4話(夏祭り終盤2) 浴衣に着替えても、嘘は消えない
閲覧ありがとうございます!
夏祭り編は今回にておしまいです
よろしくお願いいたします
メリアさんがずっと気になっていたものとは…。
「!?噂以上に美味しいじゃない!」
フルーツ飴というものだった。フルーツ飴ってテレビで
取り上げられているとこしか見たことがなくて…。
お祭りにもあるんだ、フルーツ飴って。
パリッパリッ!と音を立てながら私たちは
フルーツ飴を食べていく。
「涼音!これも食べてみなさいよ!
めちゃくちゃ美味しいわよ!!」
「!!ほんとだ、すごくおいしいね!」
「こんな食感の食べ物は初めてだよ〜!」
私、メリアさんと白くんはこの時には様々なフルーツ飴を
食べていたのだが、アルフさんだけ
まだどのフルーツ飴にしようか、悩んでいる最中だった。
夏祭りには見合わない、真剣な瞳で
フルーツ飴に目線を落としていた。
私はメリアさんと白くんを置いて、アルフさんの傍に行った。
「ねぇ、どれにしようか迷っているの?」
「あぁ。どれも美味そうだが、…りんごはないのだろうか。」
迷っているのではなく、りんごを探していたんだ。
パッと見だと…。いちご飴、みかん飴、ぶどう飴…など
きっと最近流行りのフルーツばかり目に行ってしまうが、
遠くに目をやると、りんご飴が置いてあった。
りんご飴のブームって、過ぎちゃったのかな……。
「…!アルフさん、見て見て!あそこにりんごがあるよ!
でっかいのと小さいのがあるよ、どっちにする?」
「!!本当だ、ならば大きい方をいただくとするか。」
屋台で人間からりんご飴を買ったアルフさん。
買った瞬間にすぐに1口、
りんご飴食べてみたアルフさんだが…。
「…美味い。」
バリッバリッ…とアルフさんは夢中にりんご飴に食らいつく。
アルフさんの表情は少し頬が緩んでいた。
あまり見かけない、つまりレアな表情だ。
この後すぐメリアさん、白くんと合流した。
白くんはいつも通りご機嫌だったが、
メリアさんには、「遅いわ!」と少し怒られてしまった。
申し訳ないけど、こんな関係が楽しく感じてしまう。
色んなものを食べて、色んなもので遊んで……。
「えー!お肉(人肉)ないの!?つまんないの〜!!
…君、美味しそうだね、食べてもいい〜?」
「ひっ…あの、わたし…まだ生きたいです……。」
人喰いで有名なゆかこさんに絡まれてる…いや、
命を狙われているのはまさかの千春さんだった。
アルフさんが上手いことゆかこさんを追い払ってくれた。
「怖かったです〜!」といつもの笑顔で言っている
千春さんだったが、あの時の千春さんは酷く怯えていた。
他の住民も夏祭りに訪れていた。そこでとある住民に出会う。
「!!アルフだ〜!」
その声は、フォリエルちゃんという住民だった。
アルフさんと仲のいい女の子だ。
フォリエルちゃんは他の住民たちと遊びに来ていた。
フォリエルちゃんに限らず、みんな浴衣姿だった。
フォリエルちゃんの浴衣は
アルフさんが選んだんだろうなぁ…。
「フォリエルじゃないか、大丈夫か?暑くないか?」
「わたしは平気だよ〜!…あれ、取ってくれた?」
あれ…?あれってなんだろう…。
フォリエルちゃんはアルフさんに小声で話しかけていた。
「…バッチリだ。」
アルフさんはさっきからずっと持っていた、
でかいうさぎのぬいぐるみを背中から
フォリエルちゃんに見せる。ちらっ…と。
ちなみにこのぬいぐるみは先程アルフさんが
射的で一発で取ったもの。
フォリエルちゃんはぱぁぁぁ!と
いつも以上に顔が明るくなった。
「わぁ!嬉しいなぁ、ありがとう!アルフ大好き!!」
フォリエルちゃんはアルフさんに抱きつく。
…満更でもなさそうだな、アルフさん…。
今日はアルフさんの表情が柔らかくて嬉しいなぁ。
メリアさんもご機嫌だし。
「フォリエルちゃん!よかったですね!」
「ぬいぐるみあったら、いい夢が見れそうだね!」
フォリエルちゃんと一緒に夏祭りを回っていたのは
天界に住む、天使の住民のテイアイエルちゃんと、
幻夢の街に住む、ユニコーンの住民のむゆうちゃん。
2人ともかわいい浴衣を着ていた。
私たちはそこそこに会話を交わし、
フォリエルちゃんとはここでお別れした。
「そういえば、アルフさんはフォリエルちゃんと
夏祭りに来なくてよかったの?」
「あいつも年頃だからな、誘ったのだが、
他の奴らと行くと言われてしまった。」
アルフさんはどこか嬉しそうな表情をしていた。
まるでフォリエルちゃんのお父さんみたいだなぁ…って。
…私もこんな感じの優しいお父さんが、良かったなぁ…。
「2人はマチスさんやえまになんて言って夏祭りに来たの?」
私はメリアさんと白くんに話題を振る。
「普通に夏祭りに行くって言って、夏祭りに来たわよ。
お土産話聞かせて、って言われたわ。」
「ボクも夏祭りに行くってえまに言ったよ!
