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ポナの季節  作者: 大橋むつお
56/92

56『SEN 4・8デビュー!』


ポナの季節・56

『SEN 4・8デビュー!』    







 ものには裏表があるように、運にも裏表があるのかもしれない。


 ファイブスターは、みなみの父の会社の社員バンドで、古手のヘブンリーアーティスト。

プロになろうなどという色気など無いオッサンバンドだ。下は係長から上は部長までいたが、鳥取の境港に急きょ来航が決まった中国の豪華客船の爆買いに対応するためにメンバーの半分が動員され、あらかわ遊園で予定していた公演が出来なくなったのである。

 そもそも、この中国船は境港への来航予定は無かったが、マーズのため釜山寄港を取りやめて、山陰の中規模都市への寄港となった。韓国の不幸が日本に恩恵をもたらした格好で、会社にも目出度いことだが、ファイブスターにとっては不幸な公演中止になった。機材の搬送も終わっていたので、もったいないということになる。そこにSEN4・8が初デビューの機会を探していたので、みなみの父を通して場所も機材も全て譲ってもらうことができることになったのである。


 ゆりかもめの一群が、さっと川面を撫でるようにして、空へ躍り出た。


 それがきっかけのように、揃いの新品ステージ衣装に身を包んだSEN4・8がアリスの広場のステージに駆けのぼった。


「みなさーん、こんにちは! SEN4・8です! 昨日までは、こんなステージで初公演が行えるなんて思ってもみませんでした……」


 MCを兼ねたボーカルの安祐美が、元気よく挨拶し、この幸不幸のでんぐり返しの話を面白く説明。観に来ていたファイブスターの残留組にご陽気に挨拶。そしてコスを提供してくれたバンドの遺族の人たちには、心からのお礼をこめて全員で頭を下げた。


「それでは、SEN4・8初の曲を聞いてください。プリンセスプリンセスの『ダイアモンズ』です!」


 三曲が終わってトークになったころには、すり鉢状の観客席は満員に近くなった。中年以上には懐かしく、若者には新鮮なサウンドだった。


「SENのSEは世田谷女学院を、Nは乃木坂学院を、で、4・8がミソでーす! みんなの五段階評定の平均(笑)といいたいんですが、4は世田女の、8は乃木坂の所番地ですね。その何丁目かを入れました。なんでかってゆーと、SENだけじゃ寂しいから(笑) センと読んでもらってもSENと読んでもらっても結構でーす。4・8も自由に読んでください。ではメンバー紹介……」


 一人一人紹介するたびに拍手が起こる。五人のメンバーは、もう最高の気分。観客との一体感も高まって来た。


「では、後半三曲がんばりまーす!」



 けっきょく、アンコール込みで五曲歌ってデビューを終えた。


「これ、今日の投げ銭だよ」

 ファイブスターの残留組というか、元メンバーの専務が段ボール箱を差し出した。

「え、いつの間に?」

「わ、こんなにたくさん!」

「みんなヘブンリーはやってるよ。で、お願いなんだけど」

「なんですか?」


 専務はニッコリ笑って、後を続けた。




ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。

佐伯美智  父の演劇部の部長

蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒


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