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楽して勝って笑いましょう  作者: 未出舞
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喧喧囂囂2

相変わらず遅い投稿になってしまいました。

申し訳ございません。

 ルイナとのデートを無事に終えたゆうきは城の自分の部屋へと帰っていた。


「ふぃー……この祭り終わりの後のまったりとした雰囲気がすごい好きなんだよねー」

(それとは別であの4人組夫婦って間違いなく……)


「ふん!それは良かったな!」


 そこでほっぺたを膨らませてプンプンしていたのはハルマだった。


「うわっ!ハルかびっくりした……ってなんで怒ってんの?」


「それはお主が我を祭りに誘わんからだろう?楽しみにしておったのに、誘ってくれるの待ってたのに……」


「うーわー、めんどくせぇ彼女かよ」

(だってこいつ連れてったら絶対に金なくなるもん)


 しかし、ハルマは依然として駄々をこねて言うことを聞きそうになかった。

 このままでは埒が明かないと思ったので仕方なくゆうきは最終手段をとる。


「分かった、ちょっとレベッカに金出してもらうから待ってろ」


「それは一緒に行ってくれる、という事か!?ゆうき万歳!」


 ハイハイ、言ってろ言ってろ。と適当に手を振って部屋を出るとレベッカの元に向かう。


 バーンとレベッカの部屋の扉を開けると部屋の主はビクッとしてこちらを見る。


「レベッカ、緊急案件だ。至急お金の用意を」


「なにが?どうしたの?お金ならお小遣いあげてるじゃない?毎月銀貨50枚貰える家なんて、貴族でもない限りありえないわよ」


「いや、それはありがたいが。ハルが夏祭りに行きたいと言っていてな。あいつのエンゲル係数を知ってるだろ?しかも本人は行きたいとだだをこねてる。いつ暴走するか分からんぞ……」


 するとレベッカはふーむと頭を捻ったあとうんうん、と何か納得したあとゆうきに金銭補助の提案を申し立てる。


「分かった。銀貨100枚出すよ、D級ハンター1人が1ヶ月ギリギリ生活できるレベルの金額だからね。ま、大切に使いなよ」


「おぉ!ありがとう、ちなみにお金の出処って?」


 するとレベッカはニコッと笑って答える。


「あなた2ヶ月間お小遣いなしね」


「……え……うそ……でしょ……」



 数十分後部屋に戻ってくるとハルマが駆け寄って手をとる。

 グイグイと顔を寄せてくるので思わず顔を逸らす。顔だけは美人だからね。そりゃ照れますよ。


「のぉ!明日の祭りは行けるかの?」


「……あぁ……行けるよ……うん……もうこうなったらね、楽しむよ?ぼかぁね」


「わーい!やったのじゃ!食べ物を食べる。わたあめ、というやつを食してみたいのじゃよ!」


 ハルマが喜ぶのならまぁ、いいかと思いつつもまさかレベッカ如きに論破されるとは思わなかった。

 当然、抵抗したが残念ながら元・経済学者であるだけににわか知識の持ち合わせだけでは勝負にさえならなかった。

 そんな事を思い涙目になりながら覚悟を決めたものの、ハルマは喜びのあまりにゆうきの悲しみに気がつくことは無かった。




 そんな事件もありながらやって来たのは夏祭り・2日目だ。

 今日も夕暮れ時から始まった祭りにはハルマの要望で最初からの参加になった。


「おぉ、夕焼けと祭囃子。うんうん、絵になるね」


「祭囃子ってそう言った音楽はないぞ?どちらかと言うとサーカスじゃの、ゆうきは何を言っておるんじゃ?」


「いいかハル。この世界には雰囲気でしか伝わらない物があるんだよ。これはまぁ、人間特有のものだよ、そして人はそれを風情と呼ぶ」


「ふぅむ……ようわからんの。まぁよい、さっさと行くぞ!わたあめを食べるのじゃ!わたあめ!」


 そう言って2人は祭りへと繰り出していった。


 祭りの規模が大きく2日目にも関わらず目新しいものに目を輝かせていると見覚えのある光景が目に入る。


「ハル!あれはなんだ?もしかして……プロレス、か?」


 そこは四角いリングに太い縄でプロレスリングのようなものがあり、周りコロシアムのように椅子が設置されて熱狂した観客が声援を送り、リング上では2人の男がスキルや魔法を放って攻撃して、その脇では審判がいるのが見える。

