捨てる神あれば拾う銃あり
捨てる神あれば拾う銃あり
意味:作者が考えた諺、神になどすがらずに手に銃とって戦えという意味。
神頼みは良くないぞ(だからとって言って武力衝突も良くないけどね)
ヨハネ聖国・とある一室にて━━━━
「今回の件についてだが……神の子が現れたのに王は動く気が無いとおっしゃる。なればこそ我々で神の子を保護せねばなるまい」
「そうだな、隣の国には何か言われるかもしれないが神に選ばれた臣民の前には仕方のあるまい事だ」
「さぁ、神の名のもとに神の子へ正しき道を歩ませ、この国を再び救うのです」
青い空、白い雲、揺れる波……。
「うぇーい、疲れた……いっっっつまで揺られてりゃいいのかなーーー!!!」
ゆうきは今、川の上を進む船の上にいた。川と言っても幅は驚く程に広く未だに向こう岸は霞んでいる。
「まぁまぁ、一時間ほどで到着ですから、あとほんの少しの辛抱ですよ」
「それでも疲れたし、日差しが暑い。真っ黒の服で来るんじゃなかった。それにもう船も列車もやってらんないよ。飛行機出せ、飛行機を」
ゆうきは今、いつものコートの下に黒いスーツを着ていた。
制服で来るわけにも行かず、だからと言ってこの世界の服はゆうきの好みには合わず、結局この世界の1部の人間が着ている、羽塚と同じ素材のスーツを着ることにした。
相方を見ると薄手の格好をしていてとても快適そうだ。何故こんなにも暑い格好をしているのか?とてもイライラしてくる。悪いのは完全にこっちなのだが……
「いいもん着とるやんけぇ、嬢ちゃん。その服こっちによこしな!」
「そんな無茶な……」
船にゆられる2人、その経緯は約1週間前までに遡る。
1週間前━━━━
「オートマチック銃、つまり機関部の技術が出回った可能性がある。それも隣国”ヨハネ聖国”でだよ」
「…………」
「それだけじゃなくて多分ゲーギスが関わってる。隣国にまで噂が出回るなんて国が関わってる話だったらアホだよ。それに噂話に出てくる人は同一人物みたいだよ」
「…………そいつはまずい事になったな」
ゆうきはレベッカのその言葉に一瞬黙ったあと、少し焦ったような顔で答える。
なぜ機関部の技術が出回ると大変なのか、何故そんなに深刻な問題になるのか。
その理由はいくつかあるが大まかに分けて3つとそして1つに分けられる。
まず第1に挙げられる理由は『戦争』である。
地球における第二次大戦での初めての機関銃の登場では鉄条網との組み合わせで悲惨な数の死傷者を出した。
それほどまでに火力のある兵器なんてものがあれば、国内で戦争の機運が立ち上っても仕方がない。
第2にもしその発明がゲーギスによるものだとしたら個人で銃を、それもオートマチック銃を作る技術があるという事である。
時間と材料、最悪の場合そのどちらも持たずにスキルがあればたった一人で500を超える兵士を相手に虐殺を繰り広げることも可能なのである。
そして3つ目、これは主にゲーギスに関わりのある問題なのだが、今現在ゲーギスを発見した場合ワノクニでの保護、そして教育が行われており教育終了後は発見された国の発見された地域での奉仕活動が義務付けられている。
しかし、発見からワノクニに連れてくるまでの作業は完全に信用のみで動いてもらっている。
もし今回の件でゲーギスを取り逃すことがあればその信用は無くなり。またそれを見た他の国が、今後出現するゲーギス達を奴隷化したり幽閉してしまうかもしれない。
そして最後のに関しては決してレシーバーの技術が出回るという事に関してだけではなかった。
「そもそも私達がアスカにゲーギス集めてるのって、そう言った情報を隠蔽する狙いもあったのよね。まぁ、いつかはバレるからその時どうするかのマニュアルもあるんだけどもね」
つまりワノクニの首都であるアスカにゲーギスを集めていたのは情報の流出を防ぐためであった。
今までは“不必要”な戦争の火種になるような技術を持った人間には決してその事を口外しないように。場合によっては監禁等の例もあったそうだ。
しかし、今回は完全に出鼻をくじかれてしまっただけでなく。オートマチック銃の作り方がこれ程までのスピードで流出してしまったことが問題なのである。
「……ったく、それだけでも面倒だってのにあの“ヨハネ聖国”が噂の発信源なんだろ?」
ヨハネ聖国とは要するに宗教国で、今の状態で何がいちばん危険かと言うと、その国の信仰の対象が銃であるということである。
現在その国は経済状況が良くなく、ここ数年で色々な政策を施行してきたがどれもあまり効果はなく、経済破綻へのカウントダウンを延ばしたに過ぎないものだった。
「捨てる神あれば拾う神ありって事ね、過去にオートマチック銃と思われる銃を使って旧称ヨハネ国を救ったゲーギスの英雄がいたから、銃を信仰するようになった国だよ。そんな国で信仰の対象が現れて動かないわけがないし、上層部の一部がそれを理由に戦争を起こさないわけがないよね。わざわざ英雄さんがその技術を破棄した意味が分かんないのかなー」
「エラ、それだけではなくて。現地では1人の女を所属不明の部隊やヨハネの兵士が追跡する姿が確認されている。第3勢力の介入の可能性もある。十分に気をつけてくれ」
「え?あぁ、うん。待ってね、僕行くの?」
「「ここまで話しておいて当たり前だ(よ)」」
