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ピッツァに嘘はない!  作者: 櫛田こころ
第二章 交差する会合
58/103

ピッツァはジャンクフード-①

久々の更新お待たせしました〜〜

 







 ♦︎






「ふんふんふん、ふふんふーん!」


 1人で出来なくない作業も3人いると捗るよねー。

 食堂に皆さんが揃ったって報せがきてから、僕らはとにかくファルミアさんが決めた分担通りに動いているよー?


「カティ、こっちももうすぐで焼けそうだわ」

「はーい」


 台に乗って確認すれば、たしかにいい具合に焼けていた。

 ピールでくるっと回してから取り出して、お皿に乗せればフィーさんが順にカットしてくれます。そして、ファルミアさんがトッピングしてくれた生地を3枚順番に石釜に入れて、焼いてる間に僕はゆっくり丁寧に生地を伸ばす。

 今日は人数が多いから、ある程度焼いていく次第となったのですよ。


「うん。このラミートン(サラミ)のでひと段落としましょうか。せっかくの焼き立てを結界で保温していてもね?」

「はーい」

「いいよー」

「ふゅゆ!」


 サラミピッツァは、見た目僕とファルミアさんにはお馴染みの『冷凍ピザ』や『ミックスピザ』のような感じになっていた。

 ピーマンとサラミとスライスした玉ねぎって組み合わせだけでも実に美味しそう。焼き上がりが非常に楽しみ‼︎


「うぅ……まかないで回していただけるだけありがたく思わないと!」

「新作ピッツァが色々あるんだよね? ダメ、よだれ止まらない……」

「俺も……」

「私も……っ」

「ノットの新しい調理法やパルフェをカッツ風にとか、本当に妃殿下もだけどカティアちゃんの経験してきたとこ知りたい……っ‼︎」


 コックさん達の羨む視線がビシバシ飛んで来るけど、話せれるものじゃないもの? だって、ここもだけどあっちも異世界だからさ?

 ちなみにまかない用は既に焼いて、ライガーさんが保温の結界を張っておいてくれてます。


「最後の出来ましたー」


 と、視線をスルーしている間に焼き上がり完了。

 素早く取り出しますよ?

 フィーさんのカットもすぱぱっと進んでいき、準備が出来たら台車に乗せて1人一台担当します。

 給仕さん達には飲み物やお皿とかをお願いしてるよ?


「ふゅ、ふゅゆ!」

「もうちょっと待ってねー?」

「ふゅ!」


 僕の頭に乗りながらも、クラウは早く食べたいばかりに体を揺らしている。落ちないのが不思議。


「待たせたわね。私達渾身の作よ!」


 最初に入って行かれたファルミアさんがそう言うと、待ちに待ってたらしい皆さんが声を上げてた。


「「待ってました‼︎」」


 国王お2人がまずそう言っていたよ。

 息ぴったり過ぎますね。そんなに楽しみにされてたなんて照れますよ。


「え、ってあれ? そんなにも薄いものなんだ?」


 初めて目にするユティリウスさんはワゴンの上を見て瞬きされたよ。


「けど、美味いぞ?」

「それは疑ってないけどさ?」

「リース、どんなのを想像したの?」

「んー? 例えばパイ包み焼きみたいな感じかな?」


 なるほど、ああ言う器を使った……ん? なーんか頭に引っかかったぞ?

 だけど、すぐには思い出せないのでフィーさんと一緒にテーブルにピッツァの大皿を置いていく。


「こりゃ、上の薄黄色いもんはなんだ? いい匂いはするが」


 サイノスさんの前にはマルゲリータ。

 チーズが程よく乗ってるから一番目立つんだろうね。

 説明をするにも僕達が座ってからがいいだろうとフィーさんが言うのでセッティングを終えてから席についた。


「ああ、念願のピザがこんなにもあるなんて圧巻だわ!」

「パーティ並みに作りましたからね」


 生地はまだ残ってるし、それは保存の魔術で発酵を進めないようにさせてるよ。


「しかも焼き立てじゃねぇか。説明さっさとして早く食わせろよ」

「エディお兄様、今日はヴァスシードの皆様の為なのですから」

「へいへい」


 じゃあ、ちゃっちゃとしちゃいますか?


