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-Bandit- ~異世界召喚された最凶PKギルド、国を乗っ取って統治したら民衆に崇められました~  作者: DRAGON
略奪

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第2話:豚王の侮辱と腹黒い宰相




眩い光が収まると、龍達の目の前には巨大な謁見の間が広がっていた。


天井には水晶のシャンデリアが吊られ、壁には金を惜しみなく使った騎士の彫刻。

床一面には赤と金の絨毯が敷かれている。


そして正面のひな壇。


ギチギチと悲鳴を上げる豪華な椅子に、その『肉塊』は座っていた。


高級そうな絹の服を破れそうな程に押し広げる肥満体。


全ての指には宝石の指輪が嵌められ、膝元に置かれた銀の盆から果実を掴んでは次々と口へ放り込んでいる。


クチャクチャと響く咀嚼音。


贅肉に埋もれた顔まで含めれば、太った豚という表現がよく似合う男だった。


突然現れた4人を囲むように、白銀の鎧を着た近衛騎士達が一斉に剣へ手を掛ける。


龍はオペラ仮面の奥から静かに周囲を見渡した。


太祖は長い白髭を撫で、テスラの魔導義眼はカチカチと音を立てながら室内を見回している。


妲己は煙管を口元へ運び、桃色の煙を細く吐き出した。


テスラが小さな声で呟いた。



「見事な装飾ですね。あちこち本物の金と宝石を使っています。」



妲己がくすりと笑った。



「あらぁ。でも香水の匂いがきつくて、せっかくの豪華さが台無しだわぁ。」



龍は仮面の奥から玉座の男を眺めた。



「さて、どんな歓迎をしてくれるのかな★」


「……む?何だこの怪しげな奴らは?」



玉座の男が油で汚れた指を絹の服で拭い、露骨に顔をしかめた。


小さな目が龍達4人を順番に眺めていく。


黒の革コートにピエロ帽子を被って白い仮面を付けた龍。


麻衣を着た小柄な老人の太祖。


白衣に身を包んだテスラ。


そして花魁衣装を着た妲己。


男の目が妲己の狐耳と尻尾で止まった。



「チッ……下賤な獣人まで混ざっておるのか。おい宮廷魔術師!どういう事だ!?伝説の英雄を召喚したのではないのか!?奇人に老人、病人に亜人ではないか!国家予算をどれだけ使ったと思っている!」



怒鳴り声が謁見の間に響き渡り、宮廷魔術師達が青ざめて頭を下げる。


近衛騎士達も貴族達も王を止めようとはしない。


龍は何も言わず、その様子を眺めていた。


そこへ玉座の脇から1人の男が進み出た。


細い目に笑みを浮かべた男――宰相である。



「王よ。お怒りはごもっともでございます。しかし古代の術式で呼び出された者達です。使えるかどうかを調べてからでも遅くはないかと。」


「使う?このゴミ共をか?」


「もちろんでございます。」



宰相は即答した。



「召喚の儀に使った国家予算を考えれば、何もせず処分する方が無駄というもの。男共は前線の魔の森へ送り、オークの突撃を防ぐ肉壁に。魔力があるなら地下鉱山で使う事も出来ましょう。」


「ふむ。」


「使える者は使う。使えぬ者も使える形にすればよろしいのです。」



宰相の細い目が龍達を値踏みする。



「平民や奴隷の代わり等、いくらでもおりますので。」



そして視線が妲己へ移った。



「それにあの獣人の女。亜人とはいえ顔立ちも体つきも悪くありません。呪いの首輪を着けて貴族へ売れば、十分な金になるでしょう。」


「なるほど。肉壁と奴隷と娼婦か!さすがは宰相、無駄がないな!ぶはははは!」



王が大声で笑う。


龍は何も言わない。


太祖は白髭を撫で、テスラは義眼を動かし続けている。


妲己も煙管から煙を吐いただけだった。


太祖の目が僅かに細くなる。


見ているのは王ではなく宰相だった。


正体も分からない4人を前にして、既に利用方法と利益を考えている。


太祖はそれだけ確認すると、再び白髭を撫でた。


妲己が煙管を口元から離し、小さく呟いた。



「あらぁ。私、呪いの首輪を着けて売られちゃうんですって。」



テスラの義眼がカチリと鳴った。



「呪いの首輪ですか。その術式、少し気になりますね。」



妲己が煙管を軽く振った。



「あらぁ。テスラは珍しい物に目がないのねぇ。」



太祖が喉を鳴らして笑った。



「ふぉっふぉっふぉ。随分と値踏みされた物じゃのう。」



やがて宰相は王との話を終え、龍達へ向き直った。


先程まで浮かべていた笑みは消え、代わりに人当たりの良い笑顔を作る。



「――ようこそいらっしゃいました!異世界より来られた英雄の皆様!よくぞ我がグリード王国の呼びかけに応えてくださいました!」



宰相は深々と頭を下げた。



「我が国のために偉大なるお力を貸していただけるのであれば、最高の歓待をお約束いたします!」



龍はオペラ仮面の奥から宰相を眺める。



「ふむ★」



宰相の笑顔が僅かに固まった。



「何かございましたか?」


「いやいや★」



龍はピエロ帽の3本角を指先で撫でる。



「随分歓迎してくれるんだなって思ってさ★」


「もちろんでございますとも!皆様は我が国を救うため、異世界より招かれた英雄なのですから!」


「へえ――『招いた』んだ★」


「……はい?」



チリ……。


ピエロ帽のドクロの鈴が鳴った。


龍は笑っていた。


王の態度。


宰相の言葉。


そして周囲の反応。


まだ判断するには早い。


龍が欲しいのは、この国のルールそのものだ。



「ねえ宰相さん★」


「は、はい。何でございましょう?」


「せっかくだからこの世界の事を色々と教えてよ★」


「世界の事……でございますか?」


「うん。私達ここの事何も知らないからね★」



テスラが小さく頷いた。



「法律も通貨も分からないままでは、動きようがありませんからね。」



妲己が狐耳をピクリと動かした。



「私はまず、美味しい物があるのかが気になるわぁ。」



太祖が白髭を撫でた。



「ふぉっふぉっふぉ。何はともあれ、まずはここの決まり事じゃな。」



龍は後ろの3人へ振り返る。



「まずは『ルール確認』から始めようか★」



太祖が「ふぉっふぉ」と喉を鳴らす。


テスラの魔導義眼がカチリと回転した。


妲己は楽しそうに煙管を揺らす。


酒の席で交わしたバカ話。


それを本当に試せる場所が目の前にある。


龍にとって、この国が敵なのか味方なのかはまだどうでもいい。


まずはどんなルールで動いている世界なのか。


知るべきなのは、それだけだった。


読んでくれてありがとう★


面白かったら、お気に入り登録と評価をくれると嬉しいな★


感想も待ってるよ★

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