 ただゆうきの見知ったプロレスと違うのはリングのサイズが圧倒的に大きい事だった。

 また、その試合の決着が着いたのか片方がリングの外の更に5メートル程いったところに弾き出されることから、結界が張ってあるのが分かる。


「む?あぁ、多分そうじゃろうな。話に聞いたことがある。その特徴と一致するので間違いないじゃろう、どうした観たいのか?」


 そう聞かれた時のゆうきは別に観たいわけでもなかったがある看板に目がいくと、そちらを指さしてニヤリと笑いながらハルマに答える。


「あれ、見てよ」


 そこには『参加者募集中!勝者には豪華景品!』と書かれた看板があった。

 ハルマもそれを見て思わずニヤリとする。


「ほうほう、なるほど……これはやらずして帰れんな!」


「行きますよ!ハルさん!」




「さぁ!今年もやってまいりました!一般参加者対象のアマチュアプロレス、グリーンボーイ王座決定戦!!今年の優勝を飾るひよっこはどいつだぁ!」


「はい、解説のメイビスです!こちらの煩いのが実況のネルドです。よろしくお願いします!さて、では今回の勝ち負けについて簡単に説明します!選手は予めヒーローとヴィランに分かれていただきます。勝ち残り戦で見事優勝された方には、賞金と贈答品がおくられます!また、ホットキャラクター賞というのもございますよ」


 その言葉にネルドが反応する。


「お!ホッキャラねホッキャラ。ホットキャラクター賞ってのは1番熱いヒーローかヴィランを演じきった奴に観客からの投票で決定する賞だぜ!設定は大事だ!それでもよぉ、やっぱり男は1番狙うしかねぇけど……ヒーロー同士、ヴィラン同士が戦っちまう事にならねぇか?これって勝ち残り戦だよな?」


「安心してください!ぶっちゃけヒーローとヴィランの括りってキャラ付けのためなんで!また、今回は2人女性の参加者がいるらしいので期待していてください!」


 何の期待かまでは言わなかったが会場はその言葉で更に熱を上げていく。


「いや!説明になってないけど!?しかもそこぶっちゃけるのかよ!まぁいいや!さっさと試合を始めるぞ!第1試合、選手入場!」


 実況がそう叫ぶとリング脇の2つある少し大きめのテントから1人ずつ選手が出てくる。


「孤高のヒーロー!風の使い手!ランニングテンペスト!対するは、無敵の戦車!倒せるものなら倒して見せろ!ハルス!結界は張ってある!遠慮は無用!さぁ、試合開始です!」


 ランニングテンペストは軽装の鎧と白いローブを纏った魔法剣士でハルスとはハルマの事でどうやって出したのか鉄の胸あてと腰周りだけにタシットを着けて、何故か手足や腹回りは露出させていた。

 そんな2人がリングに上がり向かい合うと、審判が始めの合図を出す。2人はお互いに一言交わしてからすぐに行動を始める。 

 

「悪は必ず私が滅ぼす!”四肢を守れ風の渦よ”」


「ふん!我を倒そうなぞ100年早いわ!」


 ランニングテンペストという名前から何となく察していたが、その魔術は手足に風を纏わせて更にその風圧で少し身体が浮き、攻撃力、防御力、そしてスピードさえも上がる魔術だった。

 しかし、魔力消費が激しいので短期決戦を狙っているのは間違いないだろう。

 対してハルマは露出している部分を竜の状態に戻して完全に受けの態勢に入って、耐久戦を狙っているのが分かる。


「さぁ!1戦目はなんとお互い自己強化による魔法とスキル?でしょうか!?更に更にテンペストの短期決戦とハルスの長期決戦を狙った矛盾(ほこたて)な戦いが予想されるぞ!意地と意地のぶつかり合いになるぜ!こりゃあ!」


 実況もそう言っているとおりに最初からランニングテンペストが怒涛のラッシュを繰り出すがハルマことハルスはその全てを手足で受け止めていた。


「ほらほら、どうした?そんな攻撃では我にかすり傷1つ与えられんぞ?」


「くっ……硬いっ……だが負けん!」


 そう言うと先程よりも攻撃の回転数とスピードが更に上がり上下左右に身体を振ってフェイントを入れたりハルスの背後を取ったりし始めていた。

 流石のハルスも対応出来なくなってきたのか徐々に身体に傷が付いていく。

 しかし、その時はすぐに来てしまう。


「ふっ……はぁ…はぁ…はぁ……」


「ふふっ!もう魔力切れか、まぁなかなかに面白い戦いではあったがここまでのようだな」


 するとランニングテンペストは座り込んで両手を上げて降参のポーズを取る。


「あぁ、参った。魔力切れで頭がフラフラする……もう、無理だ……」


「そうかそうか、しかし、我は”悪”相手には一切の容赦などせん!」


 そう言うとランニングテンペストの頭を鉤爪で吹き飛ばす。

 

「ふふっ……はははっ!さぁ人間!我を倒して見せろ!」


 その瞬間にスタジアムで歓声が上がる。


 その光景をテントの出入口からこっそりと覗いていたゆうき。


「おぉ!ハル……じゃなくてハルスかっこいいな!絶対悪はカッコいい!戦闘力53万だ!」

(しかし、ハルマ……暴走しすぎじゃないか?)


