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第2話「使命の儀」

——転生から7日目


俺はソイルという男に拾われ引き取られた。


ソイルは俺が聞いている限り村の人たちから慕われており、村のリーダー的ポジションだ。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


「はいはい、スイル。

お腹減ったのね!ご飯にしましょう!」


この家にはソイルの妻、アクア。

そして、その2人から生まれた子供、スイル。

どうやらスイルは俺と同じ歳らしい。


「ただいま!腹減ったぁ〜……」


「あら!あなた、おかえりなさい!」


ここエルド家は家族仲も良く、いわゆる順風満帆な家庭である。


そして、俺の第二の故郷となったここ、カイ村。

村の人口は数十人で、かなり小規模な村である。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


「おー!スイル!お父さん帰ってきたぞぉー!」


スイルの頭を撫でるソイルの表情は、

幸せという言葉があまりにも似合っていた。

スイルを愛で倒した後に、俺を見る。


「マオ!お父さんだぞぉー!!そーれ!たかいたかーい!」


つい1週間ほど前に拾った、血の繋がりのない俺をスイル同様、子供として扱ってくれる。

男でも惚れる度量の大きさだ。


転生してから1週間。

微かに身体と意思が同期している感じがする。

この身体じゃ、

レベル上げも当分できないが、

とりあえず今はこの世界の情報収集としようか……



———転生から7年


「はぁー!!せーい!!」


木同士の強くぶつかる音が鳴り響く。


「うぉおっ!さすがマオだな!!

俺が攻撃を受けてよろけるなんてよっぽどだぞ!」


「ふふん!どうだ父ちゃん!」


転生してから7年。

俺はこの世界で7歳となった。

身体と意思は完全にリンクし、俺の意思で自由自在に動かせるようになった。

転生前よりも動体視力は格段に上がった。


なぜか、戦闘時にパワーがみなぎる感覚がある。

なにか、スキルのおかげなのかもしれない。

まるで、オンボロな車から高級な外車に乗り換えた感覚である。


「お兄ちゃんすごーい!!」


「いててて……とんだ馬鹿力だなマオは!

ハッハッハ!今年の"使命の儀"が楽しみだな!」


この世界では7歳になると、"使命の儀"という儀式を受ける義務があり、そこで自身の役職、パラメータなどを確認できる。

人生においての"使命"を見つけることから"使命の儀"と名付けられているらしい。


「あぁ!パパ!ケガしてるよ!!私が治してあげる!"天より降りる聖光よ、苦痛を祓い傷を癒したまえ"

ヒール!」


スイルも俺と同じ7歳となった。

スイルは魔法使いの素質があるのか、回復魔法を使えるようになっていた。

まぁ……まだ、かすり傷を治す程度だがな。


「おーい!スイル、俺にもヒールしてくれよ」


「もぉー仕方ないなぁー!

"天より降りる聖光よ、苦痛を祓い傷を癒したまえ"ヒール!」


——ドクンッ!


内側から心臓を掴まれたような痛みを感じた。


「……ッグ……ッテェー!!また、詠唱ミスかよ?」


スイルは、俺に回復魔法をかけるたびに失敗する。

まぁ、まだ7歳だもんな。


「え、ごめん、お兄ちゃん!

ちゃんと詠唱できたと思ったのにな……」


「よしっ!今日の特訓終了!腹減ったし飯にするか!」


この世界には、時計という文明の利器はない。

朝昼晩は、なんとなくだが存在している。

お腹が空けばご飯を食べ、眠くなれば寝る。

人間らしい暮らしと言えば、そうなのかもしれない。


「はーい!」


転生から7年。

家族仲は相も変わらず良い。

これが、理想の家族てやつなのかもしれない。


「パパ!肩車!!」


「おっ!いいぞ!よいしょっと!」


スイルは甘えん坊だ。

年齢は同じだが、性格的に俺がお兄ちゃんということになってる。


「お兄ちゃんは乗らないのー?」


「俺はいい……2人も担ぐのは父ちゃんがしんどいでしょ」


「お前は優しいな!マオ!

