#70
ご無沙汰を……しております……。
……アークレイダーズって、面白いっすよね。
暗く暗く、耳鳴りすらしないであろう静謐な空間に、浅く弧を描く一本の光の線が音も無く引かれてゆく。
それはやがて、暗黒に浮かぶ巨大な球体をその光の線で描き出したかと思うと、もはやレーザービームのような強烈な陽光が第856号建艦計画型の視覚素子を焼いた。なのです。
『こっぴどくやられてるでゴザルなぁ』
それは音も無く本艦の後を一列になって追いかける、27番艦からだった。 積層世界早期警戒艦から定時戦術情報配信を受信したのだろう。
本艦たちをシステムロックした第921号建艦計画型たちが意気揚々とセレスメアの義勇艦隊(笑)に挑んで、大気の影響により機能不全に陥った挙句、今将に沈められかけている。
『第921号建艦計画型、衛星軌道上から狙撃してるだけで良かったでゴザルよね』
27番艦が正直な感想を述べるのに、298番艦が反論する。
『……多分、星征艦隊統帥部の、命令』
つまり、星征艦隊統帥部に次元潜航機関の性能テストを命じられていたのだろう。
『それだと、宇宙戦用の第921号建艦計画型じゃ流石に艦隊相手は荷が勝ちすぎるではゴザらんか?』
確かに。どんなに高性能な艦でも、囲まれて袋叩きにされたら、隔絶した技術格差を持って製造された無敵の装甲と一撃必殺の兵器を持っていない限り、単艦で艦隊を相手するのは至難だ。そして、星征艦隊は技術面で幾分アドバンテージが有るとはいえ、本艦たちの持つ変換放射装甲は無敵では無いし、真空中でしか最高効率を出すことが出来ない。
主砲の攻撃力だけなら第921号建艦計画型が圧倒的に有利だったとは考えられるけど、最初の一撃を偶発的な何かで防がれてしまっては、第921号建艦計画型にとっては厳しい戦いになったのは間違いがない。
「アーカイブの第921号建艦計画型のデータを見るに、相手が進入禁止区域に入るまで十分に引きつけてから次元潜航して敵艦隊の側面を取って一撃を加えていたのなら、多分初手で勝負が決まってたと思うわ。なのです」
星征艦隊が収集している各天上大陸の航空艦のデータを見てみると、大抵は前面防御装甲が過剰なまでに分厚く造られている傾向がある。これは航空艦特有の事情が関係していると思われる。
航空艦はそれこそ遮蔽が何もない高空を航行するから、不意打ちなどの側面攻撃を殆ど気にしなくて良いのだ。もし、地面の上を飛んでいたのなら突然真下から対空攻撃が飛んでくることもあるだろうが、それには密な地上監視と十分な予備爆撃をもってすれば事前に防ぐことができるし、例え撃ち漏らしがあったとしても十二分な対空砲火の備えがあれば敵火砲が到達する前に空中迎撃が可能だ。
つまりは、一番警戒すべきは自身の装甲を貫通できる威力の対艦砲を持つ敵航空戦艦であり、その航空戦艦と相対する時は当然自身も正面を向いておくべきだからこそ、側面の装甲は無駄になることが多いのだ。
対して、側面装甲まで分厚くしてしまうと、限られた容積重量の中に全ての装備を詰め込まなければならない航空戦艦にとって、過剰な側面装甲は多大なデッドウェイトに成りかねない。
因みに衛星軌道を制空下に置く星征艦隊に対する戦闘も視野に入れるなら、天上大陸の航空戦艦は上部装甲こそ分厚くするべきだが、これも艦を衛星軌道に向かって正立させると言う荒技を使えば、結局装甲は敵に向ける正面だけ厚くすればいい、と言う結論に至ると言う訳。
その為、総じて天上大陸の航空戦艦は正面装甲以外が薄い傾向にある。決してペラペラと言うわけではないが、正面装甲に比べて明らかに桁がひとつ分は薄い。この薄い側面装甲を突くことができるのが第921号建艦計画型の次元潜航能力なのだが、余程その強力な主砲に自信が有ったのか、それとも主砲砲撃中毒だったのかは判然としないが第921号建艦計画型はその長所を積極的に活かそうとしなかった為に今の様な状況に陥っているんだと思う。