 そんなゆうきの心とは裏腹にゆうきの存在を快く思わない人物がその場にいた。


「おい、チビ!てめぇみたいなガキンチョがこの大会に出場してんじゃねぇよ。目障りなんだよ、それとも俺様にボコボコにされてぇのか?」


 後ろを見るとデカい筋肉ダルマが立ってこちらを見下ろしている。身長が2メートルはあるんじゃないだろうか?

 スパルタ兵士のような格好をしていて赤いマントを羽織って腰には剣を携えている。


「俺はレオニダスってんだよ。まぁ、ヒーロー名だけどな、あっちの世界の英雄だそうだ。俺にぴったりだろ?」


「初対面じゃそんな事は判断できません。それと、ボコボコにはされたくは無いですけど……何か用ですか?」

(なんだこいつ、ヤクでもキメてんのか?)


「いい質問だ。いやな、用ってのは次に俺が相手する奴を見に来たんだよ。打ち合わせも兼ねてな、それが終わってふとテント内を見てみたらどうだ?おめェみたいなふざけたやつがいるからよ。雑魚はこの大会に出んじゃねぇよ。今から棄権しな。ここの皆は全員そう思ってるはずだぜ?そうだよなぁ!?」


 気が付けばゆうきの周りの選手が集まって、ゆうきに対して侮蔑や軽蔑といった眼差しを向けていた。


「……む?それは詰まり私が弱いからこの場に居るなということか?」


「おう、物分りがはえーな。んじゃあ、さっさと帰るんだな。まぁもう1人のハルス?だったかはいいんじゃねぇか?いたぶりがいがありそうだ」


 しかし、それを聞いてゆうきはおかしくなって思わず声を出して笑ってしまった。

 と言うのも確かに筋肉はもりもりで傍目からはとても強そうに見えるが、手を見ればゴツゴツしているが傷はなく武器や装備も綺麗なままだった。

 そして何よりも決定的に足りないものがあった。ゆうきにも分からないがアリシアや鉱石部隊の面々、果ては『野犬』ことアイファルドにすらあった何か。そう、つまりは雰囲気が無かった。


「アッハッハッハッハッ!!だったらあんたらが出てけばいいじゃん、綺麗なお手てが汚れちゃうぞ?」


「………………おめぇ調子乗ってんじゃねぇぞ?……てめぇは俺がボコボコにしてやるよ!このクソ雑魚がよ!」


 そう言ってクルリと振り返ってテントから出ていこうとするがゆうきは少しからかってやろうと思い、スっとレオニダスの後ろをとり、流れるようにポケットからナイフを取り出すと、首に手を回して首にナイフをあてがう。

 そして耳元でそっと呟く。




「ボコボコじゃなくて殺しに来いよ?」




 その天使のような声で囁かれた悪魔の言葉に筋肉ダルマことレオニダスはぞっとして、思わず後ろを振り返って手を横に一閃する。

 しかし、ゆうきは既にレオニダスの背から離れているのでその攻撃は当たることは無かった。


「バイバイ!」


 ゆうきはニコニコしながら手を振ってレオニダスを見送る。

 レオニダスはというと自分の用は既に済ましていたのか、小さく舌打ちをしてムッスリとした顔でテントから出ていってしまった。

 周りの選手達もゾロゾロと自分の元いた場所へと戻っていく、といっても同じテントなのでその場に座り込むぐらいしか出来ない、それ故にその場の空気は最悪だった。


(さて、僕もどうやって演出するか考えないとな……と言っても8割がたは決まっちゃってるからあとは細かい設定だけだな)


 だが、ゆうきにはそんな事はお構い無しに、その場に座り込むと自分の事だけを考え続けるのだった。


という訳で投稿遅くなり申し訳ありません。理由はモンハンワールドが発売されたということで察して下さい。

これ以上嘘を重ねると大変なことになりそうですので今後はまったり投稿していこうと思います。時折早く投稿します。

ですが、投稿を辞めるということは無いので気長にお待ちいただければ幸いです。


では最後になってしまいましたがお読みいただきありがとうございます。

宜しければ次回もお読みください。

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