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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第一章 ヒューマニア王国

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第20話 王国案内、感動の図書の間

ロイたちは謁見の間、大会食の間、執政室、執事室など主要な部屋を案内される。そして図書の間に入った時、ノアはそこに貯蔵された書籍の量に圧倒される。


「うわぁ……これ全てが本ですか?」


「そうよ。これまでの王国の歴史や多種類におよぶ魔土術のグリモワール、ガイアに関して綴られた貴重なものまで、ヒューマニア王国内では魔土術学院に次ぐ規模の図書の間よ」


「「素晴らしい!!」」


 リリカとノアが唸る。リリカは当然ながら魔導書関連に興味があり、ノアは全てに興味があるわけだが、その以上なリアクションにミラ王女もびっくりしてしまうほどだ。


「リリカ、ノア。父の……国王の病の件が解決した後はいつでもこの図書の間を利用してくれて構いませんよ」


「「ええ! 本当ですか!」」


「こら! お前たち、立場をわきまえないとダメだぞ」


 シュンとする二人とロイに笑顔のミラ王女。


「ロイ。良いのです。もちろんロイの家族全員です。

 すみません。今は国王の件を早急に……」


「全力を尽くします」


 あえてロイはそう答えるにとどめておいた。治せるなんて流石に約束はできない。いくらノアでも医療はまた別だ。



 その後、ミラ王女の部屋である第一王女の間も案内される。広すぎて戸惑うノアとはしゃぐティア。ティアが喜んでいるのをみて喜ぶリリアナ王女。



「今回、ロイの家族に住んでいただく部屋がここです」


 ガチャっと扉を開けるとびっくりするほどの広さと豪華さ。とても従者が住んでいいような空間ではない。


「あの……ミラ王女。こちらの部屋を我々が使ってよろしいのでしょうか?」


 ロイが再度確認する。


「構いません。ここは先代国王の間を改築したと聞いておりますわ。今は誰も使っておりませんので。ヘンドリックにも伝えてありますから問題ありません」



「「「せ、先代国王……」」」


「では、みなさんは一度旅の疲れがあるでしょうから休憩なさってください。後ほど使いの者をよこしますので、その時にゆっくりお話ししましょう」



 バタンと扉が閉まる。



 ティアが大喜びではしゃいでいるが、ロイとリリカはちょっと遠慮気味だ。



「……先代国王の間を庶民が寝泊まりしていいのか?」


「あとで周りから文句言われそうね」



 落ち着いたところで、これからの行動を確認することに。


「まず、俺はノアのおかげで左手を使えるようになった。ただ、ずっとは厳しい。しっかりと正確な動作をする前提で考えると、今は五時間くらいが限界だ。だから普段は片腕でいようと思う」



「以前みたいに戦えそうなの?」


 リリカが問う。つまり【黄金の大地】として冒険していたときのようにという意味だ。


「……多分、問題ない。というかマナでできた腕ということを活かして、それ以上の戦い方ができるかもしれない。その辺は訓練してみるよ」



「ティア。リリアナ王女とは仲良くなれそうか? 初めて会った印象はどうだ?」


 ティアが嬉しそうに応える。


「さっき、少し話したよ! リリアナって呼んでる! 私と同じ9歳だからリリアナも嬉しそうだったわ!」



 どうやら問題なさそうだ。ティアの役割は実は大きい。リリアナ第二王女は今回の件で、陰謀に巻き込まれる危険性がある。その際にティアが側にいれば展開は大きく変わる。ティア自身がある程度の魔土術を使えること、マナフォンによって念話で話せることなど、ある程度のリスクを回避できる。