『……設計思想は、大事』
298番艦が『……あいつら結局は主砲が強い潜水巡洋艦、なんだし』とボソリと呟くように本艦の私見を要約したのを聞いて、すかさず27番艦が別の所に噛み付いた。
『298番艦、最近第856号建艦計画型専用通信プロトコル破り過ぎでゴザル。ちゃんと個性を出さないと個体識別で混乱するでゴザル』
『……諸般の事情、だって』
何処か面白くなさそうな27番艦が口を尖らせるが、298番艦はどこ吹く風だ。
「降下開始座標まで距離1万。全艦減速用意。なのです」
まだ大部分が夜の帳に沈む眼下の真っ黒い球体を眺めつつ、カウントダウンを開始する本艦の通信を聞いて27番艦と298番艦がそれぞれ了解を告げる。
『減速用逆噴射ロケットモーター、システムチェック宜候でゴザル』
『……遮熱シールド、展開』
第921号建艦計画型のポカは、寧ろ本艦たちにとっては喜ばしい事。
第921号建艦計画型の鼻をあかせるという事よりも、本艦たちにとっての経験値獲得の余地が残っているところである。更に言えば、義勇艦隊(笑)の人的被害が少な目な所も幸いしている。けして、うんこ猫の意思に従っているわけではない。全てはライラ様の為。
「各艦へ。最終ブリーフィングよ。
減速開始点到達と同時に、各艦減速用固体燃料ロケットモーター点火、一次減速開始。一次減速は高度八万メートルまで減速率560m/secを維持。ロケットモーターの燃焼時間はキッカリ48秒間。
良い?燃焼時間は48秒だからね?それ以上ロケットモーター燃焼させちゃうと、本艦たちの耐G設計限界を超えちゃうから、空中分解しちゃうわ。ちゃんと48秒キッカリで燃焼終了させるのよ!
あと、燃焼終了後もロケットモーターは切り離ししない事!後ろの艦に当たっちゃうから。切り離すのは縦列編隊を解いた後よ!
以降、大気減速で降下しながら高度二万メートル付近で主機推力による水平飛行へ移行する。水平移動距離約1,900km、推定所要降下時間720秒。水平飛行移行後は偏向位相電磁境界面を前面展張しつつ、単縦陣にて緩降下。
随時、偏向位相電磁境界面が飽和する前に隊列を入れ替えながら敵艦に接近し、敵艦の背後から敵艦頭上を通過する。
敵艦頭上通過の際に、強行強襲型パッケージ装備の自立型戦闘用艦載機と自立型工作用艦載機を投下。高高度降下低高度傘開で強行移乗させるわ。
リーゼ君たち降下後は最大機首上げで急上昇して、ファムアルフートたちの主砲から逃げるのよ。
この時、逃げる前にリーゼ君たちの降着地点を入念に掃除する事。
後は降着したリーゼ君ズとシュピちゃんズが敵艦内に強行侵入して、敵艦を制圧するわ。
リーゼ君ズとシュピちゃんズは強行強襲型パッケージを装備させるけど、装填弾薬は全て非殺傷弾頭にしてね。
これはライラ様の名を血濡れにしない為の絶対条件だからね。各艦厳守する事。
間違っても敵艦内で死者を出してはダメよ。怪我人が居たら積極的に助ける事。
制圧する艦の割り振りは、本艦と298番艦が敵旗艦・ファムアルフート、27番艦がオースピスキスを担当すること。
以上、宜しい?最終ブリーフィング終わーり。なのです」
それぞれから了解を告げる通信を受信して、暗黒の静謐の中を息を潜めるように待ち続ける。
やがて眼下の黒い球体が、まるで表面が剥がれ落ちていくように、陽光に照らされて鮮やかな青色へと変化するのを艦外の視覚素子で捉えながら、前方に存在する見えない線を見据えていると、その瞬間はすぐにやって来る。
「各艦、減速開始!なのです!」
本艦がそう発信するのと同時、一列に隊列を組んだ各艦から逆噴射固体燃料ロケットモーターに点火した旨を知らせる信号を受信する。
本艦も主翼の付け根に増設した固体燃料ロケットモーターに点火。
点火成功。減速開始。
音も無く船体が軋み船体の構成材が不気味に擦れる音を、集音素子が構成材自体を伝わってくる振動として検知する。
