第55話 長生、尽きる
【巻ノ一・残頁伍拾伍:『大魏朝野僉載・恩賞』】
「帝崩ぜんと将にする時、司天監の小吏を榻前に召す。邸宅を賜い、金銀を賞し、その官階を封ず。此れ天恩の浩蕩たるに非ず。実に利を以て契りを結び、身後の体面を買うなり。然れども富貴は険中に求め、命数も亦た険中に断たる」――『吏部・考功档案』
【司天監内部メモ】
死に際の権力者が病床であなたの手を死に物狂いで握りしめ、九品の卑しい役人から破格の抜擢をし、京城の中心地にある大邸宅を直接あなたの名義にした時。絶対に、日頃の真面目な働きが神仏を感動させたなどと無邪気に勘違いしてはならない。
この世にタダでもらえる免死特権などない。すべての莫大な恩賞には、暗闇の中で初めから代償の札が貼られているのだ。
†
太極殿内は再び死寂に帰した。
丸天井の、国師の太歳の肉身がぶち抜いた大穴から、冷たい秋の雨が絶え間なく降り注ぐ。残骸と粘りつく黒血に雨水が打ちつけ、単調で凄涼とした音を立てた。
空中に浮かんでいた『大荒異聞録』が、最後の一筋の遠古の気息を使い果たした。ページ上の薄暗い文字の光が消え、難解な大篆がカビの生えた紙面に再び焼き付く。魂を失ったただの紙切れのごとく、パサッと鈍い音を立てて泥水の中に落ちた。
謝必安は瞬時に圧力が消えるのを感じた。膝から崩れ落ち、水たまりに重く跪く。
大口で荒い息を吐く。呼吸のたびに骨を刺す劇痛が引き攣る。吸い込んだ冷たい空気は生機をもたらすどころか、冷たいヤスリと化して気管を往復し、強烈な血生臭さを湧き上がらせる。
左手で、水から古い書物を苦労して拾い上げた。水を吸い込んでひどく重い。少し考え、適当に懐へねじ込む。胸から冷たい湿気が伝わってきた。
この本が切り札になるとは思わなかった。天地を滅ぼす神兵利器もなく、呼べば来る護法の神仙もない。あるのは鬼市の露店で漁ったボロ本と、今にも息絶えそうな傷だらけの肉体だけだ。
謝必安はうつむき、水たまりに映る、紙のように青白く血にまみれた自分の顔を見た。心の奥底の現代の社畜の魂が、この瞬間、疲労と荒唐無稽さを帯びた深いため息をついた。
深夜の公文の山の中で、この見鬼な転生人生を何度も振り返った。
理由も分からず、人命を草芥とみなし妖祟が横行するこの大魏の乱世に放り込まれ、怪物の死体を処理し分類するだけの底辺公務員に成り下がった。
さらに不気味なのは、この「大魏」なる国が歴史上に全く存在せず、ここにある万物が彼の過去の認識に完全に背いていることだ。この全く見知らぬ時空に身を置き、何年経っても、彼は依然として不条理と不可思議を感じている。
この世界に論理など存在しない。
高みにいる国師は、万千の民を長生薬を精製するための薪とみなす。天下に名高い世家の名門は、一族を守るためなら何の心理的負担もなく実の子供を人柱に煉成する。慈悲深く見える仏像でさえ、最後には怨毒に満ちた妖物へと変貌するのだ。
謝必安はこめかみを揉み、いつの間にかため息をついていた。「やってられないぜ……」
自分がこの世道において、硬い砂利一粒の価値もないことを痛感している。精々が肥肉の塊だ。無数の飢えた狼に死に物狂いで見つめられ、いつでも搾り取られ、脂を絞り出される。
彼の「錯金琉璃」という能力も、言ってみれば人を傷つける前に自分を傷つける諸刃の剣であり、いつでも自らに反噬する。
謝必安は無力に再びため息をついた。「失策だ。あの時……少しばかりの小銭を稼ぐためにこんな技を覚えるべきじゃなかった。結局、師匠と姉弟子に結託して遊ばれただけだ。『お前には元々二人のボディガードがついてる』だと……ペッ! あの二匹がボディガードと呼べるか? ただの金食い虫の足手まといじゃないか!」
