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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第一章 ヒューマニア王国

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第29話 パーティー名は決めてある

 早朝、日課のトレーニングを終えて図書の間で朝食まで読書。食後はロイや王国騎士たちとの剣術訓練に励み、昼食を摂る。午後はリリカの魔土術講義の後に再び図書の間へ。そして完成したばかりのノア工房で研究にいそしむ。途中、かなりの確率でミラ王女がやって来て、ダンジョンに向けての対策や訓練が行われる。夕食後、三度みたび図書の間へ向かう。これが最近のノアの過ごし方である。


 そして数日が過ぎた王家との夕食。リリカが国王に報告する。


「国王、リリアナ王女の魔土術士ソレイジ適正に関しまして、私の見解を述べてもよろしいでしょうか?」


「おお、もう結論が出たのか? 是非聞かせてくれ」



 緊張するリリアナとティア。リリカの一言で人生が大きく変わる。



「リリアナ王女は素晴らしい魔土術士ソレイジの資質をお持ちです。私を優に超える風属性、そしてミラ王女ほどではありませんが聖属性もお持ちです。風属性に関してはまだ制御が完璧ではなく、周囲に危害を加えてしまう恐れがある故、私の方で使用を禁止している程です。このまま訓練を続けて行けば、おそらくヒューマニア王国の中でも一、二を争う腕の魔土術士ソレイジとなるでしょう」



「なんと! それは本当か!」



 驚く国王と王妃。そして思わず信じられないという表情でリリアナを見てしまう。今までなんの主張もしてこなかったリリアナが初めて望んだ魔土術学院への入学、心のどこかで可能性は無いと思っていた国王だったが、真剣に考えることにした。


 複雑な気持ちではあるが、笑顔溢れるリリアナの表情を見ていると、親として叶えてやりたりと思ってしまう。隣に座る王妃と目を合わせ、意思を確認する。軽く頷く王妃だが少し寂しさもみえる。



「リリアナよ。以前話していた魔土術学院へ行きたいという気持ちは今も変わらぬままか?」


「はい。ティアやノアと一緒に入学して魔土術を学びたいです」


「……わかった。まずはリリカの教えに従い、このまま続けてみれば良い」



 国王の一言に、レスタ王子が噛み付く。



「父上! どうしてリリアナが9歳で魔土術学院に入学なのですか! しかもこんな下民と一緒になどと。王族としての誇りはないのですか! 私ですら17歳で入学だというのに……」


 静まり返る大会食の間。国王が怒りで震えている。それをなだめる王妃。

 ロイたちは何も気にしていないが早くこの気まずい状況から逃げたいと考えていた。



「我が命の恩人であり、国の英雄であるロイ一家を下民呼ばわりとは……17歳で入学できたのも王家の名があった故、お前が試験を受ければ落ちるに決まっておるというのに……レスタよ。お前は本当に情けない男だ……」


「そ、そんなことはありません。私は学院でも優秀な成績をおさめております! 現にここまでの試験は学年トップの成績を――」



 ドン!! 国王が怒りに任せてテーブルを思い切り叩く。



「いい加減にしろ! お前が教員に圧力をかけて試験結果を変えていたことを余が知らぬとでも思ったのか!」



「そ、それは……教員が勝手にやったことで……」



「黙れ! 王族としての誇りが無いのは一体どっちだ! ミラが13才という若さで入学し、実力を証明してくれたおかげで王家の名誉を守り、お前の汚名を晴らしてくれているというのに。何もわからずにいたとは……なんと情けない男だ」



「う……クソッ……お前らだ! お前らさえここへ来なければよかったのだ!」


 声を荒げてノアに詰め寄り殴りかかるレスタ王子。ノアが冷静にかわしたところで王国騎士たちに取り押さえられる。


 レスタ王子の数々の暴言もあり、国王の我慢が限界を超える。すぐさまヘンドリックを呼び学院を退学処分にするよう命じ、王子を北東の部屋に幽閉することを決めた。


 このお粗末すぎる展開にミラ王女はため息をつき、リリアナ王女は驚いてティアの左腕にしがみつく。ノアは再び席に戻り、何事も無かったかのように笑顔で食事を楽しんでいた。



 午後、ノア工房にミラ王女がやってきた。ノアがダンジョンで拾った謎のロングソードに何やら改良を加えているようだ。


「ノア、何をしているの?」


「あ、ミラ王女。これは今、ロングソードを磨いてから魔土術を付与しているところです。より強い武器に仕上げようかと思いまして」


「ふ〜ん。そういった鍛治や付与の知識はどうやって習得したの?」


「市場で買った本や城下町コンクーリに住む、物知りボブ爺さんに聞いたり。あとは……まぁ、適当に独学ですね」



 この子本当に十歳とは思えないわ……



「ミラ王女。僕たちの連携を再度確認しておきましょうか。ダンジョン探索もそろそろ始めたいので」


「わかったわ!」



 ミラ王女は聖属性の回復魔土術が得意だが、闇以外なら他の属性もある程度扱えた。剣術の腕もそれなりにあって、正にバランスのとれた後衛として十分な能力だとノアは手応えを感じていた。



「ふぅ〜。いいですね! まずは安全にB()()のダンジョンにモグってみましょう」



(ん? 今、B級って聞こえたような……Dの聞き間違えかしら……)




 一通り連携を確認して、庭園で二人はドサっと大の字に倒れ込んで休憩する。今日は一段と晴れ渡る気持ちのいい空だ。そんな空を笑顔で眺めるノアにミラ王女がボソッと呟く。


「ノアって本当に自然体よね。今日の食事だって一切焦っていなかった。すごい事だわ」


「え? どうしたんですか、急に。食事? 美味しいと思って食べているだけですよ。アハハ」



 これ以上聞くことは無意味だとわかったミラ王女も笑顔で空を見上げる。



「……あ、そういえばパーティー名を決めないと!」



 ミラ王女の一言に笑顔でノアが答える。



「実は……もう決めてあるんです」


「あら、さすがね。私は偽名で参加している身だから、ノアが自由に決めていいわよ」




 ノアが片手で持ったロングソードを空に向かって突き上げる。それに応えるかのように突き上げた剣がキラリと輝く。



「パーティー名は『希望のつるぎ』です!」


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