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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第80話 ガイアの落雷 01

「ドワーリアの女王陛下! 本当に?」


 びっくりしているノアの横で、小物入れの存在を知らされていなかったミラ王女がノアを睨みつけてゲンコツを握っている。


「いや、違うんですよ! ミラ王女! そんなに貴重なものとは……いや、木製だから貴重なんですけど……重要な人が作ったものとは思っていなくてすみま――」


 ゴン! ゴン! ゴン!


「連帯責任よ!」


 ヘンリーとティアも王女の鉄拳を浴びるハメに。


「ちょっと! お兄ちゃんがちゃんと報告しないから私までゲンコツくらったじゃない! いい加減にしてよ!」


「は、初めてミラ王女に殴られた……う、嬉しい……」


「お、おい。ヘンリー大丈夫か? ちょっと危ない方向に行きそうで怖いぞ」


 ロイの言葉で我に戻るヘンリー。


 そして妹に謝る情けないリーダーを観て再び大笑いで盛り上がる謁見の間。



「ノアよ。引き続き、皆をよろしく頼むぞ。そして次回の報告を楽しみに待っておる」


「はい! お任せください!」



 スクリーンが消えて、マリーボイドの風景に戻る。顔を見てすぐにわかる。皆精神的にリセットできたようだ。身体的には休息は取れていてもメンタルはそうとは限らない。溜め込まないうちに一度リモートしようと考えたノアの判断は正しかったようだ。



「引き続き、頑張りましょう!」


 エミラの声に皆が笑顔で反応する。そして希望の剣は再びフルーゲに乗って天空の塔を目指した。




 * * *



 ヒューマニア王国を出発してから二週間が過ぎた。


 フルーゲの上からティアが獲物を狙撃し、ノアがテレポートで捕獲。操縦をヘンリーがサポートする。ダンジョンでモグッて食料や掘り出し物を獲得する一連の流れに大分慣れてきたパーティメンバー。ノアも食料問題に関してはもう大丈夫だと旅への手応えを感じていた。


 そんな中、リリーが何かを発見する。



「あれ、なんでしょうか? 遥か前方……若干北側の上空に、とてつもない大きな雲……いやでも真っ黒ですよね……」




「なんてことだ……あれは……雷雲巣らいうんそうだ。雷を落とすマナクラウド。やばいぞ」


「あんなのヒューマニア王国で見たことがないわ」


 ティアの言葉に頷くリリー。ノアも図書の間で読んだ知識程度で実際に見るのは当然初めてだった。


「あの雷雲巣の下は落雷の量がすごいらしい。フルーゲでは通れない。かといって迂回できる大きさじゃないから進行方向は変えずに着陸して進もうと思う」


「そうね。どこかダンジョンでもいいから身を隠せるような場所があればいいんだけど」


「ただ、あの雲の動き、すごく鈍いよね? 待って時間を過ごすよりかは急いで突っ切ったほうがいい気もする」


 ヘンリーの意見にノアも同意する。


「雷雲巣はガイアの魔素が安定していない特殊な環境で生み出されるマナクラウドで、あまり移動しないらしい」


 ギリギリのところでフルーゲを着陸させて不安そうなメンバーに声をかける。


「皆、ここまでフルーゲで状況を見て得られた情報をまとめるよ。あくまで僕の推測でしかないけど」


 真剣に話を聞くメンバー。他でもない、ノアの推測だ。信じるしかない。


「この雷雲巣を抜けるにはおおよそフルーゲで1時間といったところ。つまり僕らがガイアの大地を走ってこの地域を抜け出すのは早くても6時間はかかる」


「6時間……長いわね……」


「そう。あまりに長すぎる。どこで休憩を挟むかだけど、僕が今から皆に身体強化4倍の魔土術まとじゅつをかけるからその効力が切れる1時間を目処にどこかで休憩しようと思う」


 ノアの提案に同意して、全員がクアトロの付与で身体強化される。


「ティアとヘンリー、エミラとリリーでペアを組んで進むよ! 僕が先頭を走るから何かあったらマナフォンで連絡を取ろう!」


「「「了解!」」」


 そしてノアを先頭に走り出す。空が真っ黒かと思えるほどに暗くなり、とんでもない数の落雷がガイアの大地に降り注ぐ。



《前方に落雷が来る、右へ避けるよ!》



 ノアの指示で全員が咄嗟とっさに右へかわした瞬間、ガイアに強い衝撃と少し遅れて轟音が響き渡る。


「な、なんて威力なの! 吹っ飛びそうよ。リリー私の側を離れないで!」



《皆! 大丈夫か? 目の前の大きな岩と右側に多分落雷が来るよ! 大きく左へ迂回する》



 何故かはわからないがノアが出す指示通りに落ちてくる雷。なんとかその後もかわし続けるが、思った以上に身体に負担がかかっていると5人とも感じていた。



《前方の左手にくぼみがある。あそこに一旦避難するよ!》



《了解!》



 1時間ずっと走り続けた疲労と落雷をかわすために研ぎ澄ます集中力でヘトヘトの5人。エミラの回復魔土術で身体は回復した。


「いや〜このまま続けるのは身体が絶対にもたないね。どうしようかな」


 ノアの言葉が妙に楽しそうに聞こえて来るのは気のせいか?


「ところでさ、ノアはどうして落雷の位置が正確にわかったの?」


 エミラが後ろで見ていてずっと疑問に思っていた。勿論それで助かっているわけで不満は全くないのだが。


「マナクラウドの落雷だからかな……感じるんだよね。本当に感覚の話だからうまく説明できないなぁ……とは言っても今後も当たるとは限らないし、予想できない状況で落ちて来るかもしれないから、ちょっと作戦を変更しようと思う」


「え? 作戦変更?」


 ノアがニヤッと笑っている。エミラにとって、この笑顔は不吉な予感しかしないのだが……



「どんな作戦? 今より精神的に余裕を持てるならいいんだけどね」



「えっとね。多分全速力で走る必要はないかな。ただ、集中力は同じくらい必要で疲れるとは思うけど」



「お兄ちゃんの作戦で楽なものって一つもないからもういいよ。そこは諦めているわ。早く教えて」



 さすが妹だ。ヘンリーとエミラはティアに感心する。



「作戦なんだけど……まず配置変更する。リリーが中央でリリーの左前衛にティア、右前衛にヘンリーだ。二人の役割は前方から現れる魔物や障害物をぶっ飛ばすこと。どちらがどう処理するかは二人で息を合わせてね」


「えっ? 前衛? 障害物?」



「リリーの後方にエミラなんだけど、エミラはやや自由に左右に動いて構わないから前衛の二人に回復魔土術を適度にかけてあげてほしい。相当体力使うから」



「え? う、うん。わかったけど……これってどういう意味なの? これで落雷を避けることができるの?」



 エミラが確認する。他のメンバーも皆同じ疑問を持っていた。そしてノアが質問に答える。



「いや、落雷を避けない。むしろ雷をリリーに向かって落とすように仕向ける」


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