彼にはこのクソみたいな世の中を変える大志もない。蒼生を救う聖母の情熱もない。彼のすべての計算、すべての打算、すべての行動は、最も卑小な一つの要求の上に成り立っている――生き延びること。
生き延びるためなら、袁老いぼれに媚びへつらって賄賂を贈り、荒唐無稽なみかじめ料を払う。顔色一つ変えずに自らの心頭血を鬼市の老怪物に抵当に入れ、ただ一言の約束と交換する。自分の使い物にならなくなりそうな右腕を使ってでも、次にするべきことの準備をする。
労働法も人権もないこのクソみたいな場所で、自分の命を天秤のチップとして置き、負傷と見返りの損益比を正確に計算するしかないのだ。死なない限り、十分な資源と交換できるなら、どれほど重い労災も歯を食いしばって飲み込む。
「フゥ……仕事の時間だ」
謝必安は濁った息を吐き出し、左手で冷たい白大理石の石板を死に物狂いで支え、よろめきながら立ち上がった。
「おい……さっき横で見ていた老いぼれ。地面に寝てるその三人はあんたに任せる」謝必安は太い柱の影に隠れている袁老いぼれを横目で見た。
袁老いぼれは影からふらふらと歩き出てきた。見つかった気まずさなど微塵もなく、ヘヘッと笑う。「安心せい……死にはせんよ」
謝必安は背後の重傷の沈無を気にも留めず、疲労して自己治癒中の二匹の猫も無視した。この件はまだ終わっていない。とうに約束した皇室との契約が、彼自身の手で決済されるのを待っている。
重い足取りを引きずり、崩壊した青銅の祭壇を回り込む。たった一人で、太極殿の最も奥深くにある内殿へと歩みを進めた。
九匹の龍が珠と戯れる図案が彫られた重厚な楠木の大門を押し開ける。溶かしきれないほど濃厚な死気と防腐香料の匂いが、決壊した潮のように顔を打つ。
かつて皇帝の傍らに仕えていた数十名の外回りの太監が、冷たい朱砂の赤墀の床に横たわっている。全員が国師に鮮血を吸い尽くされ、ゆったりとした衣に包まれた干からびた乾屍と化していた。乾屍の眼窩は一斉に丸天井を見上げ、ねじ曲がった四肢は死ぬ前の苦痛のあがきを維持している。妖異の前での世俗の皇権の無力さを無言で物語っていた。
だが、九段の玉の階段の上。黄金の龍の玉座まであと三歩という距離に、背筋の凍るような影が跪いていた。
漆紗の平上帻を被り、絳紅色のシルクの大袖の広い衣を羽織り、腰に絹の帯を締めた老太監。
大魏中書通事舎人。大魏の朝廷の聖旨を起草する権力を握る宦官。魏無疾。
皇帝が大陣の反噬と国師の淫威の下で今まで持ちこたえられたのは、すべてこの人間盾のおかげだった。
今の魏無疾の身体には、数十本の太い暗赤色の太歳肉の髭が突き刺さっている。だが彼は吸い尽くされてはいない。六十年童子純陽功を修練したこの大宗師は、数十本の三寸の長さの銀の針で、全身の死穴を死に物狂いで塞いでいる。彼は皇帝の心脈へ向かうはずだった太歳の肉の髭すらも、強靭な天蚕の糸で強引に自らの血肉に縫い付けていた。
彼は自らの五臓六腑を毒血を浄化する鼎炉とし、皇帝に最も致命的な妖邪の度化を防ぎきったのだ。
魏無疾は地に跪き、七つの穴から粘りつく黒血を流している。タコだらけの手で一本の狼毫の筆を握り、明黄色の綾錦の巻物に苦労して文字を書き込んでいる。墨がないため、爪で自らの手首を引き裂き、至陽至剛の純陽精血をつけて、一筆一画遺詔をしたためていた。
足音を聞き、老太監の枯れ木のような顔がわずかに上がる。濁った両目が謝必安を一度だけ見て、喉から微弱な嗄れ声が漏れた。
「司天監の者……ようやく来たか。老奴のこの骨では……もうこれ以上、この孽障どもを鎮めきれん」
玉座の上。大魏皇帝の半人半鬼の頭がゆっくりと回った。下半身はすでに純金の玉座と熔接されている。顔の半分は黄色の脂肪瘤に覆われ、胸の微弱な起伏だけが残っていた。
