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百聞だけで済ますんじゃねぇ。  作者: さんまぐ


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第13話 取り返しがつかない程のミス。

雨空晴が田村大地を見放して3日目。

田村大地が事務の仕事をしている間に、デザインの部長が営業の山田と雨空晴を会議スペースに呼び出していた。


部長は会議スペースに入るなり、「一応、田村には注意をしておいた」と言う。


「無駄ですよ。アイツは物事の本質を見る事が養われてません。今も例えアタシが尻拭いに奔走していたから残業していたなんて知っても、謝る事よりも体裁を取り繕って、なあなあで済ます事しか考えてません」

「それは確かにそうだな。もう3日だからな…」


ため息をつく部長は、雨空晴を見て「だが、俺は今回良かったと思ったぞ。雨空の面倒見の良さなんかも見れたし、もう中堅にいると自負しても良いだろ?何人かのまとめをやらないか?」と言って感謝をしていて評価もしている話をする。


雨空晴はお手上げポーズで「パスですよ。もうヘトヘトです」と言って笑う。

ここで山田が「田村だけが特別酷いだけだよ。だから自信持ちなよ」と口を挟むと、「まあそれはわかるんですけど、ただもうアイツは頭打ちですよね」と呟いて、会議スペースの隙間から、事務仕事に打ち込む田村大地をチラ見してため息をつく。


営業の山田が「才能なし?」と聞くと、雨空晴は「違いますよ。蝙蝠野郎になってるから、デザインに打ち込まずに事務に逃げて、事務に打ち込まずにデザインに逃げてるから、このままだとここ止まり。でもデザインで引き取るにも、事務に引き取ってもらうにも半人前過ぎてダメダメなんですよ」と説明をする。


雨空晴の説明に、部長が「それだよな」とボヤきながら、「後は…、もう一つの心配もあって、山田君と雨空に来てもらったんだよ」と言う。


山田は辟易とした顔で「まだあるんですか?」と聞き返し、雨空晴は「アレですよね」と言うと、山田に向かって「アイツは近々大きなミスをする。この先の成長はミスをしないと得られない。この前の北さんの名刺でミスをする事のヤバさに気付けてないんだ。内部で済めば御の字、下手したら外部に迷惑もかかるよ」と説明をした。


嘘だろ、何とかしてくれよという顔で「え゛…」と聞き返す山田に、「防げないよ。多分アイツは楽をする為に試すように手を抜いていく。そして楽ができるたびにアタシ達が口を酸っぱくして注意した事を嘲笑うんだ」と説明をした。


雨空晴の顔を見て、部長は「だな。そればかりは性格の問題だから、事前注意も意味をなさない。簡単な例えなら赤信号を守って帰れって言って、さっさと帰りたいアイツは10個ある信号をひとつ無視して「なんだ平気じゃないか」って言う、2つ、3つと続けた結果、いつかは事故に遭う」と言った。


わかりやすい例えで想像ができた山田は、「えぇ…」と言ってから雨空晴を見たが、雨空晴は「アタシが今出て行ったら教育面でも仕事面でも悪化するって」と言ってお手上げポーズを取った。



・・・



田村大地がミスを犯して、取り返しがつかない騒ぎになったのは翌々週の月曜日の事だった。


月曜日朝一番に納品された名刺で、顧客からクレームが入った。

相手は綿堂商事、自社の担当者は山田、相手の担当者は雨空晴も相手をした事のある入谷だった。


今回のミスは新たに用意した事業所に異動になった15人の名刺で、人名ミスと住所ミスがあった。


山田は月曜日朝一番からの事件に倒れそうな顔をしていて、校正の秋田は自分の仕事に落ち度があった事に愕然としている。


この状況にも関わらず、午前中は事務員ですという顔でデザインの席に行かずに事務席に来て、事務部長と先輩の野田達をドン引きさせる田村大地。

バツの悪そうな顔は、逃げることしか考えておらず、責任の所在を曖昧にしようとしている事は誰にもわかった。


デザイン部長はまさかここ1番でやるなんてと肩を落とし、怒りを抑えて言葉を選びながら田村大地を呼びに事務側の席に向かうが、それを追い越したのは雨空晴だった。


「テメェ!お前のミスだろ!1番にこっちに来て皆に謝って!ミスの原因を見つけるのが当然のことだろうが!」


そう怒鳴りつけると、「午前中は事務員です」と返す田村大地。


「馬鹿野郎!」と言って胸ぐらを掴んで殴り飛ばした雨空晴は、「お前のミスでどれだけの損失が出るのかわかるのか!?」と声を荒げる。


田村大地は殴られた頬をおさえながら立ち上がって、「名刺の刷り直し、1人1,500円で請求してますから、それが15人で22,500円ですよ」とバカにした顔で言い返してきた。

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