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楽して勝って笑いましょう  作者: 未出舞
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不撓不屈2

この時期の連日更新は無理だと悟った1週間でした。

 ルーナと出会った次の日の朝、いつも通り学校に出向くとルーナが校門で待っているのが見えた。

 ゆうきは自身と関わりがあるとバレるとめんどくさくなるのをアレックス達で実証済みだったので、目配せだけしてルーナの前を通り過ぎる。

 しかし、ルーナはその意図を理解する事が出来なかったのか普通に話しかけてくる。


「あっ、おはようございます!伝えたい事があって待ってたんですよ。その……今日お昼一緒に食べませんか?」


 ゆうきは思わず頭に手を当ててため息をついてしまったが気を取り直して返事をする。


「普段食べている人に確認を取ってからですが問題ないと思いますよ。それからあまり私と関わりを持っていると思われると良くありませんから気をつけてください」


「別に気にしませんよ。むしろ来るなら来いって気持ちです!」


 髪の長い清楚な見た目とは裏腹に快活な性格のようだ。

 周りの人はジロジロ見てくるがゆうきは既に慣れていたし本人も気にしていないようなのでルーナの好きにさせることにした。


「そうですか、まぁそれなら構いません。それでクラスはどちらですか?」


「私はCクラスです。なのでここでバイバイです!お昼にそっちに行きますね!では!」


 そう言い残すとさっさと走って行ってしまう。ていうか早すぎませんか?


「なんと言うか相変わらず忙しい人だなぁ……」





 朝にそんなことがありながらもゆうきはいつも通りに授業を受けていた。

 魔法の授業で魔力の概念について習っていたのだがなんとも言うこと書くこと全てが抽象的過ぎて全く頭に入ってこなかった。

 曰く、魔力は精神そのものである。

 曰く、精神がすり減るように魔力も減る

 曰く、精神と同じく休めば元の状態に戻る

 曰く、心を自在に操る事が魔力操作の基本

 曰く、魔力は使えば使う程最大量が増える

 らしいのだが全くもって意味不明だった。

 最後のはステータス的に考えればそういうものなのだろうし、ゲーム脳なゆうきにとって何となく理解できるものではあったが。


(物体や空間が精神に影響されるなんて前の世界でも証明されてない。まぁ気分や体調で出る物質とかはあるけど……魔力はそんなものじゃないはずだ。絶対にそこに何かあるはずだ。しかし、本当に心に影響されるなら頭周りの方が魔力操作は楽なはず想像がどうとか言ってたしな……今度やってみるか)


 先生が魔力操作の方法を教えているのを聞き流しながらゆうきは自分理論を展開していた。

 その時完全にぼうっとしていたゆうきは先生に当てられてしまう。

 油断している時や今分かんねぇから来るなよ!って時に当たるのが世の常だ。


「では10分経ちましたので考える時間は終わりです。まずは……エラトマさん、自身で考えた魔力強化の効率的な方法を発表してみてください」


「へっ……あぁ、はい」

(や、やばいぞ全然話聞いてなかった。こういう時はミスっても大丈夫な……発想で勝負だな)


 瞬時に思考を働かせるとまず基礎魔法で髪を濡らして、次に魔力を髪に集めて魔法の変換、発動を行い、分子の振動を阻害するように分子に魔力を張り付かせるイメージを送る。

 すると髪の一本一本が凍りついて元々黒かった髪が白くなり垂れた水も凍りつくのでまるで白い髪が伸びたようになり腰ぐらいまでの長さになる、髪からは冷気が出ているのが見える。

 しかし、髪自体はサラサラとしており凍っているからと言って折れたり割れたりすることは無かった。

 案外すんなり魔力で温度操作できたのはゆうきにも驚きだったが、先程の仮説が正しいような気がしてきた。 


「この状態を維持することで魔力を常に消費と回復を繰り返せます。また今は夏場ですので涼むには丁度いいかと。これでどうでしょうか?」


「まさか……言葉で説明するだけではなくこの場で新しい魔法を作ってしまうとは……アス高の名に恥じない発表でした。皆さん拍手を!」


「ありがとうございます」

(口だけでよかったのかよ!!)