「愛卿、よく来た……」皇帝の声は風前の灯火のように微弱だ。「そなたが来たということは……国師は……?」
謝必安は玉座の影に向かって躬身して礼をし、低く言った。「陛下にご報告申し上げます。国師はしばらく戻れません……」
「そうか……良かった……」皇帝が激しく咳き込む。声に死の気配が混じっている。「寡人の江山は結局毀れてしまった。とうとう、朕という天子までが……生きたまま妖魔に成り果てたとは!」
謝必安は玉の階段の下へ歩み寄る。玉座まであと五歩の距離で足を止めた。
「陛下。微臣はあの『琉璃の大典』の古き約束を果たすために参りました」
謝必安の声は嗄れており、平静だ。君臣の畏敬もなく、悲憫もない。心中にあるのはただ重い義務の履行感だけ。
皇帝の人間である半分の顔の筋肉が微かに引き攣り、解放されたような凄惨な笑みが浮かんだ。目の前の底辺の小吏を見る。その濁った独眼には、一人の帝王の最後の清明さと計算が透けていた。
「よし……愛卿、よくやった。朕には聞こえたぞ……あの妖道が追い詰められた悲鳴が」皇帝が息を吐く。呼吸のたび、玉座と癒着した太歳の肉瘤から生臭い黄色の膿水が湧き出す。
「無疾……」皇帝は跪く老太監を見た。「聖旨を起草せよ」
魏無疾は震える手で、血をたっぷりと含んだ筆を綾錦に押し当てた。
「皇太子失徳、妖邪と結託せしにより、天誅に伏す……」皇帝の声が空曠な大殿に響く。疑う余地のない冷酷さ。「皇九子は年幼くして純孝、大統を継ぐべし。大将軍と三公に命じ、共に顧命を受け、新君を補佐せよ」
謝必安は冷ややかに聞いていた。皇九子。生母の身分が低いため、長年冷宮に閉じ込められ、字すらろくに読めない十歳の痴れ者だという噂だ。皇帝が彼に位を譲るのは、力のある皇子たちがとうに死に絶えたからだ。痴呆の幼主……この世の中はさらに乱れるだろう。
「この遺詔では、あの子の命は守れまい」皇帝の濁った独眼が謝必安を死に物狂いで見据える。「皇室の傍系や世家の古狐どもが、血の匂いを嗅ぎつけた野犬のように群がり、大魏を噛み千切るだろう。国師が巻き返せば、新君を血祭りに上げるはずだ」
皇帝の指が虚空で微かに引き攣り、謝必安を指した。
「寡人には……愛卿が必要だ。新君のために門を死守せよ。この大魏の富貴こそが、朕からそなたへの恩賞だ!」
皇帝の声に突然、最期の残光のような中気が戻る。眼差しが謝必安に釘付けになる。「朕は愛卿に約束したな……寡人に長生を……いや、朕に体面を残してくれれば、この大魏の富貴の分け前を与えると」
「朕の遺詔を伝えよ……司天監雑項科拾遺謝必安、妖邪を誅除し護駕の功あり。その拾遺の本職はそのままに、特に司天監左少卿の事を兼任させ、永安県男爵を加賜し、緋色の官服を賜う。御前での免跪、専摺密奏を特許し、三法司の勘問を受けず!」
皇帝の口述に合わせ、魏無疾の手首が力を込め、血書の文字が紙の裏まで染み通る。最後の一文字が落ち、黒血のついた御前密啓の金牌が、謝必安の前の朱砂の赤墀の床に重く叩きつけられた。
謝必安のまぶたが微かに跳ねた。
左少監事を兼任するとは、司天監の副長官を意味する。給与と行政レベルが正四品の高官に直接匹敵するということだ。
だが「専摺密奏、三法司の勘問を受けず」こそが、この遺詔の中で最も価値のある硬貨だ。これは彼が今後どんな禍を起こそうと、誤って役所を破壊しようと、大理寺と刑部には彼を捕らえる権限がないことを意味する。彼は大魏の官界で最高レベルの司法免除権を手に入れたのだ。
しかしその代償として、いつでも不慮の死を遂げかねない幼い皇帝を命懸けで守らなければならない。
これは命と引き換えの危険手当だ! 難題である!
