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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第二章 魔王軍襲来

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第65話 魔人のコア

 ふと、ヘンリーの前進が止まり一旦ロイの元へ下がる。


「魔人たちが邪念術を詠唱しています」


「ヘンリー、とてもいい判断だ。今は聖魔土術を使えるものがいないという想定で行くぞ」


「え? 想定ってなんですか?」


「これも実践訓練だ! お前の風魔剣で術を吹っ飛ばせ」


「は、はい!」


 飛ばされた邪念火炎術を剣で斬り裂くヘンリー。距離が遠く剣で切れないため、風の斬撃を飛ばして応戦する。その横をティアが駆け抜けて行く。


「おい! ティア! そっちは敵陣――」


「炎弾10連」


 ドドドドッ!!


 次々と魔人のコアを綺麗に撃ち抜いて行く。そして敵陣中央に向かってどでかいラ・ファイアを再び放つ。


「ヘンリー! 我が娘に討伐数で負けたら、わかっているよな?」


「は、はい! 殲滅してきます!」



 こうして、ティアとヘンリーの波状攻撃で、上級魔人400人を制圧してしまった。


 ノアがまだ生きている上級魔人を捕まえた。


「お前たちの目的はなんだ? あとどれくらいの魔人が攻めてくるんだ?」


「へへへ……し、知るかよ……だが、これだけ……教えてやる。突然王都に大量の魔族が現れて……王宮を……滅ぼ……す」


 そして魔人は死んだ。


「……仕方ない。とりあえず、研究のヒントになりそうなものだけ回収してから帰還しましょうか?」


「「「え? なんか持って帰るの? 魔人から?」」」


 結局その後、一時間ほど待たされて、ロイたちは余裕で王宮へ帰還した。




 * * *



 謁見の間にて国王へ報告するロイ。



「戦闘開始五分でリリアナ王女のゴーレムによって八割以上の魔人を殲滅し、残り400ほどの上級魔人をヘンリーとティアの2名で制圧しました」


「え?」


 国王だけでなく周囲の家臣も含めて状況が読み込めていない。できるだけ数を減らすために向かった5人の精鋭が、三千人以上の魔人を殲滅? しかも実働3人? とても事実とは思えない。スクリーンで観戦していたミネルヴァ校長は大笑いし、ミラ王女はゴーレムの遠隔操作の影響か、ぐったりしている。


「ロ、ロイよ。もう少し詳細を教えてもらえぬか? 余も周囲の家臣も皆、少々戸惑っておる」



「は! 失礼しました。ゴーレムを操作したリリアナ王女は一発目の風魔土術によって約800〜1000人くらいの魔人を殲滅し、間髪入れずに3、4発撃ち続けました。この巨大で強力な魔土術をかわすことができた上級魔人約400人が生き残りましたが、それら魔人に向かって魔土戦士ソレイヤーのヘンリーと魔土術士ソレイジのティア、そして回復魔土術士の代わりとしてミラ王女が遠隔で操作したゴーレムが息のあった攻撃と防御で上級魔人400人に完勝しました」


