第4戦 学校へ行こう(中編)
簡単に学校説明をするため職員室の自席に座る大輔の目の前には、
ボクサーのような構えで立っている少女がいた。
「どうかしたのかな?戦時さん」
「なんでもないわ、気にせず続けて」
なお、前回のことがあり、紫苑は大輔を威嚇している訳ではなく周囲を警戒しているだけである。
「なんでもないようには見えないけど…。ちょっとまってね、じゃあ簡単に、これが学校のお約束が書いてあるプリントなんだけど、特に重要なことがあ…って、なにしてるの!!!?」
「なんでもないわ、気にせず続けて」
プリントを取り出すため目を離した一瞬の隙に、紫苑は油性ペンを手に持ち大輔の頭に何かを書いていた。
「なんでもあるわぁあ!!!え?何したの?今、何してるの?」
「髪の毛を生やしてあげようと思って」
「なんで急に!?てかそんなこともできるの!?」
「嫌だったかしら?」
「…嫌じゃないけど、むしろ嬉しいというか?」
大輔は脱平凡のため勢いで坊主デビューしたはいいものの、平凡が一番だったのでは…そもそも坊主似合わないし、と少し後悔していた。
「おわったわ!先生!鏡を見てちょうだい」
達成感で嬉しそうな様子の紫苑をよそに、たった数秒で何が変わるというのか、本当に、全く、やれやれ、と思いつつも少しだけ期待に胸踊らせニヤニヤした大輔が手鏡を取り出した。
「ん?どれどれ、、これは…!」
「時間の都合上、1本しか生やせなかったわ☆」
「いらないよ!!!というか波打たせる必要なかったよね!?これじゃあの有名な一家のお父さんだよ!!心無しか顔も丸くなってる気がするんだけど、気のせいかな!?」
と大輔は言いつつも、それでも1本でも生やせるなんてすごい能力だなぁと頭を撫でたが、そこに髪の毛の感触は一切なかった。
「…なんで?」
「磯○家式トリックアートよ☆」
※2本目以降は有料サブスクとなります。
「いらないよ!!!!!」
紫苑は赤レンジャーを目指しているだけで魔法使いではないのだ。基本的に物理である。
「っとにもう、油性ペンだし、どうしてくれるのさ…。とりあえず、これが学校のルールだからね」
渡されたプリントに真剣に目を通す紫苑。
"郷に入っては郷に従え"ヒロポの増減に関わるため、ルールには敏感な少女である。
「そこにある通り、お約束は5つあってね。簡単にいうと、皆と仲良く、学校のものは大切に、学校に必要な物以外は持ってこない、健康的な生活を心がける、文武両道に励む、なんだけど守れるかな?」
「、、、これは、正気じゃないわ」
正気じゃない要素が全く分からない大輔であったが、動揺している紫音に対してあえて突っ込むことはせずに説明を続けた。
「はいっ!ルールはこんなところで、学校案内は委員長が今日の大休憩でするからね。
いまから校長先生に簡単に挨拶しにいかなきゃなんだけど、、、戦時さん、大丈夫?」
「校長先生…ハッ…!その手があったわ!!!」
大輔がどんな手なのか聞いても紫苑が答えることはなく、大丈夫!私についてきて!と言わんばかりの威勢の良さで校長室の前に到着した。
元々、転校生を連れて校長先生に簡単に挨拶する予定ではあったが、目の前の生徒はどうみても良からぬことを言う気満々である。
担任として止めるべきではあるが、どうしたら暴走を止められるのか平凡な大輔には分からなかった。
今年初めてのクラス担任なのに、なぜこんなことになってしまったのか、、頭を悩ませ胃を痛ませ考えこむ大輔とは裏腹に、
少女は勢いよくドアを爆破していた。
「戦時紫苑参上!」
大輔が驚きのあまり思考停止していると、煙のなかから小さい背丈の謎の人物が現れた。
「おっほほほ、はじめまして、君が戦時紫苑さ、」
「先生さがって!!!!ゴブリンよ!!!」
紫苑の声で目を覚まし、「校長だよ!!!」と突っ込むが、時すでに遅し、立ち上がった校長に対して容赦なく縦の回し蹴りをし、紫苑の蹴りは校長の急所に的中していた。
「校長ーーー!!!!」
『そう、これは戦隊村出身の超絶エリートな少女が天才的赤レンジャーに成長するまでの物』
「いやいや、このまま終われないよ!!!?」
『おっと失敬、後編へ続く☆』




