「すぴーきんぐ、りーでぃんぐ」
しばらくして。
俺たちは食べ物屋が多い辺りへたどり着いた。
見回してみると様々な種類の麺類、パン、野菜。そしてこの国にはない食べ物までが揃っていた。
すごい品揃えである。
「おぉ~、いろんな店があるなー。」
マイトは、嬉しそうにキョロキョロとしながら言った。
「とりあえず、軽いものから食べて回る?あ、ほら。あそこにある“ダンゴ”とかは?」
俺は少し行ったところにある、和風な店を指差した。
テントの近くではためいている旗には、漢字で『餅々屋』と書かれていた。
「あれ、何て書いてあるの?」
ヘレナが店の方を見て、うーん、と唸っていた。
俺は読めるので、読み方を教えてあげた。
「あれは“もちもちや”って書いてあるんだ。たしか、此処からは遠い東の方の国のものだったはずだよ。」
「へぇー!そうなんだ!」
嬉しそうでなによりである。
「お前、どこでそんなもん知ったんだ?」
と、マイト。
不味い、感覚が鈍ってた。普通じゃそんなもの読めるわけもないのに。
…というか、俺自身どこで覚えたのか、分からない。
とりあえず、どことなく返事をする。
「本で読んだんだよ。家にあってさ、そういうの。結構あっちこっちを転々としてきたから、その時に手に入れたのかも。」
ちなみにそんな本は城にはない。あるのはあまり東の方ではない、少し手前の東の国のものまでである。
「物知りなんだね~。」
染々とヘレナが言う。
「いやいや、そんなことないし。とりあえず、あそこから食べようよ!」
「それもそうだ。俺、ああいうの食べてみたかったんだ。」
アレグムも少しうきうきしていた。
俺たち四人は、『餅々屋』へと歩き出した。




