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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第二章 魔王軍襲来

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第73話 大地のティアラ

 あのグリフォン事件から更に一週間が過ぎ、マリリンは早くもティアやリリアナ王女よりも大きく成長していた。


「マリリン! フサフサで気持ちいい!」


「クルルル〜」


 もう、マリリンが人族を襲うという心配をするものは王宮内にはいなかった。しかし、あの日ミネルヴァ校長が去り際に話した一言がロイたちを不安にさせていた。


《超級魔人のコアをマリアのマナで育てた結果、生まれたのがグリフォン。だとしたら……今ノアが育てている卵、とても楽しみね! 一体どんな幻獣が孵化ふかするのかしらね〜》



「う〜ん。考えたくも無いが……魔軍軍長のコアで、あのノアのマナだろ? やばいよな?」


「ロイ、もう今は考えるのはやめましょう。私たちは今から覚悟を決めておけばいいだけよ」


 昼食をとりながら、ぼんやりと考えてしまう。魔土術学院へ向かったノアは今日もスリングに入れて大切に育てている。心なしか、卵が少し大きくなったようにロイには見えていた。錯覚であって欲しいのだが……


「あ! そういえば、あの時魔人軍軍長グルなんとかが言ってたんだ。あいつらの目的が何かを! 最近ドタバタしていてすっかり忘れちまってた!」


 ロイは国王とミラ王女にグルテナスの言葉をそのまま伝える。


「大地のティアラ……魔人は確かにそういったのか?」


「はい。間違いありません。ここ王宮でティアラと言えば、先日ミラ王女とノアがダンジョンで発見したのもティアラでした」


 ロイの勘は当たっていた。そう、あのティアラこそ大地のティアラだった。


「国王、我々にもそのティアラのことを教えていただけないでしょうか?」


「…………あれは初代ヒューマニア王国の国王と王妃が ボッタニカ王国の国王より授かったものだ」


「え! 精霊や植物、エルフなどが住むグランサンクチュア中心部に存在すると言われている、あのボッタニカ王国ですか?」


「そうじゃ。当時まだヒューマニア王国は存在せず、人族もグランサンクチュアの周辺に住んでいた。その時代から人族は非力ではあるが知恵を活かして周辺の種族ともうまく共存できていた。しかし、非力であるがゆえに魔族の標的となってしまったのだ」


「一番弱い種族が魔族に狙われたということですね」


 人族が魔族からの度重なる襲撃に耐えかねて、ついに離れた場所に人族の拠点となる場所を築くことを決める。それがここヒューマニア王国だった。


「ボッタニカの妖精族をはじめ、他の種族とも良好な関係を築いていた人族はそれまでグランサンクチュアに貢献してきた功績を評価されてあるものを国の証として授かったのだ。それが大地のティアラだ」


「そんな大切なものがなぜあのダンジョンの奥に?」


 ミラ王女の疑問に首を振って王は答える。


「いや、そうではない。王国を築き上げる上であのティアラの力を借りたと言われている。大地のティアラは人族のマナとソイラを繋げる役割を担っていたのだ。ガイアの大地の地下深くに祀られたティアラは我ら人族がガイアで繁栄できるよう、その偉大な力を授けたと伝え聞いておった程度だ。実在するのかどうかも不確かだった」


「とんでもない話ですね。それを掘り起こしてしまってよかったのでしょうか?」


 ロイの質問には、いつもノアがやらかしてすみませんという謝罪の念も含んでいるように聞こえる。国王は笑って答える。


「むしろ、ティアラはもうその役目を終えて静かにヒューマニア王国を見守っていたはずだからなんの問題もない。安心するがよい」


「偉大な力とは推察するに、魔土術でしょうか?」


「おそらくそうであろう。そして今のヒューマニア王国はその魔土術を活かしてここガイアの大地で人族の文化を築いてきた。ミラやノアが見つけたのも単なる偶然ではなく、その役目を終えたと判断したのではないかと余は感じている」


「なるほど。だから魔族は大地のティアラを狙っているのですね。魔土術を使用するために」


「おそらくそうであろうな。そしてその魔人の長もしくは魔王は遥か昔に魔族となっていたのであろう。人族と大地のティアラのことを知っていて、準備を整え今回我が国の侵攻に出たということだな」


 ミラ王女が深刻な表情で国王とロイを見つめている。


「今後も攻めてくると考えたほうが良いのでしょうか? あれだけ人族が完勝しても」


「どうでしょうか……ヒューマニア王国がこれだけ中央から西へ離れた場所に位置しています。周囲にはテレポートできる環境もなく、王宮と王都リトルガイアは立派な結界で守られています。そこへ攻めるよりも、直接グランサンクチュアへ攻めこむ方が魔族としても効率が良さそうですが……」


「もはや人族が弱くないということを示せたのは大きいということね」


 はいと返事しながらロイは魔族の狙いを深く掘り下げてみる。仮に大地のティアラが手に入っていたとしたら魔族はそこからどう展開したのだろうか。邪念術と魔土術を使いこなす種族としてこのガイアの大地を、グランサンクチュアを支配しようと考えるのではないだろうか。


「国王、ミネルヴァ校長に話してボッタニカ王国へテレポートしてもらえるように話してみるべきでしょうか? 魔族の手が迫っているならあるいは……」


「いや、あやつはグランサンクチュアにはいかぬ。もう戻らぬと言っておったからな。お主も事情はわかっているであろう」


「そうですね。それではやはり選択肢は一つですね。近々ヒューマニア王国よりグランサンクチュアへの遠征パーティーを十年ぶりに編成しましょう」


「そうじゃな。他の種族へ迫っている危機を見過ごすわけにもいかん。そして我が国のより良い発展を目指すためにも必要なことだ。ミラよ。以前お前に伝えたが、お主とノアはその遠征パーティーに入れるつもりだ。他の人員はロイと相談してお前自身で決めるのだ」



「は、はい! 承知致しました!」




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