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その知らせを見たのは、朝の事務所だった。
机の隅に置かれた地方紙の三面、広告の下に訃報が載っていた。
(○月○日 市内在住の男性 死亡 事件性は無し)
名前を見てすぐにわかった。私が管理を任されている建物の名義人だった。
特別な感情はなく、会えば会釈する程度。ただ建物の修繕や諸費用の支払いはきちんとしていた。
警察からも連絡はなく、「通常の対応で構いません」と、不動産会社から事務的な支持が来ただけだった。
数日後、私は鍵を預かり、部屋の確認に向かった。
室内は驚くほど整って、生活感はあるが、散らかっていなかった。棚の上には、同じ種類の封筒が並んでいた。
中身は短い手紙だった。
ーーーお世話になりました。助けていただき、ありがとうございましたーーー
無記名だった。
不思議に思いながら、封筒の数を数えると、七通あった。
誰かがまとめ置いたようにも見える。
その日の午後、一本の電話がかかってきた。
「こちらの方の件で少し話を・・・」声の主は名乗らなかった。この男性を知っている口ぶりだった。
「身内ではありません、でも、他人とも言えなくて・・・」
そう前置きして彼は黙った。
これがはじまりだった。




