701食目 報告書~女子編~
「ええっと、何なに?」
三日ほど前、ロフトの裸を見ました。興奮し過ぎて夜も寝られません。致しても身体の火照りは治まらず益々熱くなる一方です。これは、ヤれ、との啓示でしょうか?
「なんでヤることしか考えてねぇんだ。うちのカップル共は」
これが変態的な乙女の思考なのだろうか。俺には理解できないし、理解したら駄目だという事が理解できた。もうヤっちまえよ。ゴム付けて。
「段々疲れてきた。でも読んじまわないとなぁ」
アマンダの報告書か……何が書いてあるかな。
新作スイーツ祭り開催です。なんと新作スイーツが三十パーセントオフ! これを機にあなたも【スイーツ・ロロリエ】に、どうぞご来店を!
「実家の宣伝じゃねぇか!? 行くよ、行ともさ!」
んで、アルアの報告書となるわけだ。もうカオスな展開しか思いつかない。
最近、モモガーディアンズの風紀が乱れているものと思います。多少は仕方がない部分はあるでしょうが、ここは代表であるエルティナさんが引き締めをおこなうべきかと存じ上げます。どうか、ご一考願います。
「っ!?」
俺は目を疑った。アルアが、あのアルアがこれを書いたというのか、と。だがしかし、間違いなくこの筆跡はアルアのものである。あまりの衝撃に思考がフリーズしてしまったのは言うまでもないだろう。
俺はてっきり「いあいあ」だの「ふんぐるい、むぐるなふ」だのと書いてあるかと思っていたのだ。これにはビックリである。
「ふきゅん、確かに少々緩んでいる部分もあるな。引き締めをおこなうとしよう」
次はウルジェである。彼女はクラークにご執心であるが果たして。
かねてより制作中であった飛空艇【ルレイズⅡ】が完成いたしました。つきましては、いもいもベースとの連携構想を提示させていただきたく、申請の許可をいただきたく存じ上げます。
「おぉ、ようやく実用化に至ったか。がんばってたもんなぁ」
追伸、クラークさんのコアが逞しくて濡れてしまいます。
「褒めたらこれだよ。どうしてくれるの、この感動」
眉間を解しながら次なる報告書を手に取る。景虎の報告書だ。
会心の出来栄えの玉子焼きを送りました。是非、食べてください。
「玉子焼きって……まさか、あの炭のことを言っているのか?」
確かに丁寧にラッピングされた箱が送られてきた。中には得体の知れない炭が入っていただけであったので、俺はそれを厳重に隔離し封印処理をおこなっておいたのだ。
きっと、それは正しかったのだろう。犠牲者が出なくて幸いだった。食うヤツなんかはいないであろうが。
「グリシーヌは何を書いてきたんだろうか」
体重が増えた、死にたい。
「生きろ、グリシーヌ」
見た目はデブったようには見えない。したがって、増量した部分は乳かケツであろうと思われる。がんばってダイエットしているグリシーヌであるが、彼女はまだまだ成長期であるからして、身体もまだまだ成長する。したがって体重の増加は不可避なのだ。
後できちんと説明しておいてやるとしよう。
クリューテルの報告書か……まぁ、彼女はまともに書いているだろう。真面目だし。
知らない内に、わたくしのロールが増えていました。誰かが巻いたのでしょうか。
「なにそれこわい。クー様のドリルが増えたってことか?」
今尚豊かになる彼女の髪。そのドリルが勝手に増えるという恐怖。
「いやまて、案外もぐもぐどもの仕業という可能性もある。あいつら、無駄に器用だからな」
取り敢えずは、もぐもぐの仕業という事にして、次の報告書を読む。お次は咲爛だ。
斬り足りぬ。血を見せよ、贄を捧げい。
「ひえっ」
これは第六天魔王が復活してんじゃねぇのか!? 早急に対策をしないとダメだこりゃ。
取り敢えず景虎に〈テレパス〉で再封印処理を依頼することにする。彼女は、かなり慌てている様子であった。咲爛は恐らく景虎の前では猫を被っているのであろう。
あるいは封印が解け始めたのが、つい最近であるとか。これは、きちんと処理しておかねばならない事案である。
「肝が冷えたな、もう。次はシーマか」
最近、痛みが気持ち良くなってきた。私はおかしくなったのだろうか。
「いや、昔っからだろう、それ」
遂にシーマも変態の仲間入りとなったもようである。馬鹿げた耐久力が仇となったのだろう。彼女は踏み込んではならない領域に入ってしまったのだ。いや、入っていた事に気が付いた、が正しいのか。
「ブランナの報告か」
最近、美味しいパスタ店を発見したしました。カルボナーラが絶品です。是非、一緒に参りましょう。
「正しく報告書だが、ちょっと報告内容が違うかな。惜しい」
まぁ、報告内容はしっかりとメモリーしておくがな。ほい、次。プリエナ。
とある男性に告白されましたが、次の日からその男性の姿が見えません。ルバールさんたちに聞いても知らないそうです。何かあったのでしょうか。不安です。
「……消されたな」
命知らずもいたものである。プリエナをどうにかしたいのであれば、先にルバールシークレットサービスをどうにかするのが先決。彼は手順を誤り、ひっそりとこの世を去ったのだ。おぉ、怖い怖い。
「プルルの報告書だな。きっとGD関連の報告だろう」
最近、ライオットのテクニックに磨きが掛って僕の方が先にイってしまいます。彼に何か教えましたか? これじゃあ、僕が壊れてしまいます。
「俺がおバカにゃんこに、そんな事を教えるわけねぇだるるぉ?」
