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第2戦 ヒーローポイントを貯めよう(後編)


「…この子誰かしら?」

「しーちゃん何言ってるの?貴方の弟じゃない」


全身真っ白な男の子は、海苔のように漆黒のクマをつけた青白い顔で、椅子の上に体育座りしている。


母がキョトンとした顔で答えるが、少女に弟はいない。


(この子が親戚の子設定なら信じていたけど、弟…まさか洗脳系の敵かしら…)


「ハハッ、しおん、寝ぼけているのかぁ?コラコラ〜そんなんじゃ敵に狙われるぞっ♪」


バゴッ。鈍い音がすると少女が父の頭をテーブルに打ちつけていた。

父の脳内は基本お花畑である。

ちなみに衝撃により洗脳が解けるか確認しただけで、決してムカついたからではない。


「あらやだ!パパ額が真っ赤よ〜!痛いの痛いの飛んでけ〜♡」

「ママ、それ全身スーツの色よ」

「ハハッとんでっちゃった〜♡」


母の脳内も基本お花畑である。


その間、男の子は何をするわけでもなく無言で一点をみつめている。少女は何か既視感を感じていた。


「としくん、お箸どーぞ」

「ア"ァア"ア"」

「としお!ちゃんと食べるんだぞ!」

「ア"ァア"ア"」


「あ、●怨」

ピンときた少女が口に出すと、としおはうめき声をあげながら顔だけを向け凝視した。


「ア"ァア"」


(はっ!私としたことが、思わず口に出してしまったわ…)


「もう、しーちゃん、早く座って食べなさい!としくんもっ!お姉ちゃん見つめながらお箸でパパを刺すのやめて食べなさいっ、ほら、あーん」

「アァ"アあっ」


母がとしおの口の中にお米を詰めると、としおの顔に人間味が戻ってくる。

少女が困惑していると、父が下を向きクックックと肩を震わせていた。


「あらあら、おいしそうに食べるわね〜、はい、あ〜ん」

「ゔぅっ」


としおは頬いっぱいにお米をいれ噛み締めていると、怖いくらいにどんどん幸せそうな顔になり身体が透け始めた。


父は急に立ち上がり口元までヒーローマスクを覆うと仁王立ちでとしおの方を見た。


「ハッハッハッ、我々はお前が敵だと最初から気づいていて、ご飯に大量の精神安定剤を仕込んでおいたのだ!!お前の不安は一時的に解消され、この顔の通り逝ってしまうのさ!」


父が決めポーズをとろうとしたその瞬間



ベシンッ


少女はお札を物凄い勢いでとしおの頭を叩きつけ、一瞬にして浄化してしまった。



「ふっ」


"ヒーローポイントを800pt獲得しました"


少女のベルトがピカんと光ると、ショックでガクンと膝を落とす父を見下ろしながら少女は決めポーズをした。



「俺の退職金がぁまた減ったぉおお」

と床に這いつくばって泣きじゃくる父に


「うふふ、期待してないから大丈夫よ〜」

と優しさの暴力をふるう母。


フ◯ッキューポーズをしながら父を見下ろし、否、見下し勝ち誇る娘。


大人気なし、情けなし、勝利こそ全て、これが戦時一家の日常なのだ。




『そう、これは戦隊村出身の超絶エリートな少女が天才的悪や…ゴホンッ、天才的赤レンジャーに成長するまでの物語である』


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