視覚素子は激しく炎を吹き出すロケットノズルの映像を捉えているのに、集音素子にはまるで衣擦れのような音しか入って来ない。
不思議な感覚だ。
いつもは音は外からやって来るのに、今は外が真空なせいか、音が本艦の船体の中からやって来る。
その不思議な感覚が何度か体験した感覚のように思っていたのに、ふと、そう言えばこれが本艦の初めての大気圏突入なのだ、という事に気が付いた。
うんこ猫に撃ち落とされた時のは機能停止していたのでノーカン。
これが本艦にとっての、初めての大気圏突入なのだ、と気が付いた事で、先ほど感じた『不思議な感覚』と言うものが本艦の記憶なのか、それとも戦術ネットワークを介して齎された記憶との比較なのか、それが曖昧になっている事に驚いた。感覚の記録データの記録日を調べればすぐにその記憶が誰のものだったのかはすぐに判ると言うのに、その作業に思い当たるまでに不覚ながら時間がかかってしまった。
それが、あのうんこ猫の薫陶によってもたらされたかもしれないことだけは少し癪だが、本艦が前よりも高度な演算を行った結果、戦闘機械としての一部機能に妙な機能低下が見られる気がして、なんとも喜んでよいのか悲しんでよいのか。
どれもこれも不思議な感覚。
『何嬉しそうにしているでゴザルか?』
『……気持ち、ワルー』
そんなことを考えながら次第に空力加熱で赤みを帯び出した視覚素子の受像を眺めていると、後続の2艦がそんなことを言ってくる。
そうか、後続の2艦は大気圏突入、初めてじゃ無いんだ、と考えた瞬間に、不意に何やら反発の様な感覚が演算素子から出力されて、思わず変な笑いが出てしまう。
この感情、なんて言うんだろう。後で検索しよう。
『空力加熱で排熱異常起こしてないでゴザろうな?』
『……気持ち、ワルー』
そんな不思議な感覚を弄びながらも、プロセスの隅で、カウントダウンが進んでいく。
「全艦、逆噴射ロケットモーター燃焼終了!なのです!」
途端、船体が何か大きな力で押された気がした。
機体が不意に不規則に傾く。
不意に感じた理不尽な落下感に、慌てて藻掻くように補助翼を動かすと、船体中央から後方に大きく広がる巨大な主翼が、力強く大気を掴んだのを感じた。
頼もしい何かを掴んだような気がしてまた変な笑いが出る。
ああ、面白い。何て表現すれば良いのか。これも後で検索しよう。
それは何処か、本艦が居るべき場所に戻ってきたような感覚。
『本当に機能不全に陥ってないでゴザルか?』
『……気色、ワルー』
「壊れてないわ失礼ね。……ほら、ちゃんと高度計見ておいてよ。主機始動高度まで残り1,000、燃料凍ってないわね?」
敵、相対距離50,000m。
『大丈夫でゴザルー』『……無問、題』と言う気のない返事を背後から受けながら、自身のステータスもチェック。テストでフューエルバルブから少量の燃料を吹き出してみる。ちゃんと航空燃料がガス状になった。問題無し。
「全艦、フューエル・インジェクション、プリロード!」
点火モード、ラムジェット。
衝波制御角最適化。
圧縮機側吸気口、閉鎖確認。
衝圧筒側吸気口開放。
主内燃推進機関燃焼開始。
「主機点火!繰り返す、主機点火!」
瞬間、船体が震えた。
胴体中央、格納庫の真上に配置されている4つの二重効用式複合型圧縮噴流推進機関に火が入る。燃焼筒内温度正常。異常なし。
減少するばかりだった速度計の数値が一瞬戻る。
現在速度1,572m/s。
対流抵抗で計算よりも少し速度が落ちすぎている。このままではファムアルフートたちの対空砲火に有効な照準時間を与えてしまう。更に速度を上げる必要がある。
「各艦へ!予想よりも大気密度が濃い!速度が落ちすぎてる!増速するわよ!全艦、衝波滑翔機構有効化急いで!主機、過給運転よーい!なのです!」
機首角度マイナス2度修正。機体傾斜3度修正。
衝圧降翼展開。
衝波滑翔機構有効化。
二重効用燃料噴射開始、主機過給運転開始!