 そう思いながらも平静を装って静かに着席して静かに他の人の発表を聞くことに徹したゆうきだった。

 ちなみに髪の方は涼しくて気持ちよかったのでそのままにしておいた。服で温度調節できるとはいえ首周りが涼しいとやはり気持ちのいいものなのだ。





 授業も終わり昼になり廊下に出るとリグル含むアレックス達がゆうきの周りに集まって昼食に誘おうとしてくるが断りの言葉を述べる。


「すいません、今日は別の人に誘われていてご一緒出来ないんですが大丈夫ですか?」


 するとラインとユリが反応する。


「貴様にそんな友がいたとは驚きだな。行ってくるといい。ていうか髪どうした?」

「うーん、残念だな〜その人と私達も一緒じゃダメなの?あとその髪の色はイメチェンかな?」


「えぇ、素性も分かりませんしチームの事も知っていましたから探りにきたスパイの可能性もありますので。あとライン憶えておきなさい。髪は涼しいから凍らせてるだけで染めたわけじゃないですよ」


「ひっ……!」


「ま、しょーがないね」「う、うん。そうだね」「そうだね〜また明日一緒しようね〜」「ふむ致し方なし。という訳かまぁゆっくりするといい」


 こうして1度皆と別れる事になったのだがアレックス達の後ろを見ると既にルーナがいてこちらに向けて手を振っている。

 それを見てゆうきも微笑んで手を振り返す。


「うわっ……あの笑顔怖っ……」「あぁ、エラの笑顔ほど怖いものは無い」「エラちゃんこわ〜い」「な、なんか怖いよねぇ」「済まない、私も少し恐怖の念を抱いた」


「では、私はあの娘食べてきますので“また明日”」


 そうしてルーナの元に向かっていった背中を皆は見つめていた。

  するとアレックスが口を開く。


「あの娘は誰なんだろうな……」


「あ、あの娘はCクラスのヤマモト・ルイナさんだよ。た、確かヤマモト家の御息女だったはずだよ……」


 その情報に皆は顔を顰める。


「あの〜なんで知ってるのかな〜?」


「べ、別にいいじゃないか」


 顔を赤くして声を荒らげた様子を見て、一堂はあぁ、なるほどね。と納得した。





 ゆうきとルーナはルーナの提案で外へ出て昼食を取ることにした。

 昼食をたべながら様々な会話をしているとルーナからある質問が飛ぶ。


「エラトマさんなんでそんなに強いのか聞かせてください!」


「と、言われましても……そうですね、一切の容赦をしない事じゃ無いでしょうか?初めて君と対峙した時も迷いなく銃を撃ったでしょう?」


「う、確かに……他には何か!?あるんですか!?レベルとかスキルとかってどうなってますか!?」


 流石にここまで質問攻めにされたりデリカシーのない質問にゆうきは注意する。


「……なんと言うかあなたは容赦ないのですね。そういう事は自分の命に関わるのですから教えるのも聞くのもあまり良くないことですよ。私は……レベルぐらいならお教えできますよ。29です、周りの方と大して変わりませんよ」


 なぜ自分で命に関わるとか言っておきながらレベルを教えたかと言うと、ゆうきの場合レベルとステータスの関係にある程度見られる比例関係がゆうきには当てはまらないからだ。

 通常の2倍だからね。2倍だよ凄いよね?

 

「レベル29なんですね!私は今は26なので頑張って追いつきたいです!」


 そうこうして色々な事を話していると気づけば昼休みの終了を告げる予鈴がなってしまった。


「もう時間ですか……(内容的に)普通にお話したのは久しぶりだったので楽しかったです。また良ければお話しましょうね」

(ハルマとかアレックス達は馬鹿か下品な話しかしないからなぁ……)


「そうだったんですか!あの、私でよければ(量的に)普通に話しかけてきてください。いつでもお相手します!」

(きっとあの名前(あだな)のせいで誰にも構ってもらえなかったんだろうなぁ)


