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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第一章 ヒューマニア王国

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第51話 二人でS級ダンジョンへ 03

嬉しそうにソイラグリズリーの死骸を回収していくノア。


「ねぇ、ノア。そんなに熊の死骸を持って帰ってどうするの? 市場に売るの?」


「色々な事に使えるよ。毛皮を使って小物も作れるし、市場にも売れるし。何より僕の講義にも使えるしね」


 講義に使う? 聞き間違いか? 少し不安に思うエミラだった。


 ひと休憩して、再びダンジョンをモグりながら進んでいく二人。ノアがハイソイラを回収しまくるのでダンジョンの地面と壁面が一回り広がってしまった。


「ねぇ……ノア。こんなに広げちゃって大丈夫なの? あなたモグり過ぎじゃない?」


「モグラーのルールにも抵触していないから大丈夫。そもそもここモグれるのは僕しかいないけど。複数穴を開けていくよりも面で浅く広くモグッた方がモグラーマナーとしては正しいから」


「いや、モグラーのマナーとかどうでも良くて、ダンジョンに何か変化が起こったりしない?」


「そうなんだよね。ちょっとダンジョンの成長も期待していたんだけど、全然変化しないんだよなぁ……王宮の書籍を読んでいる限り、SS級とか絶対あるはずなんだよね……もうちょっとモグれば或いは……」


「いやS級ダンジョンをこれ以上成長させてどうするのよ! お願いだから普通に踏破して!」



 エミラに怒られて仕方なくモグりに制限をかけることにした。そうして暫く奥へ進んだ際にノアが何かを感じ取る。


「っ! 魔物がくるぞ!」


 ノアがエミラを抱えて横っ飛びして魔物の突進をかわす。


「キ、キラーソイラパンサーだわ、しかも三匹」



 ノアが4倍強化魔土術クアトロを二人にかける。更にエミラの身体強化も合わせてできる限りのバフをかけた。


「ガルルル……」


 キラーソイラパンサーが大きく口を開けて風魔土術を放ってきた。それを見切って二人とも別々に躱す。しかし、エミラが交わしたその先へ別の二匹が突進してきた。


 ドン! エミラがまともに喰らって壁に激突する。


「やばい! エミラ! くそ、気を失っている」


「射撃<水弾>」


 一匹の横腹に命中し、もう一匹には躱された。ものすごいスピードを持っている。そのままノアには目もくれず、再びエミラを攻撃し、右肩に噛みついた。


「グアァ! どっか行け!」


 エミラのヤケクソキックを腹に喰らって一旦下がってこちらの様子を伺っている。


「ハイソイラ!」


 ノアの回復魔土術で少し落ち着くエミラ。


「エミラ、大丈夫?」


「えぇ、ありがとう。回復したわ。あのハイエナ絶対に許さないわ……」


「ラ・ファイアを直接狙って放ってもこの距離だと躱されるよ。できるだけ近づいて僕が仕掛けて斬りかかるから、奴らがよけた方向へ魔土術を放つっていうのはどう?」


「わかったわ」


 ジワジワと魔物との距離を詰めながら詠唱を始めるエミラ。ノアはロングソードを抜いてエンチャント。


「デファイア」


 ボワッとノアのロングソードが燃え上がり、警戒するキラーソイラパンサー。

 先に風魔土術を飛ばしてきたが、ノアの一閃で真っ二つに術を切り裂く。そして一瞬で詰め寄って一匹を炎の太刀で斬り裂いた。


「今だ! 左側に逃げたよ、エミラ!」


「ラ・ファイア! さっきのお返しよ!」


 以前よりも洗練された業火によって一瞬で魔物を消し去った。



「やったわ! またS級魔物を倒せたわ」


「そうだね。個々の能力だと僕らが上だと思う。だけど、数匹出てきて戦術を備えて襲って来られたらやはり二人という人数は厳しいね」


「ノアでもさっきの戦いはちょっと厳しかったの?」


「うん。大きな魔土術で同時に瞬殺するのは簡単だけど、周りのハイソイラに与えるダメージが大きすぎるからそれはできないしね。一匹に集中すると残りの二匹が……」


「……あなたやっぱり余裕で倒せたんじゃない! なんで王女が気を失ってピンチの時にハイソイラ造りのダンジョンを気にしてんのよ! 真っ先に王女を助けなさいよ!」


「いや、アイツらのショボい攻撃なら頭や首を噛みちぎられないってわかっていたからさ。あとで回復魔土術かければ頑丈なエミラなら大丈夫って、ちゃんと考えていたんだよ。実際、その通りになったからよかったね。あははは……」


 ドゴン! 


