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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第79話 リモートスクリーンユニット起動

 マリーボイドで一晩を過ごしたノア達。朝起きて早速出発の準備に取り掛かる。


「野宿とは思えない寝心地の良さで本当に助かったわ。ありがとうね、ノア!」


「皆満足してくれたならよかった。今度マリア達に伝えないとね」


 お世話になったマリーボイドを全員で片付けて巨大アイテム袋へ収納する。そしてアイテム袋をくるくる丸めて、ノアが持つアイテム袋の中へ収納して片付けを完了する。


「それじゃあ出発するよ!」


 フルーゲに乗り込んで、いざグランサンクチュアを目指して出発! ガイアの大地上空へ高度をあげるかと思ったが、ノアは昨日よりも高度をだいぶ下げて操縦している。


「お兄ちゃん、今日は低めに飛ぶのね。何かあったの?」


「うん、皆にお願いしたいことがあるんだけど、ガイアを走る獣や空を飛んでいる鳥を探して欲しいんだ。我々、希望のつるぎパーティーは早くも食料問題に直面していて……」


「なるほど。ここからだったら見つけやすいわね」


「よし! みんなで探そうか! 美味しい食事を準備するためにもね!」


「あ! あそこにいたわ! ソイラバードよ!」


「よし! ティア! 狙撃だ!」


「え? ここから? 嘘でしょ?」


「僕はあっちの獣を狩ってくるから忙しい。ティアならできるよ。撃って!」


 いつも思うけど、妹にすごい無茶振りするなぁ……ん? あっちの獣を狩る?


 エミラとヘンリーが顔を合わせる。ノアのさっきの言葉、嫌な予感が……


「エミラかヘンリー! ちょっと操縦お願い! すぐ戻ってくるから」


 そう言い残してノアがパッと消えた。そしてノアが地上でソイラボアを4頭瞬殺しているのをリリーが発見する。


「あそこにノアがいる……ってことは……」


 操縦席に誰もいなかった。テレポートしてノアがガイアに降りてしまった。


「うわぁ〜!」


 慌ててヘンリーとエミラが舵を取る。何をどうすればいいのか全くわからない。


 集中していたティアが水弾を放って見事狙撃成功と思った瞬間、ノアがパッと現れて落下するソイラバードをキャッチ。そしてまたパッと消える。


「よっと! ただいま。操縦ありがとう!」


 パッとノアが戻ってきた。


「無事に今日のお肉はゲットしたよ! あとは野菜を――」


「いきなり消えるなドアホがぁ! 墜落したらどうするの!」


 ドゴン!


 でっかいタンコブを頭にのせて、リーダーノアがフルーゲを快調に操縦する。


「ねぇ、ノア。どうしてこのガイアの大地でテレポートが使えるの? 魔族との戦いの時も使ってたよね? 起動地点と到達地点にハイソイラレベルの強い魔素が無いと無理だって認識だったんだけど」


「うん、その通りだね。でもそれは目視できないほど遠い距離に移動する一般的な状況においての条件なんだよね。当時目視できるほどの距離でテレポートを使うことは想定されていなかったみたい」


(一般的な状況って……テレポートは古代魔土術だから書籍での記載も少ないはず……ノアは自分で考えて実行してみたということか?)


「まず、目視できる距離ならマナの量に自信があれば移動できるよ。要は移動する際に高級魔土ハイソイラが座標の役割を担っているんだよね。それを目で測ることができるなら移動できる。移動後にマナが結構吸い取られてしまうけど。ちなみに僕らには超級魔土レアラで作ったアクセサリーがあるから起点に関してはそのマナを利用できるしね」


「改めてノアを尊敬するよ……魔土術の応用力がすご過ぎる」


 ニカッと笑って謙遜するノア。


「さあ皆、ダンジョンで野菜をとって食事にしようか!」


「「「了解!」」」



 上空でダンジョンを発見してガイアへ降り立つ。そしてノアの神がかったモグりによって大量の野菜が収穫できた。


「これで多少は食料のストックができそうだな」


 ガイアの大地でバーベキューを楽しむ希望のつるぎ。狩ったばかりの獣や魔物の肉が柔らかくて美味しい。こんな経験ができるのは冒険の醍醐味だ。


「調理せずに残った肉があればこのアイテム袋の中に入れて」


「結構残ってるね。2日間は持つと思うわ」


 ノアはリリーを料理長兼食材管理係に任命した。食料だけを入れたアイテム袋を渡す。


「皆、今後リリーの指示に従って、食事を作ったり、食材調達を行うことにするね。特に今後は食材管理が僕らパーティの最優先事項となるから。食べないと生きていけないしね」


