4-A
頭の中に高い音が繰り返し響く。この音の正体を僕は知っていた。
うるさいなぁ。心の中でそうつぶやきながら携帯のアラームを止める。画面には『15:01』と表示されている。特に起きてやることもないが、この時間から起きていないと仕事が辛い。
とりあえず予定にあった風呂に入る準備をした。
湯船を沸かしている間に、洗濯物を洗濯機に放り込む。
「そう言えば、カバンにシャツ入れてたっけ」
カバンを持ち上げた瞬間、足元に何かが転がってきた。
「これ、昨日のストラップ...」
拾い上げ見つめてみる。
何度見ても子供がつけるような、可愛らしいストラップだった。
自分の携帯を取り出し並べて見る。
5分位見つめていた気がする。
「無いな...仕事で嫌ほど見てるのに、なんでわざわざ付けないといけないんだ...ハズレ...だった...」
僕はそのストラップを、部屋の壁にもたれかかったように設置されたゴミ箱に放り投げた。
「あっ」
ストラップはゴミ箱よりも少し高く飛んでいく。
壁に当たりそのまま綺麗に入った。
「ん、セーフ」
100円損したなぁ、何て考えながら「お風呂が沸きました♪」と言う通知音に、「はいはい」といつも通り返事をしながら風呂場へ向かった。
脱いだ服を洗濯機に入れ作動させる。
1時間くらい風呂に時間を使って時間を潰した。
風呂から上がり髪を乾かしたり、片付けをしたり、そうこうしているうちにお腹が減る。
食事は1日1回しか摂っていなかった。お金が面倒なのと、買いに行くのが面倒だったからだ。今はもうこの生活に慣れたのか、この時間にしかお腹が減らなくなっていた。
「そろそろ買いに行くかな」
僕はいつものスーパーに弁当を買いに行く。今日も彼女はそこにいた。
店に入ると彼女は手を振ってくれる。僕はそれに対して手を振りかえし、いつも通り、このスーパーの安い手作り弁当を手に取りそのままレジに向かう。
「お弁当温めますね」
いつも通り、何も変わらない。
温まるまでの数分間たわい無い会話が続く。
「あっ!そうだ○○さん!良かったら連絡先交換しませんか?本当に彼女いないなら良いですよね!!これ、私の連絡先です!!絶対連絡してくださいね!!あ、それと店長にはしーですよ」
彼女は無邪気に笑いながら「もう来ちゃダメですよ」と言って連絡先の書いた紙を弁当の袋に入れて渡してくれた。
僕は少し戸惑いながら、彼女の勢いに負け、断ることが出来ず、「じゃあまた明日」そう言って店を出た。
後ろで「絶対、連絡してくださいね」と小さな声が聞こえた気がした。
明日どうしよう、連絡位なら大丈夫だろうか。そんな事を考えながら、ふとガチャガチャに目をやる。昨日のガチャガチャはもう撤去されていた。
「やっぱり運命なんて変わるわけないよ、連絡はしない方が良いかな。明日謝ろう」
僕はそう自分に言い聞かせ、帰路についた。