案の定、皇帝の封賞は止まらない。
「寡人は知っておる……愛卿が陳郡謝氏から除名され、宗族の根基を失い……誰からも虐げられる根無し草となったことを……」皇帝の声はどんどん微弱になるが、話す速度は少し速まった。「奴らがそなたを不要とするなら、朕がそなたを要する! 城南の永安坊、元戸部尚書の五つの庭がある大邸宅を……朕がそなたに賜う。内帑の庫銀から、特別に紋銀八万両を撥ね、そなたの全権で運用させ、雑項科の役所を再建せよ……ゲホッ……」
八万両の白銀。都心の超一等地の豪邸。大魏において、これは想像を絶する莫大な資産だ。
謝必安の心の底に、言い知れぬ荒唐無稽な感覚が湧き上がった。
転生前、郊外のボロアパートを買うために三十年のローンを背負い、ボスの前でペコペコと頭を下げていた。
そして今、彼はすべてを手に入れた。権力、地位、豪邸、無尽蔵の富。それがこんなにも容易く彼の頭の上に降ってきたのだ。
「それに……そなたの傍にいる、あの鈍刀を持つ……鏡妖司の者だったな」皇帝が荒い息を吐く。眼球に灰色の翳りがかかる。「職務を離れた罪を特赦し、金吾衛郎将の階級を賞し、世襲罔替とする……」
帝王はこの最後の封賞で、自らの身後の体面と尊厳を、この謝必安に死に物狂いで縛り付けたのだ。
ついに魏無疾が最後の一筆を下ろした。
狼毫の筆を捨て、震える両手で玉の机の上にある、大魏皇権の象徴である伝国玉璽を捧げ持つ。自らの手首の傷口に強く押し当て、鮮血をたっぷりとつけた後、遺詔の末尾に重く押印した。
ドン!
玉璽が落ちた瞬間、詔書の表面に短く薄暗い光が閃き、すぐに消えた。老太監は生命の最後の一筋の真気を使い果たしたようだ。喉から破れたふいごのような悲鳴が漏れる。彼が体内に強引に封じ込めていた太歳の肉糸が瞬時に暴走し、彼の五臓六腑を容赦なく引き裂いた。
魏無疾は惨叫を上げる間もなく、崩れ落ちる砂の城のように、銀の針とシルクが混ざった砕けた肉の破片と化して地面に散らばった。ただ血の文字が書かれた綾錦の詔書だけが、死ぬ直前に最後の柔らかな力で、ふわりと謝必安の足元へ送られた。
謝必安は身を屈め、遺詔と金牌を拾い上げた。綾錦の鮮血はまだ乾ききっておらず、ずしりと重い死の気配と陰謀の匂いを透かせている。
事ここに至り、もし彼が「否」の一字でも口にすれば、それは自分自身に対する残酷さとなるだろう。
「微臣、主の隆恩に感謝いたします」
謝必安は笑わなかった。凍りついた死水のように冷たい目。わずかに躬身し、両手で拱手する。
「陛下、ご安心を。微臣、この恩賞を受けたからには、必ずや陛下の身後の事を、滞りなく取り計らいます」
足を踏み出し、九段の玉の階段を上る。黄金の龍の玉座の前へ歩み寄った。深呼吸をし、ゆっくりと手を伸ばす。微塵の躊躇もなく、掌を、太歳の粘液と黄色の膿水にまみれた皇帝の龍袍の胸元に軽く押し当てた。
舌の先を噛み破る。体内に残された最後の一筋の生機と精血を、空を覆う血霧に変え、余すことなく吹き出した。
「錯金琉璃・万象封禁!」
深い青色の光芒が、音もなく幽暗な内殿に咲き誇る。その光の暈に煞気は微塵もなく、ただ悲憫に近い静寂があるのみ。続いて、青い光は突如として眩い金芒に変わった。
