「見た目は王子、頭脳は化物」
日が落ちて暗くなってきた窓の外を見たランソワおばさんは、俺の部屋のカーテンを閉める。
今日もまた、何だかんだでハードな1日が終わるのだ。
俺はふと、昼前にお腹が空いて床に倒れているときに思ったことを、おばさんに聞いてみることにした。
「あのさ、おばさん。」
「はい、何ですか?」
カーテンを閉め終わって 俺の方を振り返っ たおばさんに俺は尋ねた。
「何で食事は自室でとることになってるの?僕、あんまり王と話してないから、今度一緒に夕食でも食べたいんだけど。」
その言葉に、おばさんは笑って言った。
「そうですわね。王との関係も、また1からの状態ですものね。前の王子は、王と仲が悪すぎて口も聞かない状態があったりしたものですよ。」
それは酷いな。
と言うか、どんだけ酷いやつなんだ元王子。
「王は皆から慕われているのは知ってるけど、王妃はどんな人だったの?」
その辺は、あまり聞かされていないな。
「リメリア様は、そうですね、とても明るいお方でした。まるで寒い所にも等しく降り注ぐ、温かい太陽のような…」
懐かしむように、ランソワおばさんは話してくれた。
「そうだったんだ…。でも、僕が産まれたときに死んだんだよね。…記憶が無くなる前の僕は、どのくらい王妃の事を知っていたんだろう?」
ふと、ここに来た頃にベッドの下で見つけた横長の箱の事を思い出した。
たしか、中身には女性の使うものが入っていたな…。王妃の形見だろうか?
でも形見をあんなところにしまい込むだろうか…
ぐるぐると考え事をしていた俺に、おばさんは急に話しかけてきた。
「王子。」
「ん、はい?」
「お腹、空いてませんか?そろそろ夕食の時間ですよ。」
ああ、それもそうだな。
思い出した途端、お腹が鳴る。
でも、俺はハプニング付きという夕飯のイメージが強い。
嫌だなぁ普通に食事したいなぁ。
それを察したのか、ランソワおばさんが力強い笑みを浮かべて言う。
「安心てください。皆にはイタズラを止めるように言いましたから。」
イタズラのレベルなのか、アレ。
「そ、それならいただこうかな。もう気絶して目覚める朝は嫌だし。」
その言葉に、おばさんは夕食の準備をしに部屋を出ていった。
誰もいなくなった部屋の中で、俺は黒い笑みを浮かべる。
おばさん、あの時さりげなく話題を変えたな。
これは…何か裏がありそうだ。