 身体強化されたゲンコツを喰らって頭にたんこぶを作ったまま歩き始めるノア。

 ふと、目の前に輝くハイソイラの塊が現れた。


「なんだ! なんなんだあれは!!!」


 ノアが大興奮しているがエミラはなんの興味もない。


「すごい! なんでハイソイラが光っているんだ? これって……」


「ちょっ、ちょっとノア。明らかに怪しいわよ。もう少し様子を……」


 不用意に近づいていくノアの懐にパンチ炸裂! 吹っ飛んだノアだが辛うじて防御してダメージは軽い。エミラがノアに近寄る。ハイソイラの塊はゴーレムだった。


「何してるのよ、バカ!」


「あ、あれがハイソイラゴーレムかぁ! あんなの誰も気づかないぞ……」


「あんた以外誰も引っかからないわよ! いい加減にソイラに対する異常過ぎる好奇心を抑えろ!」


 するとノアがエミラの両肩に手をおいて、冷静に語りかける。


「エミラ……ここは僕に任せてくれ。君はさっきの戦いで不幸にも怪我を負った。回復できるとは言え、一国の王女に何回もダメージを負わせるような事態になってしまったら僕は…………」


 ワザとらしく俯いて震えている。


(こいつ……どの口が言っているの……)


「だからここは僕一人に任せてくれ!」


(目が輝いているわ……なんか腹が立つわね……)


 そして、ハイソイラゴーレムとノアの戦いが始まった。しかし、ノアは戦う気が全く無かった。


「絶対にアイツを持って帰ってやる」


 ゴーレムがミドルレンジで右ストレートを放ってきた。ぐんぐん腕が伸びている。


「おぉ! 伸縮できるの? すげぇ! 他に何ができるんだ?」


(アイツ……楽しんでるなぁ……なんかムカつくわねぇ)


 ノアがゴーレムの打撃をかわしながら胴体の接合部分など、そのディテールをじっくり観察している。余裕にかわしているように見えるからかゴーレムが弱いと思えてしまうのだが、実際は全く違う。ゴーレムの打撃スピードはさっきのキラーソイラパンサーよりも速いのだが、それ以上にノアの動きが圧倒的に早過ぎて、ゴーレムがついてこれないのだ。


 エミラもそれを理解して、ますますイラつく。さっきの戦いの苦戦はなんだったんだ。やる気がなかっただけかと。


「お〜い! ノア! 私もマナを込めまくったラ・ファイアでサポートするね! ノアを助けるから待ってて!」


 ニヤつくエミラにノアが焦って止める。


「ちょちょちょちょ!! ダメダメ! それやったら本当にパーティー解散だからね!」


 焦るノアを見て大分気がおさまったエミラ。腹を抱えて笑っている。しかしノアの視線はもはやゴーレムにしか向けられていない。



「大分わかってきたぞ。コイツのコアはヘソの部分だな。そしてコイツはマナで動いている。驚くべき事実だけど、人族と同じようにマナを巡らせているんだ。つまりそのマナが無くなればゴーレムは止まる」


 ゴーレムの攻撃をかわしながら回収方法をまとめる。そして……


「よし! これで行くぞ! エミラ、バリアを自分に張って守ってね!」


 ノアが一瞬でゴーレムの懐に入る。そして左手でゴーレムの核に触れ、右手から無詠唱で強大な魔土術をダンジョンの壁に向かって連続して唱え続けた。


「炎槍5連発! いけぇ!」


「え? ちょっと待って! バリア!」


 ギリギリでバリアを張ったエミラ。


 轟音と煙で吹っ飛ばされそうになるエミラ。何が起こったのか全くわからない。徐々に煙が薄くなり視界がひらけてきた。


「はぁ!!」


 エミラはゾッとした。


 放たれた炎の槍……というより、もはや炎の柱がダンジョンを破壊する。

 エミラの目の前を塞いでいたはずの硬質なハイソイラウォールがポッカリと大きな穴を開け、奥へ続く洞窟へと姿を変えていた。




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