そろそろ頭が痛い今日この頃。上と下で責められるとか、なんの拷問だ。マジで勘弁。
これはもう、さっさと報告書を読み終えてしまうに限る。
「メルシェの報告書。相変わらず字が丸っこいな」
パンツが千切れた。高かったのに。私のお尻はどうなっているのでしょうか。
「知らんがな」
もう安いパンツにするか、紐パンでも履くしかないだろ。次だ、次。
「モルティーナの報告書はマジで報告書だから緊張するな」
そこに書かれた無駄な出費の羅列。それを戒める文章。特に俺のおやつ代関連が酷い言われようである。当然、俺は白目痙攣状態に陥る。
本当に仕事関連は容赦ないぜ、モルティーナさんよぅ……へへっ。
超大ダメージを受けた俺は、次なる報告書に震える手を伸ばした。そして、その報告書を目にして吐血する。
祝、ダーリン復活。今夜、【愛】に行きます。
「マジで震えてきやがった」
日付は昨日のものだ。即ち、最新の報告書である。報告書というよりは犯行予告に近い。
震える手で次なる報告書を手に取る。
私、ユウユウ。あなたのすぐ後ろにいるの。
「えっ?」
ひたり、と頬に冷たい感触。後頭部に、ぼぬん、という極上の柔らかさを感じ取る。
「はぁい」
「ほぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
マジでチビるから止めてくれ。
いつの間にやら、俺の背後にユウユウが立っていたではないか。音も立てずに忍び寄るとか、おまえ忍者かよ。忍者きたない、流石、忍者きたない。
「ビックリするだるるぉ!?」
「うふふ、それが狙いだもの」
冷たい手で俺の頬を弄びながら、爆乳で頭部を責めてくるユウユウは、すんすんと鼻をひくつかせた。そして告げる。
「あら、昨日ヤったの? 羨ましい限りだわぁ。私のここも早く、ねぇ?」
「それは、シグルドに言ってくれ。ただいま、お昼寝中だがな」
「クスクス、それはもちろん」
ユウユウの目が獲物を狙う肉食獣過ぎて怖い。当然の事だが、シグルドの肉体という事になると俺の肉体が使用されるわけで、ある意味でガチレズプレイとなる。これもう分かんねぇな。
「ふきゅん、取り敢えず報告書を読んじまうか」
「あら、一応読んでいたのね」
「当然だろ。これでもモモガーディアンズの代表だぞ」
ユウユウは微笑を浮かべながら椅子に腰かけた。早く報告書を読め、と暗に告げているのだ。
「といっても後は三人しか残っていないんだが?」
「構いやしないわ」
「さいでっか。えっと、ララァだな」
ダナンに染められてゆく自分に興奮を禁じ得ない。もっと白く染まりたい。あと最近、生理が来ない。
「バカ野郎っ!」
「あっはははははははははははははははっ!」
俺は激おこ、ユウユウは大爆笑であった。あれほど言っておいたのに何をやってるんだ、この夫婦はっ!? もうやになっちゃいますよぉっ!
「まぁ、鳥人の妊娠期間は平均四か月だから、決戦までには余裕で間に合うわよ」
「そうはいってもだなぁ」
できちまったものは仕方がない。だが、次にこのようなことが起らないように、しっかりと釘を刺しておかなくてはなるまい。あとドクター・モモに、ゴムの増産をば。
「まさかの爆弾だったんだぜ。次はランフェイだな。これも嫌な予感しかしない」
「あぁ、あの子ねぇ。ぷっ、くすくすくす」
ユウユウは何か知っているようだ。意を決して彼女の報告書を読む。
ちんちん生やしました。
「やりやがった。ルーフェイの報告書を読んで、まさかとは思ったが」
「うぷっ、ぷははははははははっ! ひぃひぃ、お腹痛~いっ!」
やはり大爆笑のユウユウ閣下。こんなのどうしろと言うんだ。竿は付いてるけど玉無しであることを期待するしかない。ランフェイなら妊娠するまで姉を責め続けるだろうし。
「最後にリンダか。これもなぁ……」
ガンちゃんと仲良くしたい。あとフルーツパフェ食べたい。おこずかいアップしますように。
「だから、報告書に願望を書くんじゃねぇよ、おるるぁん!」
「うふふ、まぁ、この子たちなら、こんなものじゃないかしら」
ユウユウも大して変わらない、とは口が裂けても言えなかった、悔しいです!
「はぁ、報告書を読んで、こんなに疲れるとは思わなかったんだぜ」
「昔からやりたい放題の連中なんだから、予想どおりだったんじゃないの?」
「昔と違って大人になったから下ネタが増えた」
「あら、うふふ。読んでいて楽しいじゃない」
「決戦が控えていなければな。これから報告書にあった問題点を話し合わなくちゃ」
はふぅ、と盛大にため息を吐き報告書をファイルに閉じる。その俺を、ユウユウはにこにこしながら見つめていた。
「ふきゅん? ユウユウ?」
「うふ?」
そして、静かに席を立ちにじり寄る。
「ユウユウさん?」
「うふ」
近付くユウユウ、後退する俺。が背後に壁っ! 進退窮まるっ! 迫る絶望っ!
「ダーリンを出しなさい。私は合体するのよっ!」
「ふきゅ~ん! ふきゅ~ん! ふきゅ~ん! ふきゅ~ん!」
助けてシグルドマンっ! 珍獣の大ピンチだっ!
ただいま留守にしております。ギャオ~、と鳴ったら、お名前とご用件をお申しください。
ギャオ~。
「ぎゃおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
俺の虚しい叫びは終ぞ、シグルドマンに届く事はなかったとさ。ふぁっきゅん。




