待っていると国王が玉座に着いた。


「『勇者』様よくお越しくださいました。本日は我が国の視察ということでしたが…急な予定変更には驚きましたぞ。何か火急の用でもあるのかね?」


「それにつきましては、こちらの者どもが。お願いします」


 ここでエラの出番だ。国王様をどのように拉致もとい救い出すかについてだが、既にすり合わせは済んでいる。まず初めにこの部屋にいる警備をどかしてもらうか個室にて話し合うのが第一目標、続いて国王を脅迫するのが第二目標人質は広場にいる警備と国王の家族。ちなみにこの時にエラたちの正体をばらすつもりだ。最終手段に関してはオーラムさん達に策があるらしいがそれは本当に最終手段らしい。

 さてどうにか楽させてくれよ。と心の中でお祈りしながらエラは話始める。


「お初にお目にかかります。ブレイブと申します。国王様のお耳に入れたいことがございまして…ですがまずは国王様だけの耳に入れたいのです。できれば護衛を下げていただければ…」


「護衛を!?それは…」


「国王様、お言葉ですが今この場には人類でも最強クラスの護衛がいることをお忘れではございませんか?」


「そうか、そうだったな。だがさすがに装備の確認だけでもさせてはくれ。よいな?」


「もちろんです」


 そういうと周りの警備がそれぞれの身体検査を行う。わざわざ女性の警備を呼んでくれたので、気が利く王様だと思ったのはエラだけかもしれない。そんなこんなで身体検査が終わり、警備が全員部屋を出て行った。

 ともかくここからが本番だ!…と思ったのもつかの間だった。

 なぜか勇者とその仲間が国王のそばにいる。


「シャドウ、悪いが協力できない」


 そのまま勇者ご一行は国王を守るようにエラたちに立ちふさがり武器を構える。


「裏切るような形になって済まない。だがどうか引いてくれ、ここは敵地のど真ん中でシャドウである君たちも、もちろん僕たちも無事には済まないだろう。今警備兵はいないがすぐに呼ぶことも可能だ。だが今の君たちなら素通りで外に出れる。だから頼む引いてくれ…っ。こんなやり方では戦争は止められない!」


「シャ、シャドウ!?戦争?『勇者』様これはどういうことですか?」


 なるほど、勇者様はまだ戦争を止める気でいるらしい。思想というか方針の違いが産んでしまった悲劇のようだ。


「おいおい、ここに来て裏切りとはまた酷いなぁ。どうする?ぶっ飛ばす?」


「あー、ブレイブくん。その必要はないよ」

「ですねー。国王様お久しぶり!」


 オーラムとビスマスがめちゃくちゃ軽い感じで挨拶すると、おびえた様子だった国王が急にあきれたように声を出す。


「なんだ、ばらしてしまってよかったのか?ということはかなりの緊急事態、ということだな?」


 さすがにその対応には驚かざるを得なかった。が、しかしメンツの問題で「まぁ、想定内ですけど?」というふうでやり過ごす。


「あー、最終手段をもう切ったって感じかな?」


「そうですねー。実は我々って各国で協定結んでるんですよ。まぁ勇者様1人じゃ世界の平和なんて守れませんからね、物理的に。あ、これトップシークレットで。」


「って事は俺たちが世界を守るためとか言って冒険してたのはなんだったんだよ〜。アランちゃん知ってた?」


「いや、知らなかった。ただどうして僕たちが勝ち続けられていたのか、その情報はどこからもたらされていたのか。どの国に行っても受け入れられていたのかなんとなくは分かったかも」


 つまるところ勇者もシャドウの一員だったとも言えるのだろうか?


「まぁ、要するにその通りですよ」


「……」


「それはともかくである。私としても状況は把握しきれていないが……とにかくあなた達について行く他ないという事ですかね?国を捨ててでも行かねばならないと?」





マジでお待たせしました。

リアルで忙しいのと不幸とが重なってしまい2年ほど放置しました。

ちなみに不幸のひとつに携帯を変えた時に予め作っていたプロットが消えてしまったので話の矛盾が出てきてしまうかもしれないです。すいません!

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