「……大して変わっておらぬな。つまりはそういうことなのだろう。大義であった。魔王軍は更に攻めてくると思うか?」


「その点に関してはノアから説明がございます」


 ノアが一歩前に出る。


「魔王軍は予想通り、テレポートで大軍を王宮へ送る作戦だったようです。しかし、それが現在も実行されていないということは、結界の効果によるものだと思います」


 歓声が上がる。ミラ王女もホッと一息ついて安堵の表情を浮かべている。


「ここからは私の予想ですが、怪鳥系の魔獣に先行させて何か大軍を転送させるためのアイテムを運び、王都のどこかに設置する作戦に出ると考えております」


「うむ。なるほど……では引き続き、魔族の侵攻を徹底的に阻止するのだ! 具体的な対策をミラと共に検討するように!」



 こうして報告は終わった。少し休憩をとってまた作戦会議を行うことになった。ノアとミラ王女は一旦ノア工房へと向かう。


「ノア、あなたまた変なもの持って帰ってきたらしいわね? ロイがひいてたわよ」


「ふふふ……これも全て王国のためですよ。魔族の秘密を探ることは大切ですよ。弱点とかわかっていたほうがいいですしね」


「弱点がわかればいいけどね。あなたそういう目線じゃないでしょ」


 工房に入るとマリアが魔土術の本を読んでいた。そしてノアから完勝の知らせを聞いて大喜びする。


「しかしな、マリアよ。喜ぶのはまだ早いぞ……これを見よ!」



 ノアは魔人から回収したアイテムを取り出す。ミラ王女はすごく嫌そうな顔をして隣のマリアの様子を伺ったが、目を輝かせているのを見て、仕方なくコメントを控える。


 普通の石ころのようなものを取り出してノアが言う。


「これはエネルギーを失った魔人のコアだ」


「えぇ! コアが取り出せるんですか? 魔物が死んだ時に消えてなくなるのかと思っていました」


「だろ? 僕もそう考えていたんだ。でも実は違うんだ! 魔人のコアはエネルギーを使い果たしたらただの石ころっぽい状態になった。でもこれはただ石ころじゃないんだ。魔素を使いきった魔土ソイラ、つまりエンプティラと同じ状態なんだよ!」


「本当ですか? つまりこのコアは今、邪気が一切含まれていない空っぽの入れ物ということですか?」


「そうなんだよ! 原理としては魔土ソイラと同じなんだ! 極端に言うと、そこに何を入れるかで魔物となるかソイラとなるかみたいな感じだね」


「……それはノア工房長の仮説ですか? それとも……」



「勿論、検証済みだ!」



 ここでミラ王女はかなり気分が悪くなってしまう。なんとノアは抵抗できないほど弱っている魔人を脅し、空となったコアに邪気を送り込ませて検証していたのだ。このコアに邪気を取り込むことができるかどうかを。ノアの想像通り、コアは若干光を帯びて邪気を取り込んだのだ。


「それはもう完璧ですね。さすがです」


「ちょっと! 何が完璧なのよ! ノア、あなた何故そんなことをするの? 魔族よ? 何が面白くてそのコアを持って帰ってくるのよ。まさか復活させるつもり?」


 不快な感情に任せて怒鳴り散らすミラ王女にノアは笑って答える。


「魔族を復活させるなんて。そんなことしませんよ。勿論コアを用いて何かをしようとしていますが、それは魔物ではありませんからご安心ください。それから、ミラ王女は一つ誤解されているのでその点は考えを改めてください」


「な、何よ?」 


「例えば、薬というものは人族にとって回復の効果もあれば毒にもなり得るリスクもありますよね。容量を守らないで使用するとかね。ちなみに麻痺効果の薬は神経に攻撃してその効果を得るわけですからね。それでも我々は決してその薬を絶対悪とは考えませんよね?」


「……そうね。確かに」


「魔物は悪ですがその魔物から得られた皮、ツノ、骨など様々な部位を人族は生活の中に取り入れて生きています。誰もそのツノを取ってきた冒険者やモグラーに否定的な意見を言いませんよね?」


「……まぁそうだけど」


「魔人のコアがこれから人族にとって非常に有益な効果を生む何かに生まれ変わったらそれは賞賛されるべきこと、害を生む結果となったら批判されるべきことだと僕は思うんです。要はその活用の仕方だと言いたいのです」


「……そうね。その点はノアのいう通りね」


「それに魔人の弱点を知ることへつながるかもしれないので、ここはまず僕ら工房で行われることを反対せずに見守っていただけると僕は嬉しいです」


(こいつのこの顔! これよ! なんかむかつくけど言い返せない)


 結局、ミラ王女はそのまま魔人の研究を許可した。王国にとって大きな利となるだろうと感じたからだ。結局ノアに説得されている自分が悔しすぎる。



 このミラ王女の決断が、後に面白い存在を生み出す事へと繋がっていくのだった。









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