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運命の分岐点  作者: 溝端翔
〇〇編
4/10

4-A

 頭の中に高い音が繰り返し響く。この音の正体を僕は知っていた。

 うるさいなぁ。心の中でそうつぶやきながら携帯のアラームを止める。画面には『15:01』と表示されている。特に起きてやることもないが、この時間から起きていないと仕事が辛い。

 とりあえず予定にあった風呂に入る準備をした。

 湯船を沸かしている間に、洗濯物を洗濯機に放り込む。

「そう言えば、カバンにシャツ入れてたっけ」

 カバンを持ち上げた瞬間、足元に何かが転がってきた。

「これ、昨日のストラップ...」

 拾い上げ見つめてみる。

 何度見ても子供がつけるような、可愛らしいストラップだった。

 自分の携帯を取り出し並べて見る。

 5分位見つめていた気がする。

「無いな...仕事で嫌ほど見てるのに、なんでわざわざ付けないといけないんだ...ハズレ...だった...」

 僕はそのストラップを、部屋の壁にもたれかかったように設置されたゴミ箱に放り投げた。

「あっ」

 ストラップはゴミ箱よりも少し高く飛んでいく。

 壁に当たりそのまま綺麗に入った。

「ん、セーフ」

 100円損したなぁ、何て考えながら「お風呂が沸きました♪」と言う通知音に、「はいはい」といつも通り返事をしながら風呂場へ向かった。

 脱いだ服を洗濯機に入れ作動させる。

 1時間くらい風呂に時間を使って時間を潰した。

 風呂から上がり髪を乾かしたり、片付けをしたり、そうこうしているうちにお腹が減る。

 食事は1日1回しか摂っていなかった。お金が面倒なのと、買いに行くのが面倒だったからだ。今はもうこの生活に慣れたのか、この時間にしかお腹が減らなくなっていた。

「そろそろ買いに行くかな」

 僕はいつものスーパーに弁当を買いに行く。今日も彼女はそこにいた。

 店に入ると彼女は手を振ってくれる。僕はそれに対して手を振りかえし、いつも通り、このスーパーの安い手作り弁当を手に取りそのままレジに向かう。

「お弁当温めますね」

 いつも通り、何も変わらない。

 温まるまでの数分間たわい無い会話が続く。

「あっ!そうだ○○さん!良かったら連絡先交換しませんか?本当に彼女いないなら良いですよね!!これ、私の連絡先です!!絶対連絡してくださいね!!あ、それと店長にはしーですよ」

 彼女は無邪気に笑いながら「もう来ちゃダメですよ」と言って連絡先の書いた紙を弁当の袋に入れて渡してくれた。

 僕は少し戸惑いながら、彼女の勢いに負け、断ることが出来ず、「じゃあまた明日」そう言って店を出た。

 後ろで「絶対、連絡してくださいね」と小さな声が聞こえた気がした。

 明日どうしよう、連絡位なら大丈夫だろうか。そんな事を考えながら、ふとガチャガチャに目をやる。昨日のガチャガチャはもう撤去されていた。

「やっぱり運命なんて変わるわけないよ、連絡はしない方が良いかな。明日謝ろう」

 僕はそう自分に言い聞かせ、帰路についた。

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