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小さな村のケーキ屋さん  作者: 玲燐
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第一話 

私、23歳の雨宮あまみや 劉華りゅうかはトリップしてしまいました。


なんてありきたりな展開でしょうね。

あ、ちなみに此方では名前はカタカナが主流で、漢字は偉い人たち?の伏せ名として使われるそうです。

なので今はリューカと呼ばれております。

割と気に入っているんですよね。


私はいつのまにか、今いる村の広場に寝てたんだそうです。

その時の記憶は無いのですが、拾ってくれたおじいさんが言ってました。

つまり、私にはトリップした時の記憶が無いのです。

穴に落ちたとか魔方陣が浮かんだとかあったのならぜひ見てみたかったものです。

普通に家で寝ていて、気づいたらここにいたのだから正直最初はトリップした実感はわきませんでした。

私が落ちていた村は、フェーカ村という村です。

実はこの世界は、地球と同じ形の陸地なんですよ。

なので地図を見せてもらっても、最初は違う世界なんて信じられませんでした。

でも、地名がまったく違うんです。

私がいた場所は、地球の私の家のベットがあった場所みたいでした。

日本でいう、青森県の端のほうです。

こちらではフェーカ村という、小さな村があります。


私を拾ってくれたのはこの村の村長さんでした。

字は読めませんでしたが言葉は通じたので、なんとか私はこの村に住めるようになりました。

この世界?もしかしたら国単位で違うのかもしれませんが、の字はアルファベットが象形文字になった感じです。

そこで私、日本で営んでいたケーキ屋をこちらの世界で始めることにしました。





第一章 小さな村のケーキ屋さん





私は、結婚のため引越して空き家となっていた、とある家でケーキ屋を始めました。


この世界、見た目と名前は違えど味は日本と一緒の食材が多いんですよ。

主食はお米ではなくてパンですけど。

一応、細々とお米もあるらしいです。

名前は米じゃないので、あくまでらしい、ですけど。

めったに手に入らない貴重品で食べられるのは国の偉い人たちだけだとか。

この世界に来て、一週間。

食べられ無いと思うほど、食べたくなるのが人情。

かなりお米が恋しいです。


さて、話はそれてしまいました。

私は味の同じ食材を探してケーキを作り始めました。

といっても小さな村なので、ケーキというよりお菓子を作るほうが多いのですが。

この世界の一般の人には『お菓子』をいう感覚が余り無いみたいです。

小腹がすいたら、パンをつまむ。

これにはジャムをつけたりするそうです。

果物も普通に売っています。

でも、野菜などと一緒に料理されてご飯として主に出されるそうです。

パンがあるのになんで焼き菓子すらないんでしょうね。

まぁ、偉い人とかは食べているのかも知れませんが。

お菓子、という単語もないそうなのではっきりとは分かりません。

なので、簡単なフルーツタルトを作ったときはかなり驚かれました。

そのの驚きようには見ていたこちらが驚いたほどです。


『お菓子』という新しいものへの好奇心からかお店はそれなりに繁盛しております。

といってもはじめたのは3日前なのですけど。

いやはや、一週間足らずでこの世界に適応してしまう自分の適応力には、我ながら驚きます。

前の世界にいた頃からの口癖は『めんどくさい』。

帰れないのなら、帰る方法を考える何で無駄なことしたりしません。

それよりどうやって生活をする考えるほうが後々めんどくさくなくなって有意義です。


というわけで開いたこのお店。

開店4日目にして最大のピンチを迎えております。


なんと、いかにも怪しげな黒尽くめの男がケーキを物色しているのです。


この村は小さく、位置的なこともあってほとんど余所から人が来ません。

村の人口は200人くらいです。

ですが、お店はかなり種類豊富で無くて困る、ということはほとんどありません。

なんで小さな村なのに食材とかいろいろ豊富なのか、というのが一番の疑問だったりします。

村の人とは話したことは余り無くても、全員顔見知りです。

ですが、今店にいる人は見たことがありません。


ものすごい、美形です。

背筋が凍るほど、美形です。

遠くから見ているぶんにはいいけど、絶対に関わりたくない、美形です。


私は美形が嫌いです。

なぜなら、それは私の地球での生活環境にあります。

私の地球での家族、一族は皆美形なのです。

兄弟も両親も従兄弟も祖父祖母も叔母叔父も。

そのなかで私だけが平凡なのです。

家族で歩いていても、私だけ全然似てなくて、拾われた子みたいなんです。

一族が集まると、私だけものすごく浮くのです。

皆いい人なのです。

私のために、どうやったら綺麗に見えるかなどの方法を教えてくれるのです。

でも、どんなにうまく化粧しても所詮私は平凡顔。

この居た堪れなさが分かりますか!


ごほん!

ま、そういうわけで私は美形が嫌いです。

でも、どうしたらいいのでしょうか?

はっきりいって怖いです。

美形なうえに無表情なんですもん、この人。

さっさと何か買って、買わなくてもいいから出てって欲しいです。

はぁ……どうしよ……。



「これを、くれ」



急に声をかけられて肩をビクッと震わした私。

カウンターにはクッキーの詰まった袋。

目の前にはさっきの美形。

どうやら私がいろいろ考えてるうちに、買うものを決定したようです。



「120ルナになります」


この国?のお金の単位。

1ルナで1円。

日本と同じように種類が分かれている硬貨です。

といってもこれは私のいる日本大陸?の形をした国の中だけの単位ですけどね。

無言で差し出されたお金を受け取り、素早く商品を袋に入れて渡します。



「またのご来店、お待ちしております」



ぴったりお金を払って出ていった美形。

なんだったんだろう?

なんか無駄に緊張した。

はぁ……。

よし、今日は早めに店じまいしてさっさと寝よう。


そう決意して、私はいつもよりちょっと早めに店を閉めた。









初めての投稿になります。


誤字脱字の訂正、アドバイスなど大歓迎です♪


感想など送ってくれたら踊ってよろこびます!!

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