「ピッツアは薄いパン生地のようなものにマトゥラーのソースなんかを塗って、野菜やお肉を乗せて更にカッツを削ったものを乗せてから石窯で焼くとこうなるんです」

「カティ、これ緑だけど……?」

「ユティリウスさん達の前にあるのはヘルネ(ハーブ)を使ったジェノベーゼってソースです。オラドネ(ニンニク)やナルツ(ナッツ)なんかも入れて砕いたんですが、男性は好きな人が多いソースですよ」

「ほう、男向けか? こっちの下が白いのは?」

「それは私が作った照り焼きチキンに合わせてオーラルソースよ」

『テリヤキチキン⁉︎』


 ガタッと四凶(しきょう)の皆さんが椅子を揺らして立ち上がった。

 一体何事?


「久しく口にしてなかった……」

「まさかこのような形で食せるとは……」

「そう言えば朝餉でもカティアが申していたな?」

「誠に作ってくれるとは……」


 獣'sの視線が一斉に僕に集まったよ。

 び、美形ホスト集団の熱い視線は超困った。思わずセヴィルさんの服に縋り付きそうになったけど我慢。


『感謝する‼︎』

「ぴょ⁉︎」


 これまた一斉にお辞儀されちゃったからびっくりしたよ。


「うふふ。ごめんなさい。リースもだけど、四凶達は特に照り焼きチキンに目がないのよ」

「はぁ……」


 でも、そっちは僕トッピングのやり方お伝えした以外ファルミアさん作なんだけどな?

 まあ、お礼いただけて悪い気はしないから素直に受け取っておこ。


「ナイフやフォークは置いてあるけど、これって素手で食べるの?」

「ええ、そうよ。素手がジャンクフードの醍醐味だもの」

「「「「ジャンクフード?」」」」


 聞き慣れない単語と言うか初耳らしかったようで、獣's以外の皆さんは首を傾げられたよ。

 ただ、例外が1人。


「ああ。蒼の兄様が言ってた屋台もだけど、手軽に食べられるサンドイッチみたいなのだったよね?」


 もち、フィーさん。

 うむ。あながち間違っていないかな?

 主にジャンクフードってハンバーガーだったり、高塩分、高脂質ととにかく野菜が入ってないことをいうんらしいけど、ピッツァは野菜は多く入っててもとにかくカロリーが半端ない。

 なので、別口でさっぱりオリーブオイルドレッシング仕立てのハーブサラダは用意したよ。

 シーザーサラダのが多いだろうけど、全体的に味濃いから今回は箸休め的なのにしました。


「じゃ、説明はそんなもんでいいだろ。食おうぜ!」


 もう待ちきれないとエディオスさんが言うので、皆さんでいただきますをします。

 クラウのお手手ちょんとして真似する光景は実にかわゆい。


「これって、切れ目があるとこから切り離せばいいの?」

「ええ。片手でもいいけど、内側にいくほど生地が薄いからカッツが垂れるのは注意してね?」

「じゃ、せっかくだしミーアお手製のテリヤキチキンから」


 ユティリウスさんはどれにしようか悩んでらしたけど、まずは奥さんお手製のにされたみたい。

 ただ、チーズもとい、カッツを焼き上げたりするのはほとんど見たことがないらしくおそるおそる手にしてたけどね。


「いただきまーす。…………んん⁉︎」


 大胆に3分の1ほど頬張られて数秒。

 僕は自分のはまだ食べずに様子見。

 だって、今日はユティリウスさんのお願い?から作ることになったからね。気になるもの。

 けれど、不安は杞憂に終わり、ユティリウスさんは二口三口とばくばく食べ進めていった。


「美味し過ぎる‼︎」

「お粗末様です」


 口の横にちょこっとマヨネーズついてるのはチャームポイントになってるけど、僕は嬉しかったよ。

 美味しいと言ってもらえたなら作った甲斐あったもの。


「カッツを焼くなんて発想、ミーアがカッツクリームのケーキ作ってくれることくらいだったから驚いたよ!」


 それからの勢いが物凄かった。

 全種類一枚ずつをがぶがぶと頬張っていきます。

 あの、そんな焦らなくてもと僕はクラウに食べさせることも忘れるくらい目が点になってた。

 だって、ユティリウスさんの勢いもだけど四凶さん達の勢いも凄かったもの!