 こうして1つの誤解を生んで2人はお互いの教室へと帰っていくのであった。

 しかし、この時ゆうきは自身に向けられたら悪意に気づくことが出来なかった。




 その日も学校が終わりアレックス達と別れるとゆうきはバイクに乗っていつも通り滅茶苦茶なルートを通って魔法陣を目指す。

 角を曲がって裏路地に入るとため息とともに思わず言葉がこぼれる。

 

「あぁ、平和やぁ……」


 そう言葉にした次の瞬間ゆうきは目の前に魔法で前方に炎の球を飛ばす。


「”我が手に集え炎撃よ”」


 すると魔法が通ったあとに幾つもの炎の線が残る。ワイヤートラップだ。


(燃えカスも残らない位の火力は出したつもりだったのだがな……)


 そう思いつつも周りを見渡すが誰も見えない、これをやった犯人は多分もう逃げたのだろう。

 とにかく表通りに戻らなくては、そう思い後ろを見ると後ろも大量の糸が張られていた。

 また魔法で吹き飛ばそうと思ったが表は人通りが多く、またこちらからはどうなっているか見えない。

 下手に魔法を撃って人に当たったら大変だし、そもそも当たらない方が難しいぐらいだ。時間を戻してもいいが魔力が尽きるのが先なのは明らかだろう。

 それならと自分の身体を浮かして空から逃げようとしたが建物の屋根の間にも大量の糸が仕掛けられているのを見て、先程と同じ魔法を使うが全く効果が無い、どころか魔法が消えたように見えたので急遽スキルをオフにして着陸する。

 多分魔法とスキルを封じる縄を改良したものだろう。

 もしかしてと思い瞬間移動も使ってみるが使った瞬間に糸に身体がぶつかって弾かれてしまう。まさかこんな使い方とスキルの弱点があるとは……。


「チッ……狙ったかは分からないが相手はかなりの知識を持ってるみたいだな。仕方ない、誘われたんだから行くしかないよな」


 覚悟を決めてバイクをポケットにしまって代わりにナイフと銃を取り出すといつもより薄暗く見える路地裏へと歩みを進めた。




 ゆうきは『隠密』を発動させたまま慎重に進んでいった、先程の手際を見るに相手はゆうきと同じスピード型、とでも言うべき相手だろうし隠密性能も高い相手と予測出来る。


(1度外に出たいな…場所が悪すぎる)


 とにかく表通りの人の多い場所を目指して進んで行く。

 そうしてついに通りに繋がる場所へ来たのだがそこも糸が張られてあり出口が塞がれてしまっていた。


(このままじゃ他の場所も同じような状態だろうな、どうするか……そうだ!簡単じゃないかハルマにぶった斬ってもらうか)


 そう言うとゆうきは白い鱗を取り出して魔力を流そうとするがここでマヌス家の事を思い出す。

 ここで監視されているのは間違いない、もし使ってゆうき自身が竜を従えていると噂が広がったら滅茶苦茶めんどくさい事になるし、マヌス家の連中にまた難癖付けられるんじゃないかと思うと使う気にはなれなかった。


(そもそもここで逃げたら後々もっと面倒だな。間違いなく相手は今日の為に備えている。それを変な形でぶち壊したらなぁ……正面から立ち向かうか)


 仕方なく滅茶苦茶な方向を目指して歩いていく。

 すると角を曲がったところで人影が見えた、瞬間にその人影へと飛びかかって引き倒すと銃を頭に突きつける。


「お前が犯人か!?」


「ひ、ひいぃぃぃいいいい!命だけは助けてくれ!!」


 見るとただのおじさんでしかも服装を見ると野菜のマークの入った帽子とエプロンをしている。

 どこからどう見ても八百屋のおじさんにしか見えなかった。

 急いで飛び退くと謝罪と即席の言い訳を話す。


「す、すいませんでした!実はこの裏路地で不審者が見られると情報が入ったので捜索していたのですが勘違いしました!すいませんでした!」


「あ、あぁ。そうだったのかびっくりしたよ。しかし、君こそ危ないんじゃないか?おじさんもついて行こうか?」


「いえ、大丈夫です。おじさんこそ早く安全な場所に戻って下さい。ここは危ないですよ。それに私は見ての通りアス高生ですよ。一般の方よりは強い自信がありますから大丈夫です」