でも、父ちゃんな……めっちゃ力持ちなんだぞ!

さっ!マオも来い!」


「ちょ、ちょっと!父ちゃん!」


「ハッハッハー!どうだ!父ちゃんすげぇーだろ!」


相変わらず父ちゃんは力持ちだ。

俺の自慢の父ちゃん。

血は繋がってないけど本当の家族って思う。


ずっとこんな幸せが続けばいいなぁ……

そんな俺の価値観は、もう異世界に染まっていた。



———3ヶ月後


「パパ起きて!早く起きてよ!」


スイルの声が家中に響き渡る。


「な、なんだよスイル……こんな朝っぱらから……」


父ちゃんが目を擦りながら上体を起こす。

俺もスイルの声で目が覚める。


「今日!"使命の儀"!今日だよ!!」


「な、そうだ!やべぇ!」


「もぅー、パパったらぁ!」


今日は"使命の儀"。

パラメータや能力値が今日公開なんだが……

俺、転生する時、能力値エラーだったよな……

スキルは……なんだっけか?

7年も前のことだ、あまり覚えていない。


まぁ、父ちゃんに負けず劣らずのパワーだ。

パワーの能力値は優秀ぽいが……


数分で身支度を済ませ、スイルと父ちゃんと共に村唯一の教会に向かった。


無事に教会に到着した俺たち。

貧乏な村のせいか、教会はオンボロで今にも崩れそうなところがいくつもある。

ソイルを見つけるなり司祭は、笑みを浮かべすり寄る。


「ソ、ソイル様!お待ちしておりましたぞ!」


「ソイル"様"はやめてくれよ!ソイルでいいよ!

堅っ苦しい……」


「いやいや、それはできません!なんて言ったってソイル様は……」


「まぁまぁ……その話は……」


「勇者様とご一緒に……」


「やめろって!その話はしなくていい……」


ソイルは司祭を怒鳴り睨みつける。

そこには普段の余裕はなく、心臓がすくむほどの覇気を纏っていた。


勇者と一緒に……

父ちゃんは勇者と関係があんのか……?

父ちゃんのこんな顔見たことねぇよ……


「す、すみません。ソイル"さん"、えへへへ」


司祭はソイルの覇気に怯えつつも、平然を保つかのように笑いを浮かべる。


なんか、気まずい……

この空気感苦手なんだよな。

ここは、大人な俺の出番だな。


「と、とりあえず"使命の儀"をしよう……?」


「あ、あぁ、そうだな!

空気を悪くしてすまなかった。スイルとマオの"使命の儀"を始めてくれ!」


「わ、分かりました!

それでは1人ずつ行います。どちらが先に行いますかな?」


「はいはいはーい!スイルから行くー!」


「かしこまりました。スイルちゃん!

それではこちらに……」


スイルの"使命の儀"が始まる。

転生の中間地点"狭間"で見た大きな石板が現れ、スイルの前で浮いている。


スイルは、おそらく魔法使い系のスキルだろう。

まぁ、ヒールですら失敗が多いからそこまで

才能があるわけではない気がするが……


数秒後、石板が光り刻まれる。


――――――――――

Lv.1


名前:スイル・エルド

種族:人族


HP:D

MP:S


筋力(STR):G

耐久(VIT):F

敏捷(AGI):D

器用(DEX):B

知力(INT):S

運(LUK):B


スキル:白魔法

異名:


使命:伝説の魔法使い

――――――――――


「うわぁー!なにこれ!すごーい!」


「ま、まじかよ……」


———

【あとがき】


本作を手に取っていただき、本当にありがとうございます。

少しでも楽しんでいただけたら、⭐︎やフォロー、感想をいただけるととても励みになります。これからも物語を大切に紡いでいきます。

応援よろしくお願いいたします。

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