↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
838/848

第13話「夢で見せよう」

いろいろな案件があって、熱い議論が交わされたが……

どうにか、参加者総勢19名の村営会議が終わった……


今夜、嫁ズ以外のアンリ達6名に見せる夢は、

先日レイモン様、オベール様夫妻に見せたのとほぼ同じ夢である。


会議を行った学校から出ると、夕日が射していた。


朝から始めてもう、こんな時間になっていたんだ……


魔導時計を見れば、夕方の午後4時過ぎ……

俺達が外に出たら、農作業から帰る村民達がたくさん居る。


嫁ズ、そしてアンリ夫妻、デュプレ3兄弟は自宅に帰るが、

俺にはまだ仕事が残っている。


そう、今回の公衆浴場建設における『キーマン』に会い、話をするのだ。


「俺、テランスさんに会って、今回の事、話してくるよ。終わったら帰宅するから」


「旦那様、私達も行きましょうか?」


と、リゼットを始めとして全員から「同行する」と言われたが……

まずは大人数で押しかけるよりも、俺ひとりで行った方が良い!

と内なる声――管理神様じゃなく、ただの勘なんだけど。


一応、心の中ではっきり聞こえたし、俺の勘は良く当たる。

なので、『単独行』とした。


という事で、俺は先日王都から移住して来たテランス・バイエさんの自宅へ赴いた。


レイモン様との会話で、話に出た風呂職人とは俺がこれから会う彼。

……テランス・バイエさん。

王都生まれの独身男子で、35歳。


精魂込めて造った浴場が、運営する商会の方針で、

本来の入浴以外の目的――賭博、売春の場に用いられている事から……

職人仲間とともに強く抗議をした。


だが、浴場を運営する商会から冷たく拒絶された上、

『解雇』&『商会と浴場への出入り禁止』を言い渡された。

それで大いに嫌気がさして、故郷の王都から、ボヌール村へ移住したのだ。


そもそも、移住のきっかけは、テランスさんから来た一通の手紙である。

彼は『経緯』を、手紙に書いて送って来た。


そして生きがいがなくなった王都から、思い切り南のボヌール村へ移住し、

「いっそ人生をやり直したい」と伝えて来たのである。


以前にどこかで話したかもしれないが……

俺が村長をしていた時、オベール様、元村長のリゼット父ジョエルさんと相談し、

村民募集、移住者歓迎のポスターを貼った。

但し、どこもかしこも貼るとまずい。

なので、限られた場所へ掲出した。


その中のひとつが、嫁のひとりアマンダが経営している白鳥亭である。


元は宿屋であったが、現在は雇用したスタッフに運営を任せ、

ハーブレストランになっており……

アマンダ直伝、評判のハーブ料理を食べに行った事のあるテランスさんが、

掲出された張り紙をたまたま見て、

『移住者募集の内容』をしっかり憶えていたという次第。


手紙を貰った俺は、転移魔法で「しれっ」と王都へ行き、

彼を『別宅』へ呼び出し、リゼットと一緒に『面接』をした。


ボヌール村へ移住しても、本職の風呂職人オンリーでは生活していけない。

そう言ったら、

テランスさんは、「農民をやります」ときっぱり言った上で、

『個人と家族用の小規模な風呂』を造る依頼があったら請け負う事に決めた」とも話してくれたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


テランスさんの自宅へ着くと、彼は、農作業で汚れた身体を井戸水で洗っていた。


「これはケン様。ようこそ……」


彼の表情に疲れが見える。

まだ農作業には慣れないようだ。


「お疲れ様。今日は貴方へ相談があってやって来ました」


「相談? 何でしょう? この村では役立たずの俺なんかに?」


あ~あ。

だいぶモチベーションが下がっている。

無理もない。

公衆浴場造りは、テランスさんのライフワークだったから。


で、あればと……

俺は、テランスさんがボヌール村へ来た時から、

彼が人生のリスタートを切る事を考えていて……

今回の敷地拡大の際、他の懸案事項とともに、一気に解決しようと思ったのである。


俺は、テランスさんと『ざっくばらん』に話した。

大人同士……男子同士の話もした。

嫁ズが居ると絶対に出来ないような話も含め。

……俺の『単独行』の判断は、やはり正解だったのだ。


そんなこんなで、頃合いと見て、俺は『本題』を切り出す。


「テランスさん」


「はあ……」


「このボヌール村、そしてエモシオンに貴方の腕を活かして、公衆浴場を造ってみませんか?」


「え?」


「オベール様とは、ちゃんと話がついています」


「……いや、ありがたいお話ですが……やめときますわ」


「どうして?」


「……造っても、どうせ、王都の公衆浴場と同じになりますよ。このボヌール村は賭博、エモシオンは売春と賭博の場となりますって……」


「いや、それはない。俺が絶対にそんな事はさせませんよ」


「どうしてです? 事情を話したケン様にだから言いますが、俺は王都や他の町で、嫌っていうほど見て来ました。単に公衆浴場を運営しても、けして儲からない。ご領主様が少しでも欲を出せば、すぐに本来の公衆浴場ではなくなりますよ」


俺が否定しても納得せず、

醒めた口調で淡々と語るテランスさんの話は真実であり、現実だ。


だからこそ!

俺はこの世界に『銭湯』を造りたい。

前世で体験した温かい団らんを、俺の家族に! 仲間に! 味合わせてやりたいんだ。


このような場合は、口でいくら説明しても理解が及ばない。

実際に見て貰った方が良い。

まさに、論より証拠。


「テランスさんは、俺が魔法使いだって知っていますよね?」


「はあ、そうですね。面接の時にお聞きしました」


「ならば、俺が魔法を使い、テランスさんに、今までと全く違う公衆浴場を、夢で見せてあげましょう」


「は? 今までと全く違う公衆浴場を夢で見せる? 全く意味が分からないんですけど……」


「ははは、まあ、良いじゃないですか。秘密を守れますか? 創世神様に誓って!」


「は、はあ……そこまで言われたら、誓いましょう。……創世神様の御名に誓い、私テランス・バイエは、必ず秘密を守ります。絶対に他言しません!」


「よし! 本当に約束ですよ。しゃべったらペナルティを課しますから」


「は、はい……分かりました。どんな罰でも受けますよ。……前村長でオベール男爵様の宰相を務めるケン様には逆らえませんね」


「宜しい!……じゃあ、テランスさん、今夜、俺と夢の中で会いましょう。論より証拠ですから。ウチの嫁ズも、そして超豪華な特別ゲストも来ますよ」


「?????」


?マークを飛ばし、首を傾げて戸惑うテランスさんへ、俺は柔らかく微笑んだのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版第8巻が2/19に発売されました!《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス)

既刊第1巻~7巻大好評発売中!

第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス)

☆最新刊第5巻が4/27に発売されました! 

コミカライズ版の一応の完結巻となります。

何卒宜しくお願い致します。


既刊第1巻~4巻大好評発売中!

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。

今後とも宜しくお願い致します。


また「Gファンタジー」公式HP内には特設サイトもあります。

コミカライズ版第1話の試し読みも出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版が好評連載中です。

毎週月曜日更新予定です。

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、他作品のご紹介を。

新連載『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!』


※旧作品の大幅リニューアル版です。


連載中である、

⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』


も何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。