17th‐Jealousy
更新速度が遅いと、文章の書き方を忘れるという弊害が…。
自分で読んでいても違和感がやばいです。
短時間でトウガンに鮮烈な印象を与えたアルトリアが去っていった後、彼女は我に返って帰り道を歩き出す。
ボス部屋に一度に入れるのは8人を1パーティとする4パーティまで。すなわち32人が同時に入れるわけだが、一度扉が閉じてしまえば別のプレイヤーが入ることはできなくなる。
つまり、今の状況でトウガンがボスに挑むのは不可能だ。
また総じて、MMOゲームのボス戦には時間がかかる。
「なら、長居する必要はないだろ。レベル上げも一通り終わったし」
そう呟いて、その場を去ろうとした瞬間、
「お待ちなさい!」
甲高い、女性の声が聞こえた。条件反射的に、声の方向に振り返る。
そこには、煌く刃があった。
「っあ!?」
咄嗟にしゃがみこんだ彼の真上を、勢いよく刃が通過していく。
「へぇ、よく躱しましたわね。でも、次はこうは行かなくってよ」
「なんで出会っていきなりそんなライバル感あるセリフかましてんだ!?」
思わず初対面の相手だということも忘れて怒鳴り散らす。
しかし相手の女性はそれを何とも思わないようなすまし顔で言葉を続ける。
「安全地帯でもないのに気を抜くのが良くないのですわ。……これは警告ですの」
「わざわざその警告のためにこんなPKまがいの事するのかよ!?」
「…勘違いしているようだから言っておきますわ。私は別に貴方の心配をしているわけではなくってよ」
「は…?」
「警告とは…」
訝しむトウガンを前に、女性は一呼吸おいて言った。
「貴方は二度とアルトリア様に近づいてはならぬという警告ですわ!」
そして、トウガンにナイフを構えて突撃する。その得物は光を帯びていて、何かしらの突撃系スキルであることは想像できる。
(…っ!速い!?)
不意打ちの初撃以上の速度に一歩後ずさる。が、真正面である分、多少の余裕があった。
「【呪符・麻痺】!」
手元でスキルとしての力を持った符が輝く。
それをトウガンは手前に構えた。
数瞬後、構えた符にナイフが当たり、スキルの効果が発動した。
バチン!という音と共に、女性が一瞬怯む。それだけではなく、強制的にスキルが中断させられたことによって不自然に急停止したため、前のめりに倒れてしまった。
その隙にトウガンがバックステップで距離を取る。
「よく分からねぇけど……厄介事は御免だ!」
叫びながら、彼女は更に2枚の符を取り、地面に叩きつけた。『目視』という座標指定によって、その2枚は寸分違わず同じ位置にそれぞれの模様を描く。
「…ふん、多少はやるようですわね。」
声に反応して振り向くと、洋服の汚れを払いながら立ち上がる女性の姿があった。
トウガンは今までの激しい立ち回りから冷静になって相手を見る。
髪は銀色からやや灰といった色。
顔つき体つきから20歳前後と思われる。
着ている服は薄めのピンクの所謂ゴスロリ風。しかし所々に金色の刺繍があり、主張しすぎない程度にアクセントを効かせている。
…これがどんなジョブなのかはよく分からない。
「…何をジロジロ見ているんですの?」
彼女はトウガンに明らかに不機嫌そうな声を浴びせながら、殺気のこもる目を向けて歩く。
先程までと異なり、一歩ずつゆっくりと進んでくるのが逆に強い威圧感を持たせている。
「ならば良いでしょう。私の持つ最強の攻撃…を?」
彼女はそこで不自然に言葉を切った。威圧感も殺気も、一瞬全くなくなった。
そして歩みを止めた。
思えば、なぜそこで立ち止まったか。本人すらわからなかった。
トウガンが不敵に笑ってるのを見たのかもしれない。気まぐれかもしれない。
ただ事実として彼女が立ち止まったのは、たったさっきトウガンの仕掛けた罠の場所だった。
直後、
トウガンが彼女に背を向けて一直線に走り出し、追おうとした彼女の足元から白い煙が現れ、視界を覆い隠した。
「は?え、煙幕ですの!?」
突然のことに動転していた彼女も、数秒後煙が晴れる頃には自分の状況を理解したが、もはや目の前に人影はなかった。
「…やられましたわ。[帰還状]を使っていればとっくにここにはいないでしょうし…」
彼女はトウガンに逃げられたことを悔やみながらも、当人への殺意を一気にクールダウンさせ方策を練る。
「…仕方ありませんわね。あの方を殺せないのであれば街に戻る以外ないですわ」
そう言って、街で比較的安く買える、某RPGのルー○的なアイテム、[帰還状]をストレージから取り出す。
「アルトリア様のボス討伐の凱旋を、真っ先にお祝いしなければなりませんわ!あぁ、私が街に戻るまで、もうしばらくお待ちになってくださいまし!アルトリア様ぁ~」
✽ ✽ ✽
「…行ったか」
謎の女性がいなくなったのを見て木陰から姿を現したのは、トウガンだ。
実験以外の買い物なんて碌にしていないトウガンが、[帰還状]なんて便利なものを持ってるはずもなく、(フィールド探索に行くなら必須のアイテムの一つに数えられてるなんてことはもっと知るはずもなく)。
かと言ってものの数秒であの瞬足から逃げ切るのは無理だと考えた結果がすぐ近くに隠れることだった。
今回はどうやら彼女の勘違いで助かったようだ。
…一般的なプレイヤーからすれば、真っ先に考える推理であるため、彼女をどうこう言えたものではないが。
「…気づかれたらどうしようと思ったが、振り切れてなによりだ。」
トウガンは呟いて胸をなでおろす。
そこで現実の自分にないバストがあることに改めて気づき、なんとなく切ない気分になったのは、どうでもいいことか。
夏休みですね!自分は部活動などで忙しいので更新ペースが上がったりということはないと思います。
申し訳ありません