行ってらっしゃいって見送ってくれたよ、
誘ったんだけど、断られちゃってね〜…。」
メリアさんは淡々とそう言った。さすがマチスさん、
余裕がありまくりだな……。
それにしても、えまが来なかったのは少し寂しいなぁ…。
白くんも耳を倒して悲しそうだった。
白くんは私に話題を振ってきた。
「青葉くんはどうしたの?」
「実は、夏祭りの手伝いがあるって言って来ちゃったの。」
私はちょっとぎこちなく、そう言った。
そうすると白くんが心配してくれた。
「えぇ!?大丈夫なの?ひとりで寂しくないかなぁ…?」
「まぁ、あいつ、涼音に執着しているからなぁ…。」
「そうなの、最近なんだかしんどくって…。」
「…そうだな。」
「縛られるのって嫌よね。」
アルフさんに続き、メリアさんも共感してくれた。
それからまた少し食べて遊んでいたら、
すっかり夜遅くなっていた。
アルフさんとメリアさんとお別れ会して
白くんと一緒に住んでいる団地へと帰っていた。
アルフさんは暗い森に、メリアさんはジャングルに
住んでいるから別方向なんだよね。
「涼音ちゃん!今日はすごく楽しかったね!
誘ってくれてありがとう!」
「私こそ楽しかったよ、ありがとう。」
二人で楽しく会話しながら団地を目指していたの、だが……。
白くんの一言で雰囲気は一気に変わってしまった。
「そういえばね、えまが涼音ちゃんと
もっと一緒にいたいんだって!
前世みたいに?だったかな…。」
「え…?」
「えまって、毎日日記を書いているんだけどね、
そこに毎日涼音ちゃんのことを書いてるんだよね、
きっとえまは涼音ちゃんのこと大好きなんだよ!
よかったらこれからも仲良くしてあげてね。」
「う、うん!教えてくれてありがとうね。」
そこで白くんとはお別れして、
私の住んでる横の部屋へと入っていった。
「ただいまー!」という白くんの声は
扉が閉まるとパタリと止んでしまった。
えま…そんなこと思ってたんだ。
確かに最近あまり遊ばないかも。
今度一緒に遊んでもらおうかな、と思い、
魔法でいつもの衣装に着替えてから
ドアに手をかけた瞬間だった。
「おかえり、随分楽しそうだったね。」
「えっ、あ、ただいま…。」
ドアを開いた先にすぐ青葉が腕組をして待っていた。
お、怒っている…。とりあえず謝らないと…。
「予想以上に遅くなっちゃった…ごめんね。」
「手伝いなんかしてないじゃん、
アイツらと楽しそうに遊んでいたじゃん!」
青葉の口は止まらなかった。
「その上さ!ぼくが嫌だとかみんなで悪口言ってさ!
ぼくは姉さんのためを思ってやってるのに!!」
「まって、私の跡をついてきてたの…?」
「言ったよねぼく、姉さんのとこ行くって!
そしたらあれはなんなの!」
青葉のヒステリックな言葉は止まらない。
何とか、しないと……。
「ご、ごめんね!焼きそば買ってきたら良かったら…。」
「いらないよそんなもの!食べ物で機嫌取ろうとしないで!」
「じゃあどうしたらいいの…?もしかして、
青葉を夏祭りに誘わなかったのを怒ってるの?
ごめんね、連れていったら
逆にしんどくなるかなって思って…。」
「そんなんじゃない!
ぼくは姉さんと2人で行きたかったのに
姉さんはアイツら…特にアルフさんと行って…。」
青葉は泣き始めてしまった。私は必死に宥めるために
青葉のことを抱きしめる。
「ごめんね…謝ることしか出来なくて…。」
「うん、いいの…。これからぼくには何も隠さないで…。」
この後、青葉と一緒にお風呂に入り、一緒に眠りについた。
いつものこと、寝る前のぎゅーとちゅーだって…。
私は傷ついた青葉を抱きしめ、
頭を撫でることでしか癒すことは出来なかった……。
(…やっぱり、姉さんはちょろいなぁ…。)
青葉は寝る頃には少しだけ表情が柔らかくなっていた。
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