「このヘルネのソースも美味い」

「マトゥラーのもカッツとよく合う」

「薄いからいくらでも食べれるな」

「うむ」

「ふゅ、ふゅゆゆ⁉︎」


 僕があっけらかんになってたらクラウの鳴き声が。どことなく哀しそうな?


「あ、ごめん! クラウの分……おう」


 あっと言う間に10数枚くらい用意してたピッツァが1ピース残されたらいい方な状態に。

 僕も食べてないでふ。


「こら、四凶達もだけどリースも食べ過ぎよ⁉︎ カティとクラウの分全然ないじゃない!」

『うぐっ』


 ヴァスシードサイドがようやく止まりました。

 そして、ファルミアさんの怒号に肩をすくませちゃったよ。


「まあ、カティアはこいつらの爆食い見んの初めてだったからな?」

「残りはお取りしますわ。サイ兄様、そちらのもよろしくて?」

「ああ、いいぞ。しっかし、こりゃ本当に美味いな? 俺も手が止まらなくなりそうだったぜ」


 サイノスさんも気に入ってくださったみたい。

 それは良かった良かった。

 と、僕とクラウの前には数枚だけどピッツァの盛り合わせが届いたよ。


「ふゅゆぅーー‼︎」


 一斉に自分の前に集まったピッツァにクラウの水色オパールのお目々が輝いたと確信。

 薄金の羽根もピコピコと言うかバタバタってなってるもの。

 けど、大きいままじゃ持てないからマルゲリータから順にナイフで切り分けてあげたよ。


「はい、どーぞ。僕は後で焼く方の食べるから好きなだけお食べ?」

「ふゅぅ?」


 すると、クラウは何故か首を傾げた。

 僕をジーっと見つめてきてから、くいくいと袖を掴んだ。


「……カティアも一緒に食して欲しいのではないか?」


 セヴィルさんがそう言ってきて、そうなの?とクラウに問いかければコクコクと頷いた。


「……じゃあ、僕も食べるね?」

「ふゅゆ!」


 どれにしようかなーと選んでいれば、サラミピッツアがあったので、それをクラウと半分こしてから頬張りました。


「このラミートン美味しいです‼︎」


 何でしょう、絶妙な塩加減と香辛料の調合具合と言いますか。

 皮くらいの薄さしかないけど、トマトソースと抜群に合ってピーマンと玉ねぎの薄切りを追い出さない旨さ。ぱくぱくって食べきってしまい、物足りなくなったけどサラミピッツァはもうない。


「2回目はこれ多めに作りたいです! 燻製肉オンパレードとかで」

「待って、カティ。それならカッツクリームも乗せてしまいましょうよ」

「ナイスです‼︎ あしらいにジェノベーゼ回すのもいいかもです」


 店じゃやれないけど、お家やデリバリーのトッピングだと何でもし放題に出来るからね。


「ラミートンは美味かったが、そんな興奮するもんか?」

「ルーストしかないと思ってたんで、僕やファルミアさんとしてはラミートンのが馴染み深いんですよ」


 ハーブサラダも頬張りながら僕はエディオスさんの問いに答えた。


「ふゅ、ふゅぅふゅぅ!」


 クラウもサラダを間に挟みながら、口端にトマトソースやマヨネーズをつけちゃってるけど、どんどんお腹に入れていく。昨日のミニマムパンツェロッティの勢いに負けないくらい食べ進めちゃってるよ。

次回も実食シーンが続きます。

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