金光が撫でるにつれ、吐き気を催す太歳の肉瘤、暗赤色の血管、さらには皇帝を死に物狂いで縛り付けている黄金の龍の玉座すらも、刹那のうちに急速に結晶化していく。
パキッ、パキッ、パキパキパキ……
細かい結晶の音が寂静の大殿に響き渡る。
もはや人の形を保っていなかった皇帝の顔に、瑠璃が蔓延する刹那、解放されたような表情が閃いた。最後に、彼は金芒に向かって、ゆっくりと目を閉じた。
わずか十の呼吸の間。
大魏天子はあの玉座とともに、高さ一丈余りの、透き通る琥珀色の瑠璃彫刻へと変わった。内部には金色の絹糸が幽かに流れ、帝王の最後の威厳を封じ込めている。太歳の妖祟の痕跡は、今や暴雨のごとく満天の金色の砕屑と化し、雪のように舞い落ちた。
この大魏の君王は、これから永遠にこの瑠璃の脆い殻に定着したのだ。
「フゥ……安心して旅立ってくれ」
謝必安は震える手を引っ込め、目の前の瑠璃の棺槨を見て、低く呟いた。
この取引は完了した。だが昇進と昇給の喜びは微塵も感じない。なぜなら彼はよく知っている。代償が、すぐそこまで来ていることを。
言葉が終わるや否や、目の前の世界が激しく天地を逆転させた。視界の縁に、大きな黒い斑点が次々と現れ始める。
心臓の奥底から、突然、取り返しのつかない恐怖の激痛が走った。
あの時、提灯の老いぼれの陰兵の道案内の対価として、彼は非情にも自らの心頭血の一滴を抵当に入れた。今、生命の根源を維持するその精血を失い、再び強引に瑠璃の秘術を発動させた。彼の肉体はついに限界に達し、これ以上持ちこたえることができない。
そして、これは最も致命的ではない。
ピシッ……。
極めて微かだが、背筋が凍るような砕ける音が響いた。謝必安の氷霜に覆われ、感覚を失っていた右腕の奥深くからだ。
三時辰。
あの時謝知微が玄氷、蟾酥、百年の雪蓮を用いて熬製してくれた「寒陰散」。薬効の限界が、ついにこの瞬間、一分一秒の狂いもなく訪れたのだ。
右腕の表面を覆っていた青白い氷霜が、脱皮するように急速に剥がれ落ちる。寒気が引くとともに、丸三時辰強引に抑え込まれていた反噬と痛覚が、決壊した濁流のごとく、一瞬にしてすべての感覚神経を襲った。
パキッ! パキッ! パキパキパキ!
骨の爆裂音が密集して響く。謝必安の右腕内の大小の骨、さらには指の骨が、氷霜の保護を失った瞬間に寸々に断裂した。かろうじて無事だった腕が、瞬時に柔らかい麺のように力なく垂れ下がる。肌の下に無数の鋭い砕けた骨の突起が隆起し、皮膚を突き破り、鮮血が滴り落ちる。同時に、腕全体も次第に透明へと変わりつつあった。
「ウワァァァーッ!!」
劇痛が脳内の最後の一縷の理性の防衛線を打ち砕き、謝必安は極めて凄惨な悲鳴を上げた。
「ブフゥッ!」
謝必安は首を仰け反らせ、目を覆うような黒血を狂噴する。点々とした血痕が、光沢のある瑠璃の玉座の縁に散った。もはやこの破れた躯殻を支えることはできず、白眼を剥き、九段の玉の階段から真っ直ぐに転げ落ちた。
最後に冷たい床に重く激突し、鈍い衝突音を立てる。意識は徹底的に底なしの暗闇へと沈んでいった。