「あぁ、そうか。気をつけてな」


 そうしてゆうきは再び銃を構えるとおじさんに背を向けて歩き出した。

 その時のゆうきは気が付かなかったがおじさんが背を向けたと同時に腰に隠していたナイフを取り出してゆうきに向けて振り下ろしていた。


「こんなの初見じゃ分かるわけないよ!っと」


 しかしゆうきは振り向いてナイフを持った腕の手首を上げ受けで受けると逆突きで相手のみぞおちを殴る。


「がばぁ……っ!?」


 おじさんが凄い声を上げて地面に仰向けに倒れる。

 おじさんの呼吸が荒いがゆうきは上からじっと睨んで質問をする。


「お前が犯人か?そうなら今すぐ自白するんだな。軽い罰で済ましてやる」


「ふん………黙れ……」


「お前なにを……!」


 お前なにを言っているんだ。と言おうとしたところで目の前に突然煙幕が張られる。

 煙幕が晴れると黒いマントを羽織った人物3人並んで、そのうちの1人(誰か分からない)が屋根の上からおじさんの声でゆうきに向けて叫んでくる。


「はははは!いいか!ここにいるのは俺だけじゃねぇぞ!覚悟しておけエラトマ!」


「くそっ……最悪だ……」


 しかし、本当に最悪なのは相手が複数人いるという事だけでは無いという事がこのあとすぐに分かった。

 本当にたまたまだったのだが滅茶苦茶な方向に歩いていたので、遠くに糸が張られているのが見える1本道に着いてしまった。

 すぐに引き返そうとしたのだが、一瞬だけ糸が縦に割れて開くのが見えた、走り出したが間に合わなかった、と言うより邪魔が入った。

 開いた糸から女性が入ってきたのだ、思わず女性に声をかける。


「あなたは誰だ?」


「へ?いきなりなんですか?」


「ここがどうなってるのか分かっているのか?後ろや空を見てみろ」


 そう言うと女性は辺りをキョロキョロと見回すと大量の糸が張られているその光景で途端にパニックに陥る。


「え?え!?なにこれ!?出られるの?あ、あなたその格好アス高の生徒でしょ?魔法でどうにか出来ないの?」


「とにかく落ち着いてください。原因には心当たりがあるのでここで待っていて下さい。その前に服装の検査をさせて貰っても?」


 念の為所持品検査だけさせてもらうことにした。

 女性は不思議そうな顔をしたがゆうきの見た目から油断したのか素直に服をさぐらせる。

 どうにも武器の類を持っていないようなのでそのままそこで待機してもらうように頼んだ。


「あの、気をつけてね!」


「ありがとうございます。行ってきます」


 ゆうきは再び路地裏へと向かいながら静かに頭を抱えた。なんと言ってもここにいるのは敵だけではなく一般人もいるのだ、そもそもここに迷い込んだことさえ気が付かない人もいるだろう。

 間違って攻撃すしたり逆に攻撃を受ける度に時間を戻していてはキリもないし魔力も足りない。


「絶望的だ……」


 まさかここまで入念な準備がされているとは思わなかったし、今更どうしたらいいのか分からない。

 相手の狙いは間違いなくこちらの疲弊を狙っているのだろう事は分かるのだが、そもそもアス高の生徒なのかそれ以外なのか、相手の人数や職種さえもわからない。

 気が付けばほんの数分でゆうきはカマキリ以来の危機に立たされていた。

言い訳するとですね。繁忙期って誰にでもあると思うんですよ。言い訳終了。


ではこの前の病院での出来事を話しますね。

そこの病院に中待合室があったんですが、そこで音楽が流れてたんですけどそれが「千の風になって」だったんですよね。

今考えると誰か余命宣告されてたんじゃないかって思います。耳鼻科ですけど。


最後までお読みいただきありがとうございます。

次回の更新も少し時間が開くと思います。

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