第3戦 赤レンジャーの担任
平凡大輔25歳。
今年初めてクラス担任になる男で、見た目は黒髪単髪、顔も身長も体重も視力も聴力も
全て平均的な教師である。
教師になったのは勉強が普通にできるからで、名前を言うと平凡大好き?ってよく聞き返されるが、「ははっ、大輔だよ笑」とつまらない返しをするぐらい普通な男だ。
ただ、今日の大輔は一味違う。
平凡を卒業し生徒が気軽にいじれるような面白い先生になると心に決め、髪の毛を丸坊主にしてきたのだ。
そんな男のクラスに、
あの少女がやってくる。
それは始業日兼、転校初日のこと。
挨拶当番なので教頭先生と二人で大輔は正門に立っていた。
「おはようございまぁす」
休み明けの子供達が登校し挨拶してくる。
「おはよう!」
大輔は眩しいくらいキラキラとした頭と歯を向け、生徒に挨拶を返していた。
「大輔先生、そろそろ閉門の時間なのであとは任せますぞ」
と一言残して教頭が去り、1人閉門の準備をしていた大輔の目に目を疑うほどの光景が映る。
つま先から頭まで全身真っ赤な服装の太陽に照らされ堂々とガニ股で歩いてくる親子がこちらに向かってきているのだ。
その姿はまるでヒーローのように雄々しく異質であり、自分の頭よりも太陽よりも輝いて
隣にはお巡りさんを連れていた。
3人は歩きながらも揉めていたが、門前に着いてからも喧嘩が止まない。
「はぁ…本当にいい加減ついてこないで欲しいのだけれど」
「さっきからひどいよお、パパ心配なんだもん!外には敵がいーっぱい!ほら!さっきからそこでチラチラチラチラこっちをみてくる坊主。真面目そうな見た目を装ってるがおそらくど変態!あーこわいこわい!こわいね〜?」
「貴方も充分怖いですから、身分証見せて頂いても宜しいですか?」
嫌がる少女。
少女のパパを名乗る変質者。
職質する警察官。
それをみた平凡な男。
もう閉門ということもあり、大輔は渋々声をかけた。
「あ、あのーもうそろそろ閉門の時間なんですが、もしかして今日から登校の転校生でしょうか?」
「あら!よく分かったわね。門番さん。」
ニコッと微笑む少女は格好こそ変ではあるが、顔はフランス人形のような美少女で、大輔は思わず息を呑んだ。
「こら!変な人に微笑んではいけません!!!お巡りさん!ここに変態がいますー!今小学生見て一目惚れした顔してました!!早く捕まえてください。」
少女と坊主の間に入り、お巡りさんを見ながら変質者は叫んでいる。
「はぁ…それは貴方ですから、一旦落ち着きましょう…ね?」
お巡りさんもかなり疲れ果てているようだ。
応援要請したのか、パトカーまで来てしまった。
「オマワリサン、ワタシノチチオヤ、日本ニイマセン」
「しおん〜、そんな酷いよぉ〜」
「ひとまず署で話を聞きますので、ご同行お願いします」
二、三人に迫られ、娘に見捨てられ男はシュンとしていた。
「…すみません。閉門なので娘さんは預かりますね」
大輔は戦時紫苑の肩に少し触れ門の中へと連れた。
それを見たパパもどきの変質者はパトカーへ連行されながらも大輔に向かって怒鳴っていた。
「おい!あんた!!!!うちの娘に触れたな!!!もし今後また触れたり匂いを嗅いだり如何わしい顔を向けたり3秒以上目を合わせたりしたら、俺の必殺のレーザービームを放つからな!!!!覚えてろよ!!おれはいつでも見てるからなー!」
バタンッ
扉が閉まり走り出すパトカーの中から、男は大輔を睨みながらお前を見てるぞのポーズを向けて去っていった。
大輔はそれを見て思った。
平凡を卒業しようと決意した日
人生初めての異常事態に、
あ、平凡が1番だな。と
『そう、これは平凡大輔が平凡を満喫する物語、、、否、戦隊村出身の超絶エリートな少女が天才的赤レンジャーに成長するまでの物語である』