敵、相対距離30,000m。
展開した衝圧降翼が前方からの気流を船体下面に誘導し、超音速巡航によって発生した衝撃波がそれを圧縮。機体下面で発生した圧縮空気が機体を押し上げ始める。
二次燃焼用燃料噴射機によって実質的に熱量と排気量が倍増した四基のスクラムジェット・エンジンが構成材越しに甲高い唸り声を上げているのを集音素子が捉え、その唸り声はまるで本艦の尻を蹴飛ばすように、船体をさらに前にと推し出してゆく。
『27番艦より124番艦へ。主機点火成功。二重効用燃料噴射開始、主機過給運転開始。124番艦に速度合わせるでゴザルよー』
『……同じ、く』
戦術データリンクで各艦の速度を同期しながら、パルス・ドップラー・レーダーで測距を開始する。
敵、相対距離10,000m。
相対高度差約3,000m。
まだ高度が高すぎる。対空砲火を避けるためにもファムアルフートたちと同高度で侵入して、ポップアップ機動で離脱するのが理想。
「高度3,000下げるわよ。最後にポップアップしつつ高高度降下低高度傘開開始。大気密度が急激に変わるから衝波滑翔機構調整して失速に注意!なのです!」
後ろから了解の発信を捉えつつ、偏向位相電磁境界面を展張しながら急降下する。
後ろの二艦がちゃんと従いて来ているか確認していたらパルス・ドップラー・レーダーに感あり。
敵対空砲火だ。
兵器の本能が危険を叫んで、どうしても敵対空砲火を避けたくなるのを、避けちゃダメ、と寸での所で押し留める。
回避行動を取るとその分、ファムアルフートたちに到達するまでの時間が延びるので、その分余計に対空砲火を浴びる事になるから。
意を決して一面に広がるレーダーフリップの分厚い壁に突っ込んだ。
『124番艦!ローテションするでゴザル!』
ファムアルフートたちの対空砲火が一番薄いであろう真後ろから進入しているのに、とんでもない量の弾幕が飛んでくる。
数秒もしない内に本艦の偏向位相電磁境界面ジェネレーターが悲鳴を上げ始め、外郭の変換放射装甲板に鈍い激突音が連続し出し、受けた衝撃を変換放射装甲板が光と熱と音に変換して大気中に放出したせいで、本艦は襲い来る対空砲火の曳光弾よりも眩い光を放ちながらも、猛然と飛翔を継続する。
これが対空砲火が一番多いファムアルフートたちの正面から突っ込んだら、と思うとゾッとする。
「ごめん、ローテーションお願い!なのです!」
高度を下げつつ、デネボラたちを追い越させて編隊の最後尾に遷移して、偏向位相電磁境界面ジェネレーターを再チャージ。変換放射装甲板の冷却を開始する。
大気圏内戦闘を想定した第856号建艦計画型には専用の対流冷却機構が装備されているから、冷却開始と同時にどんどん変換放射装甲板の蓄積したエネルギーを奪って、放射する光も弱くなる。
代わりに先頭の27番艦がホタルみたいに眩い光を放ちだした。
『うおっ!!!ナニコレガチヤバァ!』
編隊の先頭に立ってファムアルフートたちの対空砲火を一身に受けた27番艦が引きつった声を上げる。語尾も忘れる程、ファムアルフートたちの対空砲火はヤバすぎる。
『……ローテー、ショーン』
『ひいいぃぃぃぃぃ!でゴザルー』
27番艦がホウホウの態で後ろに下がり、代わって298番艦が前に出る。
『……ヲ゛ッ、ホ♡』
『変な声出すなでゴザルゥ!』
偏向位相電磁境界面ジェネレーターを再チャージしながら27番艦がツッコむけれど、まぁ、あの濃密な対空砲火を食らったらビックリしちゃうかも。
「27番艦、偏向位相電磁境界面ジェネレーターのリチャージ出来てる?!298番艦、ローテーションしながら本艦の後ろについて!相対距離3,000でホップアップ機動行くわよ!なのです!」
『オーキー・ドーキー!でゴザル!』
『……イージー・プッシー、レーモン・スクイィージィィィィ』
『それ!ピージー、でゴザろう?!?!安い女になってるでゴザル!センシティブ警察でゴザル!!!』
初めての実戦環境下で演算素子に過負荷が掛かっているのか、27番艦もキッレキレ……いや、298番艦の何かのタガが外れてるだけ?