という訳で列車と馬車を乗り継いで今現在、船に乗船するに至る。
レベッカからは最初から1人の鉱石部隊員と潜入用の武器を支給された。
それがこのおどおどした様子の、見るからに周りの人に振り回されて苦労しそうな性格をした様子の女性だった。
初めて会ったのは王城のゆうきの部屋でだった。
「鉱石部隊、金を司るオーラムです。それからこちらが王に頼まれて用意しました。潜入用の武器になります」
ショートヘアの前髪をヘアピンで留めたオーラムと名乗る女性。
その自己紹介と共に差し出されたのはショットガンだった。
「あーっと、これはM37だっけか?サプレッサー付きとは気前がいいね。ま、潜入用だからストックは無しか。弾は?」
「20ゲージ、12ゲージ、スラッグショットが撃てるようになっています。またエラ様専用の弾もございます。こちらの座標弾、開発部はポイントショット、と呼んでいました。スキルの目印として使うことが出来ます」
「なかなか便利だね。じゃ、ありがたく貰っとくよ」
「では、行きましょう…あで!」
行きましょうとゆうきの部屋を出ようとした時、机に足を引っ掛けてしまい机の下に転倒する。
(なんでそうなるんだよ……)
「あ、あれ?ご、ごめんなさっっで!!?」
恥ずかしかったのか顔を赤くしながら勢いよく起きようとして、当然頭を机の下にぶつけた。
(大丈夫なの?この人……)
「だ、大丈夫です!!さ、行きましょう。こんな事はさっさと忘れて行きましょう!」
それから1週間を共に過ごして、と言うか初対面で半分ぐらいは感じていたが彼女はドジっ娘だった。超がつくほどの。
「うひゃあ!」
「ぐはぁ!」
ある時は何も無いはずの列車のホームでつまずき、ゆうきのみぞおちに激しいダメージを与えたり。
「きゃあああ!」
「…………」
ある時は列車内で貰える飲み物をゆうきに盛大にぶちまけたり。
「きゃっ……ごぼぼぼぼ」
「うわぁ!お前泳げねぇのかよ!?クソっ!」
ある時は船に乗るためのデッキを歩いていたらそのまま水に落ちていったり。しかも泳げずにゆうきが助けに行くはめになって両者共びちょびちよになったり。
「……ゆうきさん。すいません、助けていただいて。ご迷惑おかけしっぱなしで本当に面目ないです」
「んーまぁ、別にいいよ。実際スキル使って助けた訳だし。焦って飛び込んだの僕だしね」
そんな訳で川と同時に国境を超えて遂にヨハネ聖国に潜入した。
陸地にたどり着くとそこは大きな港湾だった。
(大きい市場になってるのか、その遠くには……立派な城が見えますな)
「ここ、ヨハネ聖国は小さな村はありますが街と呼べるほどの規模の集落は首都であるここしかありません。ですので街の名前はヨハネとなっています。ここは国1番の交易の場で遠くに見える城が王城となっています。取り敢えずギルドに向かうのが1番でしょう」
「ギルドか、久しぶりだなぁ……で、場所はどこの?」
「ここからすぐの所です。行きましょう」
そう言ってオーラムの案内の元ギルドへと向かうのだが、予想の通りその道中で5回彼女はドジっ娘たる所以を見せることとなった。
「お嬢ちゃん。大丈夫かい?ボロボロじゃないか、どんな魔物と戦ったんだ?」
「……お、オーガです」
「嘘をつくな、嘘を」
現在はギルドで情報収集兼今後の宿探しである。
幸いにもギルドの2階は宿になっており、宿泊費はクエストをこなすとそこから天引きされるシステムらしく。
その手間のかからなさとギルド飯に生魚があると聞いてそのまま泊まることにした。
「では、集めた情報を発表しますね。まず今後捜索対象を『機関部』と呼ぶ事にします。で、その『機関部』なんですが街の西側のスラム街で最後に目撃されたそうです。身長は150センチ程小柄で華奢な見た目だそうです。顔はいつもフードを被っているらしくこれと言った特徴は上がっていません」
(これは事前情報……な訳ないか。流石、鉱石部隊に入ってるだけあって、ただのドジっ娘ではないみたいだな)
「な、なんですか!?その顔は、私だって部隊員ですよ!ただのドジっ娘じゃないんですからね!」
「おう、知ってるよ。超・ドジっ娘だもんな」
「くっ……悔しい、けど言い返せないっっ!!」
そんなこんなで2人の作戦会議という名のおしゃべりは深夜まで続いた。
起きたのは昼過ぎだった。
「あ〜やっぱり学校ない日はこうだよね〜」
(お腹すいたなぁ)
「ぐ、ぐがが……!お……お腹すいた!……ぐ……ぐが〜」
「え?寝てる?寝てるよね!?ここまで来るとわざとだよね?」
そんな訳で眠れるドジっ娘を起こしてギルドで食事をしつついくつかの依頼を受けてから街の西方面へと向かうことになった。
「行きましょうか、ドジ子」
「私はオーラムだっ!」
遂にヨハネ聖国での『機関部』探索開始である。
いやーなかなか早く書けました。
どうですか?皆さんもこのゴールデンウィークを機に小説を書かれては?
私は本を読む事が好きなので色んな方の作品が読みたいです。
それにもしかしたらこれを機に才能爆発していつの日か超売れっ子になったその人が「今出舞先生のおかげです!」とか言えばきっと私の作品達も……
という行き過ぎた妄想(本書いて欲しいのは事実、ぜひ読みたいです)が終わったところで最後までお読みいただきありがとうございます。
宜しければ次回もおお読みください。




