21 使い魔
俺とカイネは被害者への聴取を終え、使い魔の授業を受けていた。使い魔とは、自身の魔力を使い召喚する魔獣の事だ。その用途は様々で、日常生活から戦闘まで幅広く活躍しているらしい。
「俺もドラゴンとか召喚出来ないかな〜」
「召喚出来るわけないでしょ。ドラゴンなんて人間に懐くことが無いんだから仮に召喚できたとしてその場で食い殺されて終わりよ」
ちょっと冗談で言ってみただけなのにこのちびっ子マジレスしてきやがる。
「ところで、アンリさんは今日居ないの?」
教室を見渡してもアンリの姿が見えなかった。
「アンリ様よ!庶民が王女様をさん呼びなんて処刑されても文句言えないわよ!気をつけなさい」
たしかに貴族の前でさん呼びは迂闊だったな。下手したら大事になっていたかもしれない。反省すべき点だな。
「アンリ様は今日は陛下にお呼ばれされ、城に戻っておられるわ」
へぇ、流石王女忙しそうだな。
「そこの2人!何を喋っているんだ!ワシの授業中にいい度胸をしておるの」
俺達が喋っていると、教師のペルトル=ヴィートさんに怒られてしまった。使い魔授業の教師ペルトルさんは使い魔のスペシャリストらしく国からの要請でこの学院で授業をしているらしい。だが、俺はこの教師の見た目があまり好きではない。これは俺の性格が悪いだけの可能性があるのだが、禿げた頭に何本かかけている歯が見えていた。首をポリポリかくたびになにかがポロポロ落ちている。ちゃんと風呂入ってんのか?
「すいません。俺が喋りかけてしまいました。これからは気をつけます」
「ふん!女と喋れるからと言って調子のりおって。これだからオスガキは嫌いなんだ」
コイツなんなんだ?そこまで嫌われる理由ないぞ。落ち着け俺、ここできれても意味が無い。
俺が再度謝った事で授業が再開された。
「今日はここまでとする。さっき出した宿題は次までにしてくるように。そして、ルクス=ステルラ!貴様は皆の2倍の量を出しておいた。絶対やって来いよ」
何故かペルトルに目の敵されているせいで宿題が2倍の量にされてしまった。ちょっと授業中に喋っただけで2倍の量なんて横暴だ!
俺はグッと感情を押し殺して居るとカイネが話しかけてきた。
「ごめん。私の声がおおきかったから。しかしペルトル先生のあの態度良くないわね。あんた何かしたの?」
「何もしてないよ。あれだな、可愛い女の子と話してたからきっと嫉妬しちゃったんだよ」
そんな冗談を言うとカイネは顔を赤くして、バカ!と言って自分の部屋に戻ってしまった。
俺は部屋に戻る前に腹が減ったので飯屋に寄ってから部屋に戻ろうとした。
寮の近くに来た頃視界の端で何かが動く。それはまるで犬の様な獣だった。その獣は恐ろしい速さで寮の方面へ走っていった。
なんだ、あの獣は。追いかけよう。
俺は獣を追いかけた。獣を見逃さないように俺は集中して、追いかける。そして、寮にたどり着いた時俺は気づいた。そこは女子寮だったのだ。
なんで女子寮に?俺は頭をフル回転させ推理する。
被害者の部屋に落ちていた獣の毛。あれはまさかこいつのか。
俺が推理していると、その獣はある部屋の壁に身体をクネクネと押し付けている。
何をしているんだ?小便でもかけるつもりなのだろうか。
俺の考えはハズレた。なんと獣の身体が壁にメリメリ入り込んでいった。
おいおい!なんだあの某魔法洋画の駅のシーンみたいな光景は!
俺は数分外で待っていると、獣が壁からメリメリと這い出てきた。そしてその口にはパンツが咥えられていた。これは確信犯だ。俺は獣を捕まえようと動いたが、俺が動く前にとんでもない速さでまた移動してしまった。
クソ、にがさんぞ!
俺は獣を追いかける。すると獣はある部屋の前で止まる。
おいおい、ここは流石にヤバいんじゃないか?
そう、獣が止まった部屋はこの国の王女アンリ=シュバイツの部屋だったからだ。
アンリは今城に戻っていて居ない、監視員も部屋の入口にしか居らず、部屋の裏までは警戒していなかった。
そして、獣はアンリの部屋の壁に身体を押し付ける。
流石に見逃せないな。
俺は獣を捕えようと獣の身体を掴み、壁から引き離そうとする。しかし、中々引き剥がせない。獣の身体が半分まで部屋に入ってしまっている為剥がすのが難しい。無理に引っ張ったら獣が半分になってしまう可能性がある為力づくで引っ張る事もできない。
獣との引っ張り合いに苦戦していると、俺の身体もメリメリと壁にめり込んでいた。そして、獣が勢いをつけて部屋に入った。その勢いにより俺自身も部屋に入り込んでしまった。
高級品の家具で溢れているその部屋はまさしく王族の部屋に相応しかった。
俺が部屋の中を見渡していると、獣がタンスを開けアンリの下着を加えていた。
なんとまぁ、いやらしい下着だ。黒いレースのパンツを口に咥えた獣が部屋を出ようとした。
急いで捕縛魔法を発動し、獣を捕え口からパンツを剥がし取った。
よし、これで一件落着だな。
そう安心した瞬間アンリの部屋の扉が開かれる。
そこには頭に三角巾を被り掃除道具を持ったカイネが青ざめた顔でこちらを見ていた。俺は驚き、獣から手を離してしまい逃がしてしまった。
あーあ、これ詰んだ臭くないか?
俺は覚悟を決めた顔でカイネと向き合った。




