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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第二章 魔王軍襲来

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第62話 作戦会議

 ノアがミラ王女の声に反応しないほどに集中して考えている。


「ミラ王女、実はまだ結界の問題が……」


 マリアの表情でミラ王女も状況を理解する。


「なるほど……わかったわ」


 そう言って自分の正面に立って呼びかけるミラ王女にやっと気づいたノア。


「ミラ王女……す、すみません。気づかなくて」



「ノア、よく聞いて。今から作戦会議が始まるからできればノアに参加して欲しい。だけど(あと)30分、工房で結界の解決案を考えていて構わないわ。その(あと)に王宮の会議に参加して」


「ありがとうございます。ただ、解決するかどうか……」


「一つ言っておくわ。結界は……王都全てではなく、届く範囲までで構いません。 王宮を含めた一部分の王都に結界が張れるだけでも十分な功績よ! だから責任を感じてはいけません。責任は全て私が負います」


 びっくりするノア。王女の言葉とは思えない。いや、それくらいの決断が必要なのかもしれない。


「ノア、それよりも魔王軍の侵攻を許して王都が完全に崩壊することだけは防がないといけないわ。そのための結界であり、そのための作戦会議なの。だから、後で必ず参加して」


「はい。ミラ王女、ありがとうございます!」


 ニコッと笑ってミラ王女が王宮へと戻って言った。気が少し楽になったノアは改めて考える。


「そうか何も一回で結界を覆わなくていいんだな……」


「でもそれは王都に複数箇所ユニットを設置することになりますし、時間がたりません」


 プレートの調整を終えたマリアが話に加わる。


「そうだね……複数箇所ユニット設置は数日では無理だな……何かここまで結界を広げる手は無いだろうか……本当に見捨てるしかできないのか?」


「あの……理想とする結界領域の最も外側にハイソイラ製のプレートを埋め込むのはいかがでしょうか? 結界着地の座標として六箇所ほど。なんと言いますか、王宮中央から放出した結界を王都の外側から手を伸ばしてキャッチするようなイメージで強引に結界を繋げると言いますか……」


 ボソッとマリアが呟く。


「……す、素晴らしいアイデアだよ! マリア、それだ。放出して届かない分を手を伸ばしてキャッチか! なるほど。それなら設置するプレートも複雑な詠唱刻印が要らないし、なんとかなるぞ」


 こうしてマリアは引き続き王都外に設置する受け手側のプレートの製作を開始する。ノアは王宮内で行われている作戦会議に途中参加で加わった。




 ミネルヴァ校長が調べた結果も、やはりうさ爺と同じだった。魔王軍は確かにヒューマニア王国へ向かって進軍し、10日前後にここブロッカへ到着する見通しだ。


「戦力は下級魔族と上級魔族で2000〜3000人くらいですね。おそらくいきなり王都に現れる魔族もいると思うわ。しかも強い魔族がね」


「ノア、結界装置の方はどうだ?」


「必ず間に合わせます。順調にいけば2日後、王都を結界で包み込む予定です」


「ノア、それは信じて良いのね? ここで決める方針はその結界の有無で大きく変わってくるわ」


 リリカの確認にしっかり答える。


「問題ありません。ただ、少々方法を変更するので後ほどミラ王女に許可をいただいてから実行します」


 こうして、コンクーリから外側に住む市民や下級貴族は全て王都内へ避難することに。


「上級貴族から反対があった場合どのように対応しましょう?」


「反対した貴族の首をはねよ。民の命が全てじゃ。わからぬものは処罰して構わぬ。説き伏せる時間など全くないのだ」


 国王の覚悟が伝わってくる一言だった。会議に参加した全員が改めて気を引き締める。


「正面からぶつかるのはどう考えても南側のブロッカエリアだな。突破されてそのまま侵攻された場合のためにコンクーリエリアにも兵を配置する必要がある」


 戦術の話となり、ロイがまとめ役となる。


「まず、我々ヒューマニア王国の戦力を確認したい。今回、ノアたちが開発したゴーレム2体の出陣は可能か? 確か……操るのはミラ王女とリリアナ王女ですね?」


「はい。私たちは王都に留まって、遠隔でゴーレムを操ります。ここまでの訓練で2人ともかなり扱えるようになりました。私は攻撃系の魔土術も放ちますが、どちらかというと補助系、回復系の魔土術を前線の騎士団にかけて広く動き回るのが良いかと思います。人族の魔土術士ソレイジが前線で詠唱するのはかなりリスクが高そうなので」


 頷くロイ。


「そうですね。その方が混乱を避けることもできる。回復系の魔土術士ソレイジは一歩下がったところで待機してもらいましょう。リリアナ王女はいかがですか?」


「わ、私のゴーレムは近接戦闘には全く向きません。なので最初に遠距離で魔人を確認した段階で魔土術で攻撃を仕掛けます。あとは皆さんの邪魔にならないようにゴーレムを戻します」


「な、なるほど……」


 戸惑うロイにノアが補足で説明する。


「父さん、もしかするとリリアナ王女のゴーレムで魔王軍のほとんどを壊滅させることができるかもしれない。それくらいの破壊力なんだ」


「それは頼もしいな。了解した」


「魔土術学院の方はどうされますか? 先生方と……生徒はやはり避難ですかね」


 ミネルヴァ校長が答える。


「ノアのおかげでダンジョンへモグる経験はしましたが、種族の争いとなると前線で戦うのは厳しすぎますね。教員と共にコンクーリに陣をとって万が一に侵攻された場合攻撃を仕掛けるというのはいかがでしょうか? 難しそうならすぐに結界の中へ入ってしまえば良いので」


「そうですね。ではそのあたりの指示はミネルヴァ校長とエミール先生にお任せします」


「王国騎士団はどうされますか?」


「コンクーリに少し配置し、残りはブロッカ地域に全配置です」


「え? それでは万が一王宮が狙われた場合は……」


 心配する宰相たちの言葉を遮ってロイが一言返す。




「王宮は大丈夫です。リリカとティアがいますから」





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