「オッケー!」


 そしてヘンリーをパーティの財務係とした。とは言っても貨幣は無いので物々交換をする展開が有ればという程度だが。それ用のアイテム袋をヘンリーに渡す。さらにノアとティアは索敵と戦闘指示を、エミラはパーティの体調管理を担当することになった。


 こうして、順調に旅を続けて一週間が過ぎた。マリーボイドのリビングで休憩するパーティメンバーにノアが何か言いたそうに近づいてきた。


「何よ? ノアのその笑顔、何か企んでいるのがすぐわかるわ。一体何?」


「皆そろそろ、王国と連絡を取りたい?」


「え? そんなことができるの?」


 エミラとリリーがくいついてきた。


「マナフォンは距離が遠すぎるわよ? 一体どういう意味かしら?」


「フフッ。それができちゃうんですよ。マリアの発明によってね」


 ノアがマリアと連絡を取る。連絡と言っても超級魔土レアラで作った小型発信機の色を赤色に変えて様子を見ているだけだ。しばらくして発信機の色が緑色に変わる。


「おっ! いけそうだぞ」


「いけるって何がよ」


 エミラの問いを無視して色々と準備して壁に何かを投影するノア。するとボヤッと何かが映し出された。徐々にピントが合って見え始める。


「あっ、ここは王宮の謁見の間だわ!」


 《……ア工房長…………ノア工房長聞こえますか? マリアです》


「マリア! マリア元気?」


 マリーボイドが一気に盛り上がる。一週間ぶりに見たマリアの姿、そしてその後ろにロイとリリカそして国王と王妃もいる。ボイドとミネルヴァ校長もその場にいるようだ。


 《マリアすごいね。発信機で信号送ってから三十分でこんなに人が集まったの?》


 《ミネルヴァ校長がテレポートで皆さんを集めてくださって。このリモートスクリーン開発の相談にのってもらっていたので使うときは呼んでくれと言われていました》


 《なるほど。さすがミネルヴァ校長だ。えっと、それじゃ音声チャンネルを切り替えようか。皆話がしたいだろうしね》


 信じられない光景が広がっていた。目の前に家族がいる。ガイアの大地で王宮にいる家族の顔が観れている。ミラ王女とリリアナ王女が思わず嬉しさのあまりに涙を流してしまった。ティアとヘンリーは楽しそうに笑っている。


「よし! 切り替えた。皆さん聞こえますか? 希望の剣、リーダーのノアです」


「おぉ! ノアの声だ! すごいな!」


 ロイが反応している。とても嬉しそうだ。


「皆さん、今自由に会話ができる状況なので、ここまでの旅の報告も兼ねてミラ王女とリリアナ王女からお話があります」


 ノアの無茶振りに驚く王女たち。だが嬉しそうだ。国王と王妃を安心させたい。そして喜ばせたいという気持ちと、父と母と話がしたいという娘としての気持ちがごちゃごちゃになった状態でミラ王女が話し始める。


 ここまで順調に旅を進めていることに安堵した国王と王妃。どこか寂しそうではある。しかし、スクリーン越しとはいえ、娘たちの顔が観れてとても喜んでいる。


「あと、マリアとボイド。あなたたちが開発してくれたこの仮設住居マリーボイド、本当にすごいわ! これのおかげで私たちはストレス無く快適に旅を続けています! 心から感謝しています」


 珍しくリリアナ王女が自分から話し出す。ボイドもマリアもとても嬉しそうな顔で頷いている。


 国王から次々と質問されては答えるミラ王女とリリアナ王女。それを隣で見ているヘンリーやティアも笑顔だ。


「皆、寂しかったんだね……よかった。このタイミングで繋がっておいて」


 ノアがボソッと呟く。


「おい、ノア。みんなに迷惑かけてないだろうな?」


 笑顔でロイがいじって、リリカも笑って話しかける。たくさんの喜びと笑い声が謁見の間とマリーボイドで溢れ出す。


 そしてノアがちょうどいいと思って先日発見した木製の小物入れを手にとって見せた。



「これはダンジョンでモグッて発見した樹木から作られた小物入れのようでして」


 ざわつく謁見の間。木製なんて初めて見たという人族がほとんどだ。そんな中、ボイドが興味を示してノアに聞く。


「お、おいノア。その木箱には製作者の名前が掘られておらんか?」


「はい、あります。底面にレーテル・グリムスと彫られています」


「な、なんじゃと!! レーテルじゃと!」


 ボイドとロイ、そしてリリカも一緒に驚いている。フリーズして動かない。


「ど、どうかされましたか? ご存知なんですか?」


 ノアに向かって真剣な眼差しでボイドがゆっくり口を開く。



「レーテル・グリムスとはドワーフ国家ドワーリアで3本の指に入るSS級職人の名じゃ。そして……王国の現女王じゃよ」



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