第44話 適正ランク測定
ミラ王女たちは講義会場Aで自分たちの適正ランクを測定しに来ていた。会場は多くの学院生たちで賑わっている。
「おいおい、俺もランク外だよ……」
「私も駄目だったわ。どうしよう」
「俺なんとかブロンズCクラスだったよ」
上級生のほとんどがブロンズCクラス、もしくはランク外でおさまる中、新入生の上級貴族のオコール・アングリーが測定を開始した。
オコールが水晶に手を触れてると、上部ディスプレイの数値がどんどん上がっていく。会場の生徒その数値に注目する。
《オコール・アングリーの現在の適正ランクは……ブロンズBクラスです》
周囲が騒めく。オコールが誇らしげに笑っている。そしてヘンリーの姿を見つけるや否や、ニヤついて近寄って来た。
「おい、ヘンリー! お前の適正ランクを教えろよ! どうせランク外だろ?」
高笑いするオコールを完全にスルーしてティアたちと測定場へと向かうヘンリー。
「こ、こ、この俺をまたしても無視しやがったなぁ……ゴミ貴族のくせに……」
そしてヘンリーが水晶に手を触れて計測が始まる。
《ヘンリー・ブランの現在の適正ランクはブロンズAクラスです》
会場がどよめく。今日初めて計測されたブロンズAクラス。しかも新入生だ。
「ヘンリーやったね!」
ティアとリリアナ王女が喜ぶ。そして呆然とするオコール。
そしてどよめきは続く。
《リリアナ・ヴァン・クライトンの現在の適正ランクはブロンズAクラスです》
《ティア・グリードの現在の適正ランクはシルバーCクラスです》
《ミラ・ヴァン・クライトンの現在の適正ランクはシルバーCクラスです》
「「「うお〜でたぞ! シルバー!」」」
会場が大盛り上がりになってしまった。第二王女がブロンズA、第一王女がシルバーCを叩き出し、そして英雄の娘がやはりその素質を開花させたのだから湧き上がるのも頷ける。
「ティア。私たちはシルバーCね! さすがだわ。私も頑張らないと!」
「一緒にお兄ちゃんを目指しましょう! アハハ」
そしてリリアナ王女にヘンリーが話しかける。それを遠くから見守っているヘンドリック。
「リリアナ王女。僕たちは同じ適性ランクですね。一緒に頑張ってティアやミラ王女に並べるようにしましょう!」
「……はい! 頑張ります!」
しっかりと返事したリリアナ王女を見てティアとミラ王女は微笑んでいた。
「あら、あなた達、もう適性ランクを計測したのね?」
ミネルヴァ校長がミラ達の元へやって来た。
「校長先生おはようございます!」
四人が挨拶をして校長も笑顔で挨拶を返す。そしてノアがいない事に気がつく。
「ノアはどうしたんですか?」
「ノアはどうせ最上ランクだと思ったので計測させずにそのままプラチナクラスを受けさせました」
ミラ王女の答えを聞いて動揺したのか、手に持っていたステッキを落としてしまう。
「な、なんですって? でも、あの扉が開くわけが……」
かなり焦り出した校長が掲示板を確認する。そこには『プラチナクラス試験実施中、受講生ノア・グリード』と表示されていた。愕然とするミネルヴァ校長。
「まさか……嘘でしょ?」
「どうなさったんですか? 校長」
ミラ王女達が校長の反応を不思議そうに見ている。
「プラチナクラスは誰にも受けさせない学院ランクにおける『遥か先の叶わぬ目標』として設置しただけの見せかけのクラスだったの。予約してもあの部屋にたどり着くなんて学院生には無理でしょうし、辿り着いてもあの扉が開くなんて……」
「…………」
「実際想定していたノアの適正ランクはゴールドクラスだったのよ……てっきり測定しにくると思って私もここへ来たんだけど……」
しかし、まだ生徒達はまだプラチナクラスの恐ろしさをわかっていない。ミネルヴァ校長が付近を通った数名の先生を呼び止める。
「エミール先生! ノア・グリードが審判の扉を通過してしまったわ」
「なんですって!!!」
いつも冷静なエミール先生がここまで大きく反応するなんて……
「おい、どうする? ウサジさんの扉が開いたって!」
「いや流石にどうすることもできない。待つしかないでしょう」
教員達がざわついている。
「ミネルヴァ校長、一体何があったんですか? 試験が難しくてもノアは何度も受けられるし、特に焦る話ではないと思うのですが」
ミラ王女の質問に慌てながら答える校長。
「違うのよ。プラチナクラスの『空の間』という場所はね、審判の扉という別次元と繋がっている扉で管理されているの。だから普段は開かないようになっているのよ」
「「「え?」」」
「そもそも、あの空の間に辿り着くなんて普通の学院生では絶対に無理なんだけど……まぁ、そこはノアだから仕方ないとして。審判の扉は管理者が出した条件に合う者しか開けることが出来ないはずなのよ。だからノアが入れるわけが……」
「その管理者って誰ですか?」
リリアナ王女も心配そうに確認する。
「ウサジという仙獣よ。私ですら直接会うのは難しい存在なのよ。そして出てくることは不可能ではないけれど、管理者の出題した試験に完璧な答えを出さないと扉は再び開かない。つまり仙獣を納得させる成果を出せるかどうか。ダメだった場合、そのままずっと扉は開かないわ」
「そんな……私がプラチナに行けって言ってしまったから……」
ひどく後悔するミラ王女だったが、ポンポンと落ち込む王女の肩を叩いて笑顔でティアが言う。
「ミラ王女。絶対に問題ないですよ。お兄ちゃんですから」
ティアは全く心配していなかった。
「仙獣だろうが幻獣だろうが、お兄ちゃんには叶わないから。校長先生も全く焦る必要ありませんよ。妹のティアが保証します! そんなことより私たちは適正ランク向けの試験を受けてみましょうよ! 早くランクをアップさせてゴールドになりたいわ」
「ノアってそんなにすごい人なんだね」
ヘンリーが感心している。そう、彼はまだノアの恐ろしさを知らない。
ティアに背中を押されて、四人は早速それぞれの試験を受けに行く事にした。
「ノアが本当に出てきたら、それは逆に学院において大事件となるわね。まぁ、ここは楽しみに彼が帰ってくるのを待ってみましょう!」