「ティアの今回の仕事はリリアナ王女を守ることだ。でも普段は友達として自然に接するんだぞ。それも大事なことだ」


「大丈夫よ、お父さん。ちゃんとわかってるわ」


 笑顔でティアの頭を撫でるロイ。



「リリカとノアはどうする?」



「まずは国王と王妃に会って挨拶をしてからだと思うけど、しばらくは給仕の人間を当たってみようと思ってる」



「僕は、まず国王の治療が先になるかなと思うんだけど、ちょっとそのことで父さんと母さんに手伝ってもらいたいんだ」



 ロイが二人に治療方法を伝える。



「ノア、それ本当か? だとしたら、国王はうまくいけば完治するな」


「でも、それが首謀者にも知られてしまって、いきなり展開が変わる可能性もあるってことね」



「そう。だからまずミラ王女に相談しようと思う」



「わかった。とりあえず、治療の際は俺たち二人も同席するよ」



「ティアも一緒だよ!」




 * * *


 ――トントン


 ノックの音がしてメイドの声が聞こえる。


「ロイ様、ミラお嬢様が奥の間でお待ちです」


 メイドの案内で奥の間へ向かうロイ達。そして広間のソファーに座ってミラ王女とリリアナ王女がお茶をたしなんでいる。茶会ってこういうものなのかとノアは想像する。


「ロイ、皆も。ゆっくり休めましたか?」


「私たちには勿体ないほど素晴らしい部屋をご用意いただき、誠にありがとうございます」



 ミラ王女に勧められてソファーに座るロイ達。ティアはリリアナ王女の隣に座った。リリアナ王女も嬉しそうだ。



「さて、今後の事でお話をしたいのですが。先にお伝えしておきたい事があります」


 ミラ王女の声が少し低くそして重くなったような気がした。


「実は国王の容体ようだいが更に悪化しました。今は寝室で横になっています。医療魔土術団がずっとつきっきりで診ていますが……やはりダメです」



 ミラ王女がノアの方を向く。何が言いたいかは皆分かっている。


「ミラ王女。国王のことは我々も急を要すると理解しています。この後、ノアを中心としてできる限りのことすべて出し切って、国王をお救いする所存です」



「ありがとうございます。どうか、父をよろしくお願いします」



「ただ、まずはミラ王女に今後の計画について共有していただく必要がございます。ノアより、順を追って説明させてもよろしいですか?」


 ロイが冷静に話をまとめる。



「はい。もちろんです」


 ロイがノアの方を見て頷く。


「それでは、ミラ王女。まずはこちらのイヤリングを身につけていただけますか? 耳飾りがダメなら、身体のどこかに触れていれば問題ありませんので」


 ノアがマナフォンを渡す。



「付けましたわ」


「ありがとうございます。それではそのイヤリングにミラ王女のマナを流していただけますか?」



 そう言ってノアが広間の端へスタスタと歩いていき、そこから念話で話しかける。



《ミラ王女、聞こえますか? ノアです》



「えっ! これはどういうことを⁈ 」



《ミラ王女、ロイです》


《リリカです》


《ティアです》



《ミラ王女、これは念話です。マナを通して会話ができるマナフォンというアイテムをつくりました。王女も試してみてください》



《み、みなさん。聞こえますか?》


《聞こえます。成功ですね。これで我々四人とミラ王女は王宮内をこの念話でいつでも連絡が取れます》



 念話を解き、目を大きく開けてノアを見る。



「ノア、あなた本当に何者なの? 凄すぎるわ。こんな技術、王国の研究者や技術者でもつくれないわ。いや、思いつきもしないわ!」



「超級魔土<レアラ>を頂けたおかげですよ」


「兎に角、このマナフォンがあれば、危険が迫っても連絡できるし、相手にも気付かれない」


「このことは誰にも言わないでください。ヘンドリックさんにも。知っているのは我々とミラ王女、リリアナ王女の6人だけです」


「えぇ。わかったわ」



 次にノアは国王の病に関して自分の見解を伝える。


「国王は何者かによってマナの流れを止められていると先日お話しました。これから、国王のご都合で構いませんのでそのマナの流れをもとに戻す治療を行おうと思っています」


「えぇ。すぐに国王に確認をとるわ」



「その際、注意点としてお伝えしておきます。国王は今現在も誰かにマナの妨害を受けています」


「妨害?」


「そうです。その誰かこそ、今回の首謀者のうちの一人です」


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