そんな僚艦の軽口を聞きつつ、物凄い速さで減っていく相対距離の数値を確認しつつ、ゴーサインを出す。
「散開!なのです!」
そう発信した瞬間に船体を左に傾斜させながら機首上げ45度。
27番艦が右に船体を傾斜させてオースピスキス目掛けて上昇していくのを横目で追いつつ、本艦を追ってきている298番艦との距離を、戦術データ・リンクを使って調整する。
「降下位置間もなく!降下用意!――降下!降下!降下!」
発信すると同時に船体尾部のエンジンノズル下に設けられた2つの気密ペイロードを開放すると、本艦の合図と共にリーゼ君たちが勢い良く滑り落ちていく。
真っ黒なタマゴ型に変形したリーゼ君たちが、次々に空中で滑空翼を展開しながらファムアルフートの上部甲板に向かって殺到する。
「予備爆撃開始!増装クラスター爆弾投下!なのです!!!」
大気圏突入前からずっと船体底部と主翼下ハードポイントに抱えていた三発の2,300kg自立誘導式クラスター爆弾散布機が、ロケットモーターに点火して、ファムアルフート目掛けてかっ飛んでいく。
途端、ファムアルフートの対空砲火が本艦と298番艦が放った計六発の増装クラスター爆弾に集中する。
偏向位相電磁境界面ジェネレーターを持たない増装クラスター爆弾が猛烈な対空砲火に晒されて、空中で次々に火を吹き始めた。
高度を上げながらファムアルフートの真上を通過しつつ、それはさせじと、間髪入れずに298番艦と共に主砲と副砲の斉射を開始する。
増装クラスター爆弾を狙っている対空砲を集中して狙ったのに、増装クラスター爆弾六発の内、四発が呆気なく空中で爆散してしまう。
「どんだけ対空砲台積んでんのよ!なのです!!!」
しかし、なんとか砲火を免れた残りの二発が完全に撃ち落とされる前に大量の子爆弾を撒き散らすことに成功した。
ファムアルフートの頭上で撒き散らされた1,000発近い子爆弾が、予めロックオンされた高脅威目標に自立誘導で殺到する。
各所で連鎖する爆発。破壊されるファムアルフートの対空砲火群。それでも子爆弾の数が足りなかったのか、更にはその子爆弾すら迎撃されて、かなりの数の高角砲が機能停止に陥らずに残ってしまう。
「298番艦!旋回して残った高脅威目標を潰すわよ!なのです!」
増装クラスター爆弾を切り離したおかげで軽くなった船体を翻して、エアブレーキを使いながら急減速しつつ、機体を傾けながら旋回を開始する。続けて主砲と副砲を撃ちまくる。
増装クラスター爆弾を狙っていた高角砲群が降下中のリーゼ君たちを狙うか、本艦たちを狙うかで迷いを見せる中、リーゼ君たちを狙おうとしている高角砲を集中して潰す。
本艦たちは多少狙われても偏向位相電磁境界面で防げるが、リーゼ君たちは主に機体容積の関係で偏向位相電磁境界面ジェネレーターを持っていないのだ。比較的小口径の対空砲を一発被弾しただけで機能停止してしまう。しかも今のリーゼ君たちは降着モードに入っているから反撃も回避もできない。
『27番艦より124番艦へ!リーゼ君たちの降下に成功したでゴザル!繰り返す!降下成功でゴザル!損耗なし!なんかオースピスキス、対空砲撃ってこなかったでゴザル。現在上部甲板上を制圧中!でゴザル!』
『ファムアルフートは対空砲火が激しすぎてリーゼ君たちの被害が拡大してる!この艦造ったヤツ、飛翔物体に親でも殺されたのか?!って思うくらいとんでもない数の対空砲台持ってるわ!一体全体、対空砲何千機積んでるのよ?!将にハリネズミって感じ!リーゼ君たちの損耗率が3割超えた!余裕あるならコッチ手伝って!なのです!』
オーキー・ドーキーでゴザル、と言う通信とともに27番艦からの支援砲撃がファムアルフートの対空砲台の幾つかを破壊するも、その間にも未だファムアルフートに向かって滑空を続けるリーゼ君たちが次々と墜とされていく。
それに伴いリーゼ君たちから次々と上がる被害報告がどんどんと切迫度を増す。
なんとか、なんとかリーゼ君たちを護らないと!
『カックウヨクケッソン。ヒコウケイゾクフノウ』
『ソウコウカンツウ。メインフレームハソン』
『アディオスウンコムスメズ』
『オレタチノシカバネヲコエテユケ』
『マァオレタチコタイガイネンナイカラ、イクラデモオカワリデキルンダケドナ』
『ウチアゲカイジョウデアオウ』
『ライセハライラサマノクツシタニナリタイ』
誰がウンコ娘じゃい!
あと最後のヤツ!あとでお前の個別キャッシュ、全部リセットしてやる!
基本、この話は格好いい単語並べたかっただけです。




