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闇の王子、影の王子  作者: チェル
二章───町の少年R編
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「サヨナラは」

とうとう60話目までやって来ました!!!

所々で「何言ってんのこの人?日本語ダイジョーブ?」とか思ったりした方がいると思います。

それでも!ここまで読んでいただいて、感謝感謝です。

まだ終わりませんよ!受験生なのに、勉強が疎かになりまくってますけど!

とりあえず、もうすぐで『町の少年R編』も終わりなので、3章目は週一ペースかな……。(・±・`)

長くてすみせんでした、では、どうぞ。




「…。」


俺の友達だった、フゥエン。

結局、最後の最後で裏切ったフゥエンだ。


「年のせいで目か悪くて、お前の顔がよく見えないんだ。…もう少しこちらに来てもらえないか?」


何か仕掛けているかもしれない。近付いてから、殴ってきたり隠していたナイフでグサリとか。いざとなれば反撃はできる。

でも、できるだけ殺したくはしたくない。


そんなことを考えたあげく、近付きはしたものの結局は離れた位置から話しかけることにした。


「本当にフゥエン?」


「そうだ。今は、この村で村長をしているんだ。」


「レイメイは?生きてるの?」


「わからない…。23歳の時に、村の外に嫁に出たんだ。それきり連絡もなく、今はどうしているのか…。」


「そう、じゃあね。俺ここに居ると消されるから。」


話を切り上げて、俺はさっさと出ていこうとした。こんな会話、気まずいことこの上無い。二十歳近くだったフゥエンが、シワシワのじいちゃんになっていたからではない。

俺は長い間、人間たちと隔離された生活をしてきたんだ。

その間にある時間の思い出を、記憶を、俺は持っていない。


今さら何を話すっていうんだよ。話すことなんて無いじゃないか!


俺は歩く足を止めない。

扉まではあと1メートルもない。



「あのとき…!!」


後ろから、フゥエンが話しかけてくる。

俺は思わず足を止めた。


「お前を守れなかった、あの時の自分が憎い。今頃後悔しても遅いのは分かっている。でも…謝らせてくれ。すまない!!」



「…忘れてよ。」


俺は声が震えないようにして、かすれた声で言った。


「後悔だとか、憎いだとか。俺のことで自分のことをそんなふうに思うくらいなら。そうなるくらいなら、俺のことを忘れろ。」


「…それはできない。お前との繋がりは、切りたくないんだ。別れが酷いものでも、私はずっと許してもらいたかったのだから。」


「…!」


色々なものが込み上げてくる。

涙や、言葉や、嬉しさ、悲しさ。

それを必死になって堪える。


「…っ、もう少し…。」


時の流れは速い。


「もう少し、早く和解できていればよかった…。」


だってフゥエン、お前は生きれてもあと10年程度だろう?


あと何回、会えるのかも分からないのに。


「もう、会えないだろうな。」


「え……?」


俺の心情を悟ってからか、悲しそうにフゥエンは言った。


「私は病にかかっている。長くてもあと三ヶ月生きられるかだ。本当に、お前に会えてよかったよ。」


そう言ったフゥエンは嬉しそうに笑っていた。


あの頃の、出会った頃の少年のように。




──────────────




「俺も、お前に会えてよかった。また、昔みたいな関係に戻れてよかった。」


ぼやける目の前を見ながら、俺はフゥエンに言った。


「でも、そろそろ行くよ。…他の村人の目が覚める頃だ。」


そう言い終わると、俺は今度こそ扉へとたどり着いた。

あれほど激しかった雷と雨が、止んでいた。



今なら、飛べる。



「フゥエン、ありがとう。さようなら。」


俺は小さな、青い色をした鳥へと姿を変えた。


振り返らない。


振り返ると、ギリギリで止めていた涙がこぼれて、前が見えなくなってしまうから。


それに。



振り返ったりしなくても、あいつのことは大体分かってるから。

きっと、顔をクシャッとして泣いてるんだろうな。昔、そうだったように。



──────────────




あれほど分厚く漂っていた雨雲は今は切れ切れになり、その間からはほんのりと明るい月が輝いていた。




地上でふと町を歩いている酔っぱらいが、雨が上がった空から小さな滴が降ってきたことに気付いた。

上を見上げると綺麗な青い鳥が、キラキラと月の光で輝きながら飛んでいたと言う。





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