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ポナの季節  作者: 大橋むつお
34/92

34『Person Of No Account ③』     


ポナの季節・34

『Person Of No Account ③』     



ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとった新子が自分で付けたあだ名





 出たあああああああああああああ!!


 三人はポナを先頭に、狭い裏口では一ムギュっと詰まって、次の瞬間はじき出されたように旧講堂を飛び出し、グラウンドを横切り、中庭をつっきり、ピロティーを突き抜け、正門まで逃げてしまった。


「……で、出たって……なにが?」

 由紀が意外なことを聞いてきた。

「せ、生徒よ、女生徒。お下げの後姿で、前の席に座ってたでしょうが!?」

「あ、あたしは見えなかった」

「じゃ、なんで叫んで逃げ出したのよさ……?」

「だって……」

「ポナが逃げ出すんだもん!」

「叫んだのもポナが最初だし」

 奈菜が口を尖らせる。


「じゃ、見えたのは、あたしだけ?」

 奈菜と由紀が顔を見合わせる。

「……のようね」

「じゃ、なんか幻覚でも見えたんだろうね……だよね? だよね?」

 同意を求めるような眼差しでポナは、二人の親友を上目づかいに見た。

「いや、あれはポナ……ほんとに見えたって感じだったよ」

「あ、それに、こんなこと言っちゃなんだけど……ポナの靴片方無いよ」

「あ、裏口で押し合い圧し合いしてる時に……」

「脱げたんだろうね」


 由紀が他人事のように言い。事故の時のテレビインタビューを受けた目撃者ように奈菜がコックリした。


 ポナのすがり付くような眼差しに、旧講堂の裏口までは付き合うが、中にはポナ一人が入ることで話がついた。

 逃げる時は、まるでリニアモーターカーのようだったが、再び旧講堂に戻る時は、とろくさい各駅停車のようだった。


「失礼しまーす……」

 裏口から五十メートルは離れている由紀と奈菜をしり目に、ポナは裏口を開けた。


 予想に反して靴は裏口のあたりにはなかった。目が慣れると、舞台の真ん中、胸の高さあたりで靴がプラプラしているのが分かった。


 やがて、靴を持っている手、腕、体、そしてお下げの顔が明らかになった。



「あたし、浜崎安祐美。よろしくね!」


 お下げ髪は、弾むような明るさでポナに迫ってきた。





ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長


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