女神様の宝石箱45
帰りの馬車で今日の編入の話し合いの結果を聞いていた。
「では、エイミーは 編入試験を受けて合格すれば私と同じクラスに入れますのね」
私は兄のエリックに確認するよう尋ねる。
「途中編入なだけあり、試験は一通りの科目をこなす必要がある為に数日かかるそうだ。本来の貴族は講師の先生から推薦状を貰い、進級や入学の時期に学園へ入るから試験の必要もないのだが、エイミーは講師がいないからね」
そう言ってエリックは深い溜め息を吐いた。
「今回は入学生が多かった為に学園側も途中編入を渋ってね。殿下の力を借りてしまったよ」
とても嫌そうに溜め息を吐く兄。
あれ?
確か、取り巻きで親友ですよね?
「まぁ、そのお陰でノア王子に灸をすえる事が出来たけどね」
えぇ、そうですね。
あれは絶妙なタイミングだったわ。
「本来なら他の貴族の手本になるべき王族の、それも第二王子があれではこの国の将来も見えた物だな」
アルは辛辣にそう言うとエイミーが訂正して来る。
「エドワード様はそんな方ではありません」
「「「えっ」」」
三人は一斉にエイミーを見た。
「まさか、エイミー。殿下に好意を持っている訳ではないだろうな?」
そんなエイミーにエリックが噛み付く。
物凄い圧力を感じるんですけど……。
「そんな。滅相もございません。ただ、ノア様を基準に王家を見ないで頂きたいのです」
エイミーは物凄く力説しながらエリックを見た。
私とアルがドン引きしている脇でエリックがエイミーに質問攻めをする。
「エドは身分は良いからね」
確かに王太子ですからね。
「身分は関係ありません」
まぁ、好きなら身分関係ないかな。
「見初められたら最高の玉の輿だろう?」
まぁ、王太子妃ですからね。
この国のトップテン入りはしますね。
「別に玉の輿なんて狙っていません」
そうだね。
玉の輿の為に好きでもない人となんて……いや、想像したくないよ。
「顔もスタイルも良いからね」
そりゃあ、天下の王太子ですから容姿も上々でしょう。
「それは否定しません」
あ……否定しないんだ。
「案外エイミーの好みだったりして」
何言ってますかね。
お兄様。
「まさか。私は姉と男性を取り合ったりしないし、それにどちらかと言うとエリック様の方が……」
?
エイミーは口を手で覆い目を見開いている。
「あ……。う……そ……です」
エイミーはそう言うと窓の方へと視線を反らした。
「エイミー」
エリックは私達を完全に無視してエイミーを抱き寄せる。
これって……。
どうやら兄にも春が来たようだ。
お読み頂きありがとうございます。
また読んで